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地域との共創によるスマートコミュニティの実現に向けて

2012年8月30日(木曜日)

1. 全国で取り組まれるスマートコミュニティ

全国の自治体においては、厳しい財政状況の中で、解決しなければならない社会的課題を数多く抱えています。それは、いわゆる3E+QOLに代表され、その原因ともなっている人口減少および高齢化対策、産業構造の変化による新たな経済成長モデルの構築、地球温暖化対策等の環境保全、エネルギーセキュリティの確保などです。

このような中、近年では、これら社会的課題を効果的に解決すべく「スマートコミュニティ」あるいは「スマート××」といった取り組みに関心・期待を寄せる自治体も多く、すでに多くの先行的な取り組みも見られます。

しかし、これら自治体における取り組みを見ると、スマートコミュニティという外発的なキーワードだけで先行してしまい、地域が抱えるどのような課題を解決するのか、その方向性が曖昧のままに進んでしまっている場合も多いようです。

また、スマートコミュニティを考える上では、地域の多様な主体が関わり、いかに地域の社会システムとして、効果的かつ持続的に機能させていくかが重要なポイントとなります。このため、自治体の1担当セクション、あるいは1企業だけで取り組むことは非常に難しく、先行する取り組みを見ても、地域の社会システムとして機能するサービスモデルの確立とその実施主体の確保が大きな課題となっています。

自治体の関心・期待が寄せられるスマートコミュニティですが、このようなことを含めて、その取り組みはまだ課題も多く、これからが正念場であると言えます。

2. スマートコミュニティの取り組みにおける自治体の課題

2.1 自治体が抱える3つの問題

自治体が取り組むスマートコミュニティの現状を見ると、主に次の3つの問題があると考えられます。

  1. スマートコミュニティに対する理解と協力体制の不足
    スマートコミュニティというキーワードは、すでにかなり普及しているものの、それ自体が目的化してしまっている場合が多く見られます。また、この取り組みでは、官民問わず、多様な主体の関与が必要不可欠で、自治体内でも、各部署の横断的な連携が求められます。しかし、スマートコミュニティ=環境・エネルギーあるいは企画・政策というような認識で、1担当部署での展開に任されてしまいがちです。
  2. 地域課題が不明確
    前述のように、スマートコミュニティそのものが目的化してしまう場合が多く、何を解決するのか、その方向性が曖昧な状況も見られます。これは特に、民間企業等の提案をそのまま実施してしまう場合に多いようです。
  3. 推進する実施主体や体制が不明確
    スマートコミュニティにおいては、地域の多様な主体が関わり、それが社会システムとして効果的かつ持続的に機能することが重要です。しかし、地域での公平性を考える自治体と、ビジネスを考える企業との間にはギャップが生じてしまい、統一した方向性を持って推進していける体制の確立が難しいということも多いようです。

2.2 スマートコミュニティの取り組みにおける自治体の課題

前述の3つの問題にいかに対応していくかによって、その後の取り組みが左右されます。

そこで、自治体が主体となって、より効率的にスマートコミュニティに取り組んでいくためには、次の3つの課題を解決していくことが必要と考えます。

  1. スマートコミュニティに取り組む意義・コンセプト、そして経済、環境、エネルギー、生活の質の向上、いわゆる3E+QOL等を踏まえつつ、地域で取り組んでいく考え方・方向性について、共通の理解を醸成していくことです。
  2. 地域課題と効果の共有です。これまでのような個別課題に対する施策ではなく、本質的な課題を考えること、そして1つの施策で複数の課題を解決していくといった、本来のスマートコミュニティに取り組むことによる効果を考えて、それを機能させていくことです。
  3. 取り組みを加速・推進するため、関与する企業等との連携体制を構築するとともに、事業主体をコーディネートしていくことです。ここでは、前述のとおり、自治体が考える公平性と、企業が考えるビジネス性の間にあるギャップを解消していくことが非常に重要です。

