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ビッグデータがもたらす製造業の商品企画変革

2013年5月7日(火曜日)

1. はじめに

商品企画に求められているコト…、5年前までは「高付加価値型商品の開発」でしたが、我々がお客様へのコンサルティングを実践する中で、今、その要求か変化していることを強く感じています。

新たなプレイヤーの出現やグローバルでの競争という課題を突きつけられた企業は、数年前より主に新興国対応として「低価格化商品の開発」を強く意識し、事業としては現地生産化推進、商品企画部門としては機能/性能の絞り込みによる低価格商品の投入などの施策を試みてきました。

また、従来からあった「お客様のニーズに対応した商品の開発」という要求に対しても、“少しでも先取り”、“少しでも早く市場に投入”という厳しい条件を突きつけられていると認識しています。

2. ビッグデータ活用の可能性

今回、商品企画部門として「お客様ニーズの先取り」と「早期の市場投入」を実現するための方策を考えてみたいと思います。

まず、今までの商品企画/市場投入と比較して、“お客様ニーズの先読み度向上”、“お客様ニーズとの適合性向上”、“商品の市場投入までのスピードアップとコスト抑制”の観点に着目することが必要です。これらの解決の選択肢の1つとして、ソーシャルメディア上の情報や購入された商品の使われ方(POU:Point Of Use)情報などのビッグデータ活用が注目されてきています。

お客様の購買心理は、AIDMA(Attention Interest Desire Memory Action)からAIDEES(Attention Interest Desire Experience Enthusiam Share)等に変化していると言われて久しいですが、最後の“Share”が簡易にできるのが近年充実してきたソーシャルメディアであり、これを上手く活用することで商品企画業務を変革させる可能性があります。

【図1】顧客の商品購買心理プロセスの変化 【図1】顧客の商品購買心理プロセスの変化

このソーシャルメディア上の発言情報とPOSを中心とした商品の売れ行き情報やコンタクトセンターでのお客様との会話情報等、既存のマーケット分析にも活用していた情報に統計的な相関を見つけることで、自社ユーザー以外も含めた幅広いお客様の声から新たな商品の機能や性能、デザイン等の検討とターゲッティングができるのではないでしょうか。

例えば、CDやDVDの売れ行きとソーシャルメディア上の発言内容/トレンドを実際に見てみると、そのタイトルやアーティスト等に対するポジティブ発言の出現数とネガティブ発言の出現数、発言総数(話題度)を売れ行きの先行指標として、利用できる可能性が出てきています。
 コンテンツのカテゴリによっては、売れ行きとの相関を見つけることが難しいケースもありますが、この結果はCD/DVDの製造販売元にとって、いつ、どのタイ トルを、どれくらい増版するかの判断をより早期化/最適化し、販売機会の最大化と売れ残りリスク最小化を実現し得るものと考えます。

また、POUから購入された商品の使われ方を理解することで、訴求ポイントの追加・変更による商品コンセプトのリニューアルにも有効であると考えています。

さらに、リニューアルを含む新商品に対してお客様がどのような反応を示すのかをソーシャル情報からシミュレーションすることで、アンテナショップ等を活用したテストマーケティングの期間、コストを抑制することにもつなげられる、すなわち市場投入のスピードアップに貢献できるのではないでしょうか。

3. 新しい商品企画プロセスとそのメリット

前述のようにソーシャルメディア情報を中心に、ビッグデータと言われる情報と今まで利用してきた情報を組み合わせることで、商品企画/市場投入プロセ スを効率化し、最大限の効果を得られる仕組みを作れると考えています。

<新しい商品企画のプロセス>

  1. ソーシャルメディア情報の収集
  2. POSデータ、コンタクトセンターの会話情報、POU情報等の収集
  3. 販売実績と商品に対するコメント、使われ方の相関分析
  4. 新しい商品の企画・設計
  5. 商品機能・性能・デザイン・価格を市場投入した時の反応シミュレーション

【図2】新しい商品企画プロセス概要 【図2】新しい商品企画プロセス概要

ビッグデータを活用した商品企画プロセスでは、以下のメリットを想定しています。

  • 潜在顧客の声も収集できるため、より実態に近い市場・ニーズの予測が可能
  • 新しいターゲット層の発見
  • より市場ニーズに適合する商品の企画
  • テストマーケティングの省略(スピードアップ、コストダウン)

4. 今後の課題と解決の方向性

ソーシャルメディアの情報は万能のように述べてきましたが、留意すべきポイ ントも少なからず存在します。まず、ソーシャルメディアの情報はソーシャルメディアを利用していない層のニーズを取り込めないということ、また、記述されている内容の真偽を見極める必要があるということ、記述している人の属性特定がマーケティングの障壁になる場合があること、そして、記述する人の影響力が異なるということです。

そのため、ソーシャルメディアでどのような評判なのかを知ると同時に、目的に応じてアンケートによる市場調査やPOS/POU情報を組み合わせ、情報の信頼度、インフルエンサーの特定や属性推定の必要性を考慮した業務設計が必要となります。

特に属性推定については、マーケティングリサーチ分野で購買傾向等の情報だけでなく、ソーシャルメディア情報も活用することが一般的な考え方となってきました。例えばソーシャルメディアで「ウチの奥さんが……」とあれば、配偶者が存在する男性と推測されるなど、発言内容から推定される属性からプロファイル精度を高めた分析を行おうとしています。

ビッグデータを活用した商品企画業務の設計は、取り扱う商品やビジネスモデルによっても異なると考えています。私たちは、お客様と一緒にソーシャルメディア情報やPOU情報を活用した商品企画業務の変革を推進し、製造業の競争力強化を実現したいと考えています。

関連サービス

【マーケティング戦略】
生活者が行うブログなどの口コミ・思考情報や、購買履歴など購買プロセスを通じて蓄積される大量の情報を分析したマーケティング戦略策定を支援します。

【製造業】
製造業には、ものづくりによるグローバルな競合他社との差別化に加え、製品を取り巻く様々なサービスを組み合わせた高付加価値の事業展開が求められます。製品設計や生産、販売などの基幹業務改革だけでなく、経営・事業戦略の策定や人材育成など、多面的な視点でお客様の事業の強化を図ります。


竹本将和

竹本 将和(たけもと まさかず)
(株)富士通総研 産業事業部 マネジングコンサルタント
1994年 三井生命保険入社、営業支援部門を経て、顧客接点に関わる業務/情報システム企画に従事。
2000年 プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント入社、データ ウェアハウス、CRMに関するコンサルティングに従事。
2002年 富士通(株)入社、2004年 (株)富士通総研出向、現在まで幅広い業界への顧客接点、情報システム部門強化を中心としたコンサルティングを担当。
CRM協議会理事・ベストプラクティス賞選定委員。