GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. オピニオン >
  4. 地域金融機関の強みを活かした地域活性化に向けて

地域金融機関の強みを活かした地域活性化に向けて

2013年1月8日(火曜日)

1. 地域金融機関の目指すべき方向性

少子高齢化や円高などによる景気の停滞、生産拠点の海外シフトなど、金融機関を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。特に、都市部に比べて地方では、若年層の県外流出や、地場産業の衰退など、一層深刻な状況となっており、従来に増して経営基盤を拡大していくことが難しい経営環境にあります。

このような状況の中で、地域金融機関では、与信判断の高度化や窓口事務の効率化などによるコスト削減など、従来からの取り組みを一層強化しています。また、法人顧客への経営支援や個人顧客への運用相談など、個々の顧客に木目細かいサービスを提供し、多様な商品を提供することで、顧客あたりの収益拡大を図ることに注力しています。

しかし、営業基盤としている地域の経済が停滞している中では、個々の顧客取引に対するコスト削減や収益拡大の取り組みだけでは、地域金融機関の経営を大きく改善することは難しいのが現実です。

そこで、一部の地域金融機関では、中心市街地の活性化や特産品の販路開拓、地域の特色を活かした観光産業の支援など、営業基盤とする地域の活性化に主体的に取り組むことで、単なる資金提供者にとどまらない、地域の中心的な役割を担っていこうとしています。

営業基盤とする地域の行政や企業、住民や市民団体などと協力し、地域社会の維持・発展を図ることで、結果として自らの持続可能な経営を実現することが、これからの地域金融機関の目指すべき方向性だと考えられます。

【図1】地域金融機関が目指すべき方向性
【図1】地域金融機関が目指すべき方向性

2. 地域が期待する地域金融機関の役割

一方、地域活性化の取り組みに目を向けると、税収減や福祉コストの増加など、自治体の財政が厳しくなる中、企業や住民、市民団体など地域の主体が自ら、あるいは協力して地域課題に取り組む「自助・共助のまちづくり」が注目されています。既に、多くの地域で取り組みが始まっていますが、2つの課題に直面し、活動が滞っている地域も散見されます。

まちづくり課題1 「持続的な推進体制を確立」

「自助・共助のまちづくり」では、産・官・学・民など多くの組織や人が関わります。そのため、調整に多大な労力を費やし、その精神的負担は計り知れません。義務感や生半可な気持ちだけでは長く取り組むことができないのです。

地域が中心となって推進体制を確立する上では、地域金融機関が有している行政や企業、住民など多くの人的ネットワークを活用することが有効な解決策になると考えられます。

まちづくり課題2 「運営資金の捻出」

実際に取り組みが始まると、運営資金という2番目の大きな課題に直面します。

運営資金を行政からの補助金等に依存せず、企業や住民などに幅広く募集する市民ファンドなどの取り組みが始まっていますが、資金を募る主体が市民団体などでは、信頼や理解が十分に得られ難いことも多く、資金を集めようとしても期待には程遠いという例も珍しくありません。

加えて、企業や住民の出資で確保した資金のみで取り組みを継続していくことは難しいため、「まちづくり」の取り組みの中で新たな消費を産み出し、その収益の一部を「まちづくり」に再投資する、といった資金が循環する仕組みが必要となります。

本業として金融サービスを提供しており、地域の企業や住民から高い信頼を得ている地域金融機関が、「まちづくり」に主体的に関わることで、地域の中で資金が循環し、継続的に取り組みが続けられる仕組みの一端を担うことが期待されています。

3. 地域金融機関による地域活性化の方向性課題解決に向けたアプローチ

地域の中で資金を循環するという観点から見ると、例えば、米国では地域再投資法(CRA)に基づいて、低所得者層への住宅供給やコミュニティサービス、中小企業への投融資といったCRA上の「地域開発」に金融機関から資金が投入されており、地域の資金循環に一定の役割を果たしています。

日本でも、銀行の出資規制(いわゆる5%ルール)の見直しにより、地域金融機関が融資に加えて出資による資金支援を行うことで地域の中小企業の成長を後押しするなど、規制緩和も含めて地域金融機関のあるべき姿が検討され始めています。

しかし、制度改正までには時間を要することに加え、株価下落で含み益を抱え株式保有残高を圧縮してきた地域金融機関が、出資というリスクを取ることには企業文化の変革が必要となり、長い道のりとなることが予想されます。

そこで、地域活性化の第一歩として、地域金融機関の強みである豊富な顧客基盤に対して、従来より提供しているサービスを地域活性化の観点から少しずつ見直すなど、実現性の高い取り組みから始めることが考えられます。

例えば、地域活性化の取り組みの中で、住民の参加を促すために導入される地域ポイントと、地域金融機関のポイントサービスが連携することで、地域内での資金循環を高めることができると考えられます。地域金融機関が保有する顧客情報を活用して、顧客毎に様々な用途で利用できる地域ポイントを付与することで、顧客の潜在的な購買意欲を掘り起こし、地域の小売店などへの送客により地域内での消費を高めることが可能でしょう。

地域金融機関の豊富な顧客基盤が十分に活用できれば、多くの取引先企業と連携し、幅広い個人顧客に対して多様なポイントサービスによる送客が可能となり、地域経済活性化にも大きな効果が見込める取り組みだと考えられます。

実際に、一部の地域金融機関では地域ポイントとの連携に取り組み始めており、今後、地域活性化の面からも効果を発揮することが期待されています。

4. 地域金融機関による地域活性化の実現に向けて

地域の持続可能な発展とともに地域金融機関の経営の安定化を図っていくためには、地域活性化に関するスキル・ノウハウに加えて、地域金融機関の経営や営業推進および、それらの仕組みを支えるICTに関するスキル・ノウハウが必要となります。 

富士通総研の金融機関向けコンサルティングでは、地域金融機関におけるマーケティングマネジメントの高度化や中小企業向けの営業推進支援、新ローン商品導入、次期システム化構想立案など多様な実績を有しています。

また、地域活性化のコンサルティングでは統計調査や住民アンケートなどの現況調査から地域が目指すビジョンの策定、地域活性化に資するビジネスモデル策定と展開計画作り、地域の特産品などを踏まえたブランド作りなどを総合的にサポートした多数の実績を有しています。

富士通総研では、上記のような実績、ノウハウ・スキルを活かし、現況調査によってそれぞれの地域特性を把握し、地域金融機関と行政や地域の関係者とともに目指すビジョンを策定した上で、地域金融機関を中心とした地域の関係者とともに、その地域に合致した持続的な地域活性化の推進を支援いたします。

これから地域金融機関が地域活性化に主体的に取り組む際には、是非ご相談ください。

関連サービス

【社会・産業基盤に貢献するコンサルティング】
国や地域、自然環境などの経営の土台となる社会・産業基盤との全体最適を図ることで、社会そのものに対する真の経営革新、業務革新を実現します。

【金融】
富士通総研の金融コンサルティングは、「経営・リスクマネジメント」、「顧客チャネル改革」、「IT戦略策定」という重要経営課題に対して、豊富な実績に基づき、金融機関の競争力強化を支援します。


服部 隆幸

服部 隆幸(はっとり たかゆき)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアコンサルタント
【略歴】2002年都市銀行入行、2006年より(株)富士通総研入社。
都市銀行での業務経験を生かして、金融機関の営業推進や新商品導入支援、次期システム化構想立案などに従事。 近年では、金融機関への支援に加えて、地域のスマートコミュニティの取り組みに関する計画策定や事業化に向けた支援にも従事。