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  4. ダイバーシティ経営の中で高まる高度外国人材の活用ニーズ(前編)

ダイバーシティ経営の中で高まる高度外国人材の活用ニーズ(前編)~高度外国人材活用のメリットと課題~

2013年7月31日(水曜日)

1. 注目される高度外国人材

政府の成長戦略の中でも取り上げられているように、近年、「高度外国人材」という言葉がよく聞かれるようになってきています。高度外国人材は、一般的には、以下のような定義で語られることが多いのですが、なぜ高度外国人材が注目を集めているのか、その背景と今後について、2回に分けて述べたいと思います。

今回の前編では、日本企業において高度外国人材の活用がなぜ必要なのか、高度外国人材を活用することのメリットとその課題について記述します。また、後編では、日本企業が高度外国人材を活用してより高い効果を上げるために、どのような点に留意すべきか、企業と高度外国人材の考え方のギャップを踏まえながら、高度外国人材を活用していく際のポイントについて述べます。

高度外国人材の定義

・外国籍を保有する人材
・企業において「大卒または大卒相当のパフォーマンスを上げている」人材
・在留資格分類では、「研究(企業内の研究者)」、「技術(機械工学等の技術者、システムエンジニア等のエンジニア)」、「人文知識・国際業務(企画、営業、経理などの事務職、企業内通訳、デザイナー等)」の資格に分類される人材

2. ダイバーシティの要は高度外国人材

近年、グローバル化が進む中で、日本の企業経営において、「多様性」に価値を置くダイバーシティ経営への重要性が広く認識されてきています。

ダイバーシティ経営は、性別、年令、国籍、障害の有無に関わらず、多様な人材を活かして、その能力を最大限に発揮できる機会を提供し、イノベーションを生み出し、価値創造につなげる経営を指します。

日本でもダイバーシティ経営への取り組みは、これまでも行われて来ましたが、その中心は、女性の活躍とその推進を軸に置いたものでした。一方、海外の先進的なグローバル企業は、年令、学歴、国籍、人種、宗教、民族、性的指向に至るまで、広くダイバーシティと捉えて、多様な人材の多様な価値観を認め、その多様性を生かすことで、組織の活力やイノベーションの創出を図ろうとしています。

経済のグローバル化がますます加速する中で、生産拠点や市場を海外に求め、先進国だけでなく、新興国の企業とも競争にさらされるようになってきた今日の日本企業にとって、多様な文化を背景に多様な価値観を持つ人材を獲得することは、大企業だけでなく、中堅・中小企業においても、重要な人材戦略となってきているのです。日本の経済活力を高め、企業の国際競争力を強化するためには、国内人材の活用と併せて、高度な技術や専門的知識を持った外国人材(高度外国人材)を積極的に活用することが重要であり、今日のダイバーシティ経営の要は、高度外国人材の活用にあると言っても過言ではありません。

事実、大企業はもちろんのこと、中堅・中小企業においても、高度外国人材を活用しようとする動きが徐々に増えつつあります。しかしながら、高度外国人材を受け入れている企業は、まだ限られており、また、受け入れたとしても、外国人ならではの発想力や高度な専門性を有効に発揮しきれていないなど、高度外国人材を活用する仕組みが、十分に整備されていない状況もあります。

安倍内閣が提示した成長戦略においても、「雇用制度改革・人材力強化」の中で、高度な技術や経営ノウハウを持つ海外からの人材の、日本での活躍を促進することが取り上げられており、国としても高度外国人材の活用促進に、さらに積極的に取り組んでいくことを示しています。

富士通総研では、2011年度、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課から「企業における高度外国人材活用促進事業」の委託を受け、高度外国人材を活用している民間企業、そこで働く高度外国人材に対するアンケート調査やインタビュー調査を実施し、企業における具体的な環境整備について検討し、企業向けの「高度外国人材活用のための実践マニュアル」(*) を作成しました。また、今年度は、この取り組みのフォローアップとそのさらなる推進に取り組もうとしています。

以下では、2011年度の厚生労働省「企業における高度外国人材活用促進事業」の委託事業を踏まえ、高度外国人材活用の主たるメリットと課題について述べます。

3. 高度外国人材は企業の内なる国際化を促進する

企業にとって高度外国人材を活用することは、「国籍に関係なく優秀な人材を確保することができる」、「外国語を必要する業務を展開できるようになる」、「海外とのネットワークが広がる」など、自社のリソースだけでは対応できなかったことに対し、高度外国人材を活用することによって、それが可能となるという、大きな効果をもたらしています。実際、こうしたメリットの多くは、外国人ならではの能力を発揮する分野であると言えます(【図1】参照)。

