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りそな銀行オペレーション改革10年の歩み(2)

~ご支援の経緯と「事務量」~

2013年8月12日(月曜日)

前回は、富士通総研がりそな銀行様のご支援を継続的に実施していることをご紹介しましたが、今回は、どうしてそのようになったか、そしてそのきっかけとなった「事務量」についてご紹介することにします。

1. 富士通総研がりそな銀行様を支援するに至った経緯

富士通総研がりそな銀行様を支援するに至った経緯は、そもそも、大和銀行様、あさひ銀行様への「事務量」の導入を支援したことに端を発します。富士通総研の大和銀行様への「事務量」の導入支援は1994年頃から始まり、あさひ銀行様への導入支援は1996年頃から始まりました。その後も、生命保険会社、クレジットカード会社等も含め、金融機関における「事務量」導入・再構築のご支援を数多く実施しています。私自身は、2002年に株式会社大和銀ホールディングス様からご依頼いただいた「新事務量分析システム導入構想書策定支援」のプロジェクトからコンサルティングを行っています。

富士通総研は、「事務量」導入のご支援を機に、金融機関の営業店を中心としたコンサルティングにおいては、システム面よりも、むしろ業務面での効率化をご支援するようになったと感じます。

「富士通」という名を冠にしているにもかかわらず、なぜ、システム面よりも業務面なのかと思われるかもしれません。ですが、そもそも、システム開発を行うためには、お客様の業務を熟知していることは非常に重要です。その意味で、システムに関わる領域を中心にご支援をしていた時も、その業務面への影響を視野に入れ、現場でご利用いただく立場の方々に配慮したご支援を行っていたと思います。ただ、かなりの領域のシステム化がすでに行われた今となっては、業務の効率化を考える場合、システム(技術)だけで効率化できる範囲や効果は、非常に限定的であると感じています。そこで、まずは事務そのものの効率化を図り、抜本的な変更を行い、それを支える仕組みとしてのシステムのあり方を検討することが、有効なシステム開発の手順として非常に重要だと考えています。

「事務量」の導入をご支援する際には、後ほど説明しますが、業務のあり方を現場でじっくり見る機会があり、そこで多くの気づきを得ることができます。そのため、業務をこのようにしたらどうかというご提案やお客様の現場を理解してご一緒に検討を行うことができます。そうしたこともあり、富士通総研は、業務を熟知している者、また、業務改革を行う際の業務とシステムとをつなぐ架け橋として、業務改革のご支援を継続的にさせていただけているのだと思います。

2. 「事務量」とは

前回、ここで言う「事務量」は一般的な業務量とは異なるということをご紹介しました。ここで、もう少し詳しくご説明したいと思います。

「事務量」とは、事務を定量化し、事務に係わる仕事量を「時間」で捉え、事務の仕事量とそれを処理する人やシステムを合理的に把握する尺度のことです。繰り返しになりますが、一般に言う、業務の量ではないということに注意が必要です。

「事務量」導入の目的は、主に次に挙げる3点です。

 (ⅰ) 事務量人員算定(適正人員算定)
 (ⅱ) 営業店実態の把握・事務効率化効果の把握
 (ⅲ) 原価計算のための基礎データ提供

「事務量」は、そもそもは定型的・繰り返し行われる業務について算出し、その総量を1人当たりの労働時間(待ち時間等の余裕時間、研修・教育時間、休暇等を引いた後の時間)で割って人員算定を行っており、この適正人員の算定が非常に重要な役割となっていました。

標準時間*事務件数/(標準労働時間*(1-余裕率))=事務量人員(人)

【図1】事務量人員の算出

【図1】事務量人員の算出

しかし、最近では、対象範囲も定型事務から非定型業務へと広がりを見せ、また導入の結果、求めることも、(ⅱ)の営業店実態の把握・事務効率化効果の把握を、より詳細に行いたいというご要望が顕著になっています。

3. 「事務量」導入の流れ

「事務量」そのものの考え方は平易ですが、毎日大量に発生する事務を実際に把握し、活用していくのは意外と難しいものです。富士通総研がご支援する際の「事務量」導入の進め方を以下にご紹介します。事務量算定と事務量人員算定方法の関係を図示すると以下のようになります。(*)

(1) 事務・業務分析
(2) 標準時間の設定
(3) 事務件数把握
(4) 余裕率設定
(5) 補正

【図2】事務量算定と事務量人員算定へのアプローチ

【図2】事務量算定と事務量人員算定へのアプローチ

(1) 事務・業務分析では、対象領域の事務(業務)の体系化を行い、事務工程表を作成します。
(2) 標準時間の設定では、事務工程の各動作をストップウォッチで実測し、標準時間を決定します。計測は実際の営業店ではなく、模擬店舗(研修施設等)を設置し、事務指導担当者等が複数回作業をした平均時間とします。
(3) 事務件数把握では、体系化した各事務の全店分の発生件数を把握する仕組みを構築します。把握対象は、オンライン取引件数、オフライン取引件数等です。
(4) 余裕率設定では、実態把握としてクラスタ分析と臨店調査を行います。クラスタ分析では、定量データに基づき営業店を客観的に類似グループに分け、臨店対象店舗の選定を行います。この店舗グループは、事務効率化施策検証などでも利用することができます。また、余裕率の設定は、臨店調査でのワークサンプリングの結果に基づいて行います。
(5) 補正(事務量モデルの検証)では、標準時間、事務件数、余裕率、その他の係数をもとに、事務量・事務量人員算定のモデルを検証・確定します。

