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現場現実のグローバルICT展開 ~中堅企業の海外展開の悩みを解消!~

2013年4月30日(火曜日)

1.日本企業の海外展開の動向

これまで海外展開の主流は大手企業でしたが、数年前から中堅・中小企業にまで拡大している傾向にあり、近年この動きが更に激しくなっています。また、事業の中心および売上の半分以上を海外が占めるという企業も増加しています。

内閣府の「平成23年度企業行動に関するアンケート調査報告書」でも、海外現地生産を行う製造業の割合は、平成元年度に36.0%だったものが平成22年度には67.6%に達し、平成28年度には69.8%となる見通しが発表されています。

既に海外に拠点を持っている中堅・中小企業のうち、7割以上の企業が今後の海外事業を強化・拡大する方向性を示しています。(【図1】)

【図1】中堅・中小企業の海外事業展開の見通し 【図1】中堅・中小企業の海外事業展開の見通し

今やビジネスおよび会社構造において国内と海外を意識することなく、グローバルなビジネス形態やICT・ネットワークの構築を実現することが不可欠となってきています。

2.中堅企業が抱える海外拠点展開の悩み

このような状況の中、特に中堅の製造業は大手企業の海外進出に追随したり、コスト削減のために海外進出を余儀なくされてきたりしたのが実態だと思います。先ずは拠点立ち上げという形で進出し、各国の拠点事情・事業拡大に合わせてICTを個別に導入してきたお客様が多くあります。これらのお客様ではここ数年の海外事業比率の増加により、各海外拠点の経営状態が会社経営を大きく左右するようになり、ICTの見直しが注目され始めています。

しかし、ほとんどの中堅のお客様は今まで海外に大きなIT投資をされておらず、各拠点別の仕組みや異なった簡易パッケージで運用されている状況がほとんどです。現在は連結決算処理の段階で海外拠点とやり取りし、日常業務において個々の販売状況や生産・在庫の実態まで把握しているお客様はまだまだ少ないのではないかと思います。

このように日々のオペレーション的な問題もありますが、中堅企業の大きな課題や悩みは以下の3つに大別されると考えています。

  1. 業務やシステムが海外拠点ごとに異なっているため、業務の標準化と情報システムの統合化(統合ERP化)を図って行きたい。
  2. 海外拠点にシステムを導入・展開する際、統合システムのレベルや展開方法・順序をどのように考えればよいか分からない。
  3. 今後の情報システムはERPパッケージだと考えているが、どのくらいの費用を考えればよいか、自分達が考えている投資規模で収める方法はあるのか、良いヒントが欲しい。

一方、これらの課題に対応できる人材も時間も限られており、なかなか一歩を踏み切れないような諸事情があることを、日々のお客様への対応から感じています。

3.グローバル拠点展開のポイント

このようなグローバル展開の悩みを持ったお客様に対して、富士通総研では、グローバル展開企画を2~3か月で立案するサービスを提供しています。中堅・中小企業のお客様の本質的な悩みに現場目線で対応させていただいています。(【図2】)

【図2】グローバル展開企画実施の流れ 【図2】グローバル展開企画実施の流れ

グローバル展開の企画検討を実施する方法として、【図2】に示すステップで検討することを基本としています。これらのステップを実施する上での重要なポイントは、「業務の標準化と統合化」「現場に即したグローバル展開企画」「トータルコストミニマム化」の3つのアプローチ方法です。

