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情報価値の創出がビジネスを変革する

2012年11月19日(月曜日)

1.活用されない情報システム

よく受けるご相談に、「同じ業界の先進企業A社はICT化が進んでいる。A社を超えるシステムを構築することにした。ついてはどんなシステム構築しているのか、教えてもらえないか?」といったものがあります。背景には、市場の成熟化が進み、なかなか国内市場で成果を伸ばすことが難しくなってきたこともあります。

しかし、事業のやり方や業務は従来と同じままICTだけ刷新したところで、どれだけの効果が創出されるかは甚だ疑問です。業務を行っている現場は、システムが刷新されて使い勝手は良くなるかもしれませんが、そもそもの業務プロセス自体は変わらないためです。実際、ICTだけを真似たお客様で効果が出ているといった話はほとんど聞きません。逆に「システムは一流なのに、うちでは使いこなせない、活用されない」といった事例がほとんどです。

2.情報活用が鍵を握る

では、何故A社は上手く回っているのでしょうか? A社は化粧品会社ですが、かねてからお客様に販売した主力商品がなくなりそうな頃を見計らって、お客様に連絡を取りアプローチをされていました。アプローチをされたお客様が店頭にみえると、主力商品だけでなく、関連する商品もお買い求めになります。こういったプロセスを踏むことで、A社は業績を伸ばし続けています。販売した商品がなくなりそうになる頃を見計らってアプローチできるのは、現場の販売員の方がお客様ごとのプロファイルを手作業で作っていたからです。実は、A社のお客様が増えるにつれ、この作業が大変になったためシステム化を図ったのですが、雑誌やWeb記事などで紹介されるA社の記事には、手作業で作成していたプロファイルのような地味な作業は紹介されません。そのため、私共にご相談をいただいたお客様は、業績を伸ばしているA社のシステムを超えるシステムを導入すれば当社の業績も伸びるとお考えになったのです。このように、A社の業績伸張の鍵は新システム導入にあるのではなく、顧客の事情に応える情報活用にあるわけです。

3.Gapの解消にチャンスあり

A社の情報活用は、見方を変えると、次のように捉えることができます。まず、「お肌の加齢を抑えたい」というお客様の「目的」と、そろそろ化粧品が減ってきたことは知っていても忙しい日常からお店に行く時間をひねり出すことをついためらってしまいたくなるお客様の「事情」の間にはGapが存在します。一方、企業サイドにも「お肌を若く保つことで気持ちも若く生き生きとした生活を楽しんで欲しい」という目的がありながらも、忘れずに来店して欲しいという「事情」があります。A社は、顧客の「目的」と「事情」のGapを顧客の立場に立って解消することにより、企業の「事情」とお客様の「事情」に阻まれたGapを解消しました。ビジネスの世界には、【図】のように様々なGapが存在します。このGapを解消することで、チャンスを広げていくわけです。

【図】現実には様々なGapが存在している
【図】現実には様々なGapが存在している

4.「特徴」を「特長」に進化させてGapを解消する

一口にGapを解消するといっても、なかなか難しいところがあります。そこで、アプローチの考え方として、企業の持つ「特徴」を、顧客が「特長」と思えるように変革すると考えてみてはどうでしょうか? どの企業にもその企業ならではの「特徴」はありますし、その「特徴」についている顧客もいるはずです。全く新たな市場を開拓するのであれば別ですが、既存のお客様を大切にしながら、ビジネスを変革し、成果を上げていく方が現実的だからです。

例えば、A社の場合には、主力商品の名前が古くから売れていたことが「特徴」でした。この「特徴」を「特長」に進化させるために、次のように考えました。お客様に商品を売りっ放しにするのではなく、お客様ごとに商品の使用期間が異なることを逆手にとって、個人別にアプローチをすれば、お客様が価値を感じていただけるのではないかということです。

実際に、お客様は「私のことを知ってくれている」「親身になってくれている」という親近感を持ち、それが商品力を補完することで、A社の「特長」と映り、顧客が増えていきました。このようにして、ビジネスのやり方を変革したことが、結果としてGapを解消することにつながっていきました。

企業が持つ「特徴」を顧客が「特長」と思えるように進化させることにより、企業と顧客間のGapが解消されます。その際、A社の場合には企業の事情と顧客の事情とのGapを、個人によって異なる商品使用期間という「情報」の活用で解消しました。つまり、情報があればビジネスの変革ができるということではなく、Gapを解消するために情報を活用することでビジネスが変革できるのです。このように、お客様に価値を提供できる情報が、価値ある情報であり、価値ある情報を活用することで、ビジネスが変革されるというわけです。

富士通総研では、情報を活用して「特徴」を「特長」に進化させ、Gapを解消することにより、ビジネスを変革することに寄与できればと考えております。

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今村 健

今村 健(いまむら たけし)
株式会社富士通総研 流通・サービス事業部 事業部長
【略歴】
百貨店を経てコンサルタントとして富士通入社、2008年より富士通総研。
主に流通業のお客様を対象にビジネスプロセス改革、情報化構想立案、
顧客情報分析などのコンサルティングに従事。
近年は、ビジネスを取り巻く環境変化に伴い、新規事業企画や生活者視点に
基づくコンサルティングに取り組む。