さらに、高度外国人材は、英語力、論理的思考力、自己表現力等の能力が高く、向上心が強い分、リーダーシップやハングリー精神においても、同年代の日本人社員と比べて優れています。外国人材は、海外から夢を持って日本に来ているため、そのパワーが強く、技術力向上への意欲も強い等の評価もされています。このように、日本人の社員、特に若手社員と比較すると、高度外国人材の仕事に対する意識が高く、日本企業の活性化やグローバル化の推進に、少なからぬ貢献をしていると言えます。

また、高度外国人材が職場に配属されることによって、「周囲の日本人社員が自ら国際感覚を養おうとする姿勢が見られるようになる」、「社内で英語が飛び交うようになり、日本人社員のグローバル意識を刺激している」など、結果的に日本人社員に対する教育効果も高めているのです。グローバルな事業展開を推進してはいるものの、企業内部でのグローバル化が進まない日本企業にとって、高度外国人材は、内なる国際化を促進する貴重な存在になっているのです。

【図1】高度外国人材を活用するメリット
(出所:厚生労働省「高度外国人材が求められる産業および国内人材の育成に関する調査報告書」平成24年3月) 【図1】高度外国人材を活用するメリット

4. 高度外国人材活用のネックは職場の上司

高度外国人材の活用は、企業にとって、今までとは違った全く新しい刺激や効果をもたらす一方で、多くの課題があることも事実です。

多くの企業が直面している課題の1つに、「高度外国人材を活用するノウハウが不足」、「高度外国人材の育成に時間がかかる」、「キャリア形成における高度外国人材と日本企業の乖離」などの人事・労務管理上の問題があります。

また、「文化・習慣の違いによって生じる不具合」、「日本企業の企業文化、商習慣に適応しない」、「高度外国人材とのコミュニケーションがうまくとれない」などの異文化の壁に関することも大きな課題となっています(【図2】参照)。

言い換えれば、高度外国人材の活躍・活用を促進するためには、高度外国人材を受け入れる職場の異文化対応能力を強化することが必要であるということです。そのためには、外国人に日本での働き方を教育すると同時に、日本人社員が、異なる生活習慣、宗教、文化への理解を深めるための教育や訓練を受け、身につけることが重要になります。特に、外国人が配置される日本人の上司には、高度外国人材と共に働く際の心構えや、接し方等について教育訓練することが、より一層大切であり、また、こうした取り組みが、高度外国人材を活用する副次的なメリットと言われる、日本人社員のグローバル対応能力の向上にもつながっていくことになるのです。

前編では、高度外国人材の活用により、海外とのネットワークの拡大や、日本企業の内なる国際化を促進するなどの良い刺激を与えていること、さらに、高度外国人材の良さを充分に活かしきれない課題について述べました。次回の後編では、日本企業が高度外国人材を活用してより高い効果を上げるために、どのような点に留意すべきか、企業と高度外国人材の考え方のギャップを踏まえながら、高度外国人材を活用していく際のポイントについて述べます。

【図2】高度外国人材を活用するに当たっての課題
(出所:厚生労働省「高度外国人材が求められる産業および国内人材の育成に関する調査報告書」平成24年3月) 【図2】高度外国人材を活用するに当たっての課題

注釈

(*)「高度外国人材活用のための実践マニュアル」 : 厚生労働省http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/oshirase/110224a.htmlを参照。
平成25年度には、より内容を拡充した実践マニュアルの更改版が作成される予定です。

シリーズ

ダイバーシティ経営の中で高まる高度外国人材の活用ニーズ(後編)
~高度外国人材活用のポイント~

関連コンテンツ

セミナー「高度外国人材は企業競争力を高める (主催:厚生労働省)」

論文「グローバル化の中で期待される高度外国人材の活用」

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【組織・人材戦略】
組織・人材に関わるダイバーシティー、グローバル化、技術・技能伝承などの課題を踏まえ、戦略策定から、制度設計、人材・組織開発をお客様とともに実施していきます。


狩野史子

狩野 史子(かのう ふみこ)
(株)富士通総研 環境事業部マネジングコンサルタント
東京銀行、東京三菱銀行(現 三菱東京UFJ銀行)を経て、1998年(株)富士通総研入社。
専門分野は、人材育成関連分野、国内外の産業調査・企業調査、MOT(技術経営)関連の各種調査、コンサルティング等。