  1. 業務のものさし(ベンチマークツール)を使った業務標準化/統合化の実現
    富士通総研ではベンチマークツールを活用し、数十項目のアンケートに答えていただくことにより、グローバルレベルの業務成熟度、グローバルな課題、共通化領域を短期間で把握しています。各拠点での業務運用や対応システムが異なっているものを統合していくために、ベンチマークツールを使うことで各国業務の違いやビジネス特性、現行の課題を把握し、共通業務と地域特質業務が短期間で明確化できます。また、これらのグローバル視点の課題に対して標準的なテンプレートおよびリファレンスから解決策を抽出し、業務運用シナリオを確立させ、標準化と統合化を推進して行くアプローチです。
  2. 展開企画コンテンツの活用による現実解の提供
    また、拠点展開の進め方として、グローバル展開ポリシー策定の方法論を整備・活用し、現実的な展開方式を導き出しています。展開において重要なポイントは、着手優先度の観点とグルーピングの視点です。優先度としては、事業/品目、ビジネス戦略性、ビジネス法規制、地理、人的資源、事業類似性、事業規模、言語、システムの老朽度、システム改善時期、統治難度、移行難度、ローカライズ会社要件の難易度の観点を総合的に判断し、優先度を決定するのが特徴です。さらに、導入グルーピングの観点として、同一国/近隣国、システム環境類似性、協力体制の双方の観点を入れて展開順序を考えます。

    例えば、自動車部品サプライヤーのお客様では、事業の将来性(規模)と対象事業/品目、協力体制、近隣国を展開優先パラメータとして重視し、グローバルに5つの展開グループを決め、優先となる事業領域から順次導入する展開計画を立案しました。

    展開する上で非常に重要なことは、まず、どこの拠点をスタート拠点に選ぶかということです。プロジェクト全体が成功するか否かが決まってくるため、お客様の中でも事業や規模の面でインパクトがあり、かつ成功に導きやすい拠点を第一に選択することが成功の秘訣であり、重要なポイントになります。

    【図3】海外展開方針(観点一覧)
    【図3】海外展開方針(観点一覧)
  3. トータルコストミニマム化の実現
    最後のポイントは、いかにして妥当性があり経営トップも納得できる費用計画に落とし込むかということです。10年前ならまだしも、現在はコンパクトでシンプルに構築し、費用を最小化することが主流(特に海外展開では)であると実感しています。

    そのためには、実現するソリューションを決めてパッケージに合わせていくアプローチが不可欠です。パッケージと実際の業務の流れが違うからといってカスタマイズするのではなく、業務を変える方法はないか、変えた場合どのような問題が起きるかを議論し、致命的な業務以外は現場の方々を巻き込んでソリューションに合わせて行くアプローチを徹底的に推進することが大切です。

    ここで最も重要なのが、推進の雛形である業務テンプレートです。富士通総研では、SAP Best Practicesに富士通の過去の経験と実績から地域・業種特性を組み込んだグローバルテンプレートを用意しています。このグローバルテンプレートを使い、プロトタイプ的アプローチ(実際に動くシステムを確認しながら)でユーザー部門とディスカッションし、決定していく方法を提案しています。

    さらに、展開企画の段階から導入、運用・保守まで一貫して短納期で実現することが、トータルコスト削減の最も重要な要因だと考えています。フェーズごとに協力・支援会社を変えられているお客様もおられますが、フェーズの重複と後戻りが発生し、コスト増大と責任の不明確化が生じ、その結果、期間と費用が増加します。こうした企画から運用までのトータルサービスを富士通グループで一貫してご提供できることが重要なポイントになり得ると考えています。

    また最近では、ゴールドラット博士の「TOC(theory of constraints)」の生産管理・改善理論を取り入れ、プロジェクト管理の「CCPM(Critical Chain Project Management)」を適用し、開発期間と開発コスト削減を実現した事例も出始めています。

これまでグローバル展開の悩みや対応の方向性、ポイントについて述べてきましたが、グローバル展開をご検討されているお客様のヒントになれば幸いです。

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巣山 邦麿

巣山 邦麿(すやま くにまろ)
株式会社富士通総研 ビジネスプロセスソリューション事業部長
1991年 株式会社富士通総研入社以来、産業系のコンサルティングに従事。
2010年よりERPソリューションを軸としたコンサルティングで活動。専門領域は製造業のSCM、生販流およびERP適用コンサルティング。組立系の製造業を中心に、石油、製薬、建設、食品、繊維等、多種の業態にも携わり、主に現場志向の実践的/検証型アプローチによるコンサルティング活動を行っている。