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  4. りそな銀行オペレーション改革10年の歩み(1)

りそな銀行オペレーション改革10年の歩み(1)~再生に向けた改革成功の鍵~

2013年8月2日(金曜日)

1. はじめに

これまでにもたびたびご紹介してきたように、富士通総研では、りそな銀行様のオペレーション改革のご支援を継続的に行ってきました。りそな銀行様は2003年の公的資金注入後のこの10年間に、コスト削減を主な目的としたオペレーション改革に取り組み、成果を上げ続けてきました。

合併して「りそな銀行」となる前から、私はコンサルタントとして様々な形で継続的にご支援を続けてきましたが、昨年2012年11月の細谷会長の突然の訃報に接し、会長が牽引してこられたこの10年の取り組みが思い出され、改めて、その遺志を継ぎ、成果を上げ続けるご支援を続けたいという思いを強くしました。

そこで、これまでの10年の活動について、共にオペレーション改革の検討を進めてきたコンサルタントとして、「身近な外部」の立場で振り返り、さらに将来に向けての活動も含めて、何回かに分けてご紹介することにします。

【図1】りそな銀行オペレーション改革の象徴的な取り組み
【図1】りそな銀行オペレーション改革の象徴的な取り組み

2. 改革を成功に導いた鍵

りそな銀行様のオペレーション改革を成功と位置づけているのは、目標としていた営業店事務量の半減を達成したことによります。金融機関の方であればお分かりだと思いますが、すでにそれまでも業務効率化の取り組みを行っている状況で、そこからの事務量半減という目標は、改善ベースで考えれば全くありえない高い目標値です。それを、当初想定したよりも時間は要しましたが、達成することができました。そして、その結果が、そのままコスト半減になるというわけではありませんが、事務量を減らすことにより、事務人員をセールス要員へ振り向けることができ、他に端末台数の削減や、事務量削減施策によるペーパーレス推進を行った結果の使用用紙・物流・保管コスト等の削減など、様々な成果を上げています。

長くご支援をして、りそな銀行様のオペレーション改革の成功の鍵は、大きく捉えると以下の3点を実施していることだと考えています。

 (1) 実態把握+現場主義
 (2) 構想策定・実施計画策定
 (3) 継続的なモニタリング

(1)の実態把握については、まず、主に「事務量システム」を利用して実施しています。この「事務量」という仕組みは、一般に言う業務量とは異なり、処理1件あたりの標準時間に発生件数を掛けた総和の時間を事務量として捉えるもので、多くの金融機関において導入している仕組みです。「事務量」は金融機関の改革において非常に重要なので、別途改めてご紹介することにしますが、そもそもは、適正人員を算定するための仕組みでした。りそな銀行様では、これを合併前の大和銀行時代、あさひ銀行時代からそれぞれ活用してこられた実績がありましたが、さらに発展的な活用を行い、オペレーション改革を推進しました。

こうした実態把握に加えて、解決施策の検討や施策案の実効性検討を行うためには、必ず現場に出向き、ヒアリングや観測を行い、検討が不十分な点がないか、現場で受け入れられる施策であるかの確認を行います。また、施策を実施してからも、現場に出向き、検討当時気づかなかった問題点がないかを確認し、新たな課題が判明した場合、すぐに打ち手を講じてきました。

(2)構想策定・実施計画策定については、2004年7月21日付の「次期営業店/センター事務の基本構想~事務コスト1/2を目指して~」において、現状分析に基づき課題を明らかにした後、りそな銀行様としてのあるべき姿を描き、それに向けた段階的な計画を策定しました。特に、改革の初期段階で、営業店をこれまでの姿と大きく変える施策を打っていますので(「クイックナビ」を擁する次世代営業店への転換)、その施策の背景にある経営層の意思を、現場に徹底して伝える必要がありました。営業店の支店長に向けてはもちろんのこと、各担当者に向けても説明会を実施しました。その際、誰に向けての説明会でも、基本的な考え方を示す説明資料は、構想書からの抜粋である共通の内容でした。その後、様々な施策を打ちますが、期待する成果が上がらない時は、構想書に立ち返り、施策案の見直しか、構想と実施計画自体の見直しを行い、新たな目標の追加など修正を加えていきました。

【図2】「次期営業店/センター事務の基本構想~事務コスト1/2を目指して~」より
【図2】営業店/センター事務改革の目標

そして、(3)継続的なモニタリングについてですが、私は、これまでの多くの金融機関に向けてのご支援を通して、どの金融機関においても弱いのが、いわゆるPDCAのうちの、“C”だと感じていました。非常に優れた計画と現場への通達まではかなりの力を割くのですが、多くの場合、施策はその成果をきちんと測られることなく、次の問題点・課題に向けて施策の検討を行うことに注力するため、同じ課題がしばしば現れることが多いように感じます。りそな銀行様のオペレーション改革においては、先に述べた「事務量」を積極的な方法で活用し、改革の進捗状況を常に確認し、改革進行中の「今」に対する打ち手を講じることを繰り返しました。

改革施策は常に順調に成果を上げ続けているわけではありません。成果が頭打ちになった際、そこで「良し」と判断するのか、更なる一歩の前進のために、経営層・本部・営業店がどのような打ち手を講じるのか、が重要な点だと思います。

3. 10年間の取り組みの概要

ここまで、りそな銀行様の改革成功の鍵を私なりにまとめましたが、これから、この10年の活動を振り返り、概ね以下の内容でご紹介していきたいと思います。

(1) 富士通総研が継続的にご支援することになった経緯(統合前・事務量導入支援)
(2) 公的資金注入後のプロジェクト(コスト削減PT、原価構成の明確化)
(3) 新生りそなへ(営業店改革コンセプト・事務戦略)
(4) 新しい店舗作り(試行店・次世代営業店・クイックナビ⇒外から見えるところ)
(5) 次世代営業店を支える仕組み(事務施策⇒外からは分かりにくいところ)
(6) 事務量の活用(経営・本部・現場が共通活用する成果レポート、改革推進ツールとしての事務量)
(7) システム開発準備(連携DB、新しいシステムを作り出す手順)
(8) 事務集中センター改革(効率化・センター再編成)
(9) スマート店展開・チャネル間連携DBの開発準備
(10) ローン・融資業務改革

次回は、(1)の富士通総研が継続的にご支援することになった経緯と、きっかけとなる「事務量」について、ご紹介したいと思います。

シリーズ「りそな銀行オペレーション改革10年の歩み」

(2)ご支援の経緯と「事務量」

(3)公的資金注入(コスト削減プロジェクトの活動・原価構成の明確化)

(4)新生りそなへ(営業店改革コンセプト・事務戦略)

(5)新生りそなへ(「思い」を「形」へ 試行店開設)

(6)新生りそなへ(次世代営業店と営業店改革を支える仕組み)

(7)システム開発について

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平岩淳子

平岩 淳子(ひらいわ あつこ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアマネジングコンサルタント
1984年 富士通株式会社入社、97年 株式会社富士通総研へ出向。
金融機関向け事務量・営業店構想策定・営業店改革・事務集中センター効率化・事務処理方式開発などに従事。