4. 臨店調査の必要性と得られること

「事務量」で人員算定を行う際には、1人当たりの労働時間のうち、本来の業務に投入できる時間の割合を求めます((4)余裕率設定)。本来の業務に投入できない時間を「余裕率」という形で捉えるには、先に述べた臨店調査でのワークサンプリングで算出します。「余裕」という言葉の印象から、仕事をしていない(遊んでいる)時間という印象を与えがちですが、「本来の業務ではない」というのは、決して遊んでいる時間ではなく、例えばお客様の伝票記入を待つ時間、役席の承認を待つ時間、物の出し入れのための移動時間、ファイリングをするための時間、マニュアルで調べる時間など、お客様からご依頼いただいた案件処理の直接の作業ではないが、その実行のために必要な作業時間のことを指します。この作業時間は現場の実態を観測しなければ得ることはできません。ワークサンプリングでは、クラスタ分析結果をもとに選出した複数の店舗で、数人の担当者と役席を選んで観測することが一般的です。

事務・業務が行われる現場の実態をもとに「事務量」と「事務量人員」算定の全体調整・個別調整の必要の有無・調整方法について検討するのがモデルの検証(補正)です。事務量算定にあたっては標準時間の実態との乖離、また、人員算定にあたっては、マーケット特性等に応じた、店舗毎・担当者毎の稼働率(余裕率)のばらつきを勘案し、モデルの補正・決定を行います。そのため、どのような環境・状況・事情でそのような実態となっているのかを定性面も含め把握することが重要であり、臨店調査は欠かせないものとなります。

こうした現場における調査やモデルの検証をご支援することにより、富士通総研もまた、お客様の業務の実態を深く理解することができ、そのことが業務効率化・営業店改革のコンサルティングのご支援を推進する力となり、りそな銀行様に向けてのように長いご支援にもつながっていると思います。

5. 「事務量」の活用

「事務量」導入の初期の目的は、先に書いたとおり、主に3つであり、その主要な捉え方は業務毎の月間総事務量でしたが、その後、様々に活用したいというニーズが現れ、そのニーズに応えるための工夫がなされるようになりました。

例えば、作業域別、係別(担当と役席)、工程別、時間帯別、端末別に把握したいなどのニーズが挙げられ、これらのニーズへの対応は、主に工程表の構成や標準時間の設定、件数取得で行われることになります。

りそな銀行様の「事務量」は、大和銀行様、あさひ銀行様が合併してりそな銀行様となることが決定し、新たに一本化する「事務量」をどのような仕組みにするかを、りそな銀行様の「事務量」のあり方として構想にまとめ、その後、システム開発を行う予定でした。そこで、2002年の前述のプロジェクトでは、新たな「事務量」を導入する予定の傘下4行(大和銀行様、あさひ銀行様、近畿大阪銀行様、奈良銀行様)の臨店調査を行い、それぞれの事務特性を把握し、新たな「事務量」の考え方や基本方針を明らかにし、構想書としてまとめました。当時の構想では、「事務量」は経営管理を行うためのツールとして利用できるようにすること、使い方は従来通り本部と各営業店の支店長との間の人員数の決定のためと、さらに諸々の事務実態の把握のためのツールと位置づけられ、この時点では、主に本部で利用するものと結論づけました。

また、「事務量システム」は4行で利用することを前提としていましたので、その観点でのシステム開発時の留意点も明らかにし、りそな銀行様の「事務量」の開発の準備に着手したところで、2003年5月、公的資金注入が発表されました。これにより、すべてのシステム開発案件は、一旦凍結され、見送られることになりました。

次回は、公的資金注入後のプロジェクト(コスト削減PT)についてご紹介します。

注釈

(*)事務量算定方法の詳細については、以下の論文とサービスカタログをご参照ください。

【コンサルティング最前線 創刊号 Vol.01 Nov.2008】事務量導入支援コンサルティングご紹介

【サービスカタログ】事務量分析コンサルティング

シリーズ「りそな銀行オペレーション改革10年の歩み」

(1) 再生に向けた改革成功の鍵

(3) 公的資金注入(コスト削減プロジェクトの活動・原価構成の明確化)

(4)新生りそなへ(営業店改革コンセプト・事務戦略)

(5)新生りそなへ(「思い」を「形」へ 試行店開設)

(6)新生りそなへ(次世代営業店と営業店改革を支える仕組み)

(7)システム開発について

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。