3. 課題解決に向けたアプローチ

自治体がスマートコミュニティに取り組むプロセスを見ると、概ね【図1】のように示すことができ、前述の3つの課題は、その各段階で生じてきます。

これらを踏まえ、これまでの弊社が関わった事例から、自治体と共に取り組んだ課題解決に向けたアプローチを示します。

【図1】自治体が取り組むプロセスと課題
【図1】自治体が取り組むプロセスと課題

3.1 スマートコミュニティに取組む意義・コンセプトの共通理解の醸成

A自治体では、地域のスマートコミュニティの構想の策定に取り組み始めていましたが、その方向性が明確になっていなかったことから、まずは地域で取り組む意義・コンセプトの理解を図るため、庁内における研修会を開催しました。研修会では、担当セクションだけでなく庁内各セクションの方々にも参加してもらい、スマートコミュニティとは何か、なぜ取り組むのか、進めていく上での考え方などとともに、各セクションの協力の必要性などについての意識醸成を図っていきました。

【図2】スマートコミュニティの考え方
【図2】スマートコミュニティの考え方

3.2 地域課題と効果の共有

B自治体では、地域の経済成長を目指した戦略を策定しており、そこで示された環境・エネルギー分野を推進する一環として、スマートコミュニティへの取り組みを検討していました。

当初、地域にある再生可能エネルギーの活用が主な取り組みとされていましたが、地域の経済成長をさらに推進していくためには、地域が一体となって取り組むための方向性を示す必要がありました。そこで、先に策定された戦略に立ち戻って本質的な課題を検討し、戦略として掲げていた域内市場産業の強化を地域で共有できる課題として設定しました。

この結果、ここで取り組むスマートコミュニティでは、域内市場産業という視点から生活者が実感できるようなサービスモデルが検討され、地域のクリーンなエネルギーを生活者が選択できるサービスモデル等、地域の特性を活かした提案が多く出されるようになりました。現在、ここで提案されたサービスモデルは、地元の民間企業が中心となり、その実現に向けて国の事業等も活用しながら進められています。

3.3 事業主体のコーディネート

スマートコミュニティの取り組みにおいては、協議会、コンソーシアム等を設立し、複数の企業・団体が中心となって進められることも多くあります。しかし、実際に進めていくと、そこに参加していない地元ステークホルダ等、多様な利害関係者との調整も必要となってきます。この場合、中立的な立場のコーディネーターが利害関係者間のトレードオフの調整をしていく必要があります。

これまで関わったプロジェクトでは、富士通総研がそのコーディネーターとしての役割を担うことも多くありました。ここでの調整は、主に関わる利害関係者に対して、サービスを提供する際の条件や懸念される状況等をヒアリングして各ステークホルダ間でのトレードオフを調整するとともに、それを踏まえたサービスモデルを構築・提案していきました。

これによって、企業等が進めていく取り組み、それをサポートする自治体の取り組みなど、役割分担が明確になっていき、プロジェクト全体が1つの方向性に向かって動き出していきました。

【図3】スマートコミュニティ に関わるステークホルダ
【図3】スマートコミュニティに関わるステークホルダ

4. 地域との「共創」によるスマートコミュニティ

今後、自治体でスマートコミュニティに取り組んでいく場合には、前述のとおり、地域の社会システムとして、効果的かつ持続的に機能させていくかを考える必要があります。  

このためには、いかに地域で抱える課題を利害関係者間で共有し、そこにスマートコミュニティの考え方・手段を取り入れること、いわばスマートコミュニティという考え方・手段を用いることによる、地域との「共創」という観点から取り組んでいくことが重要です。

しかし、これは短期間で取り組めることではなく、時間をかけて段階的に、かつ共通認識のもとに一貫して取り組んでいく必要があります。

富士通総研では、このような地域との「共創」によるスマートコミュニティを実現していくため、調査・計画から最終的な事業展開まで一貫した取り組みを提案し、全国複数のプロジェクトに参加しています。また、参加するプロジェクトでは、地域の現状を、環境・エネルギーの視点だけでなく、これまでのコンサルティング実績を踏まえた地域経済や産業、住民生活などの多様な視点から捉えて、そこから導かれた「本質的な課題」を共有した上で取り組んでいます。

これから地域課題を解決するべくスマートコミュニティに取り組む際は、是非ご相談下さい。

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上保 裕典

上保 裕典(うわぼ ゆうすけ)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 シニアコンサルタント
【略歴】1995年建設コンサルタント会社入社、2006年より(株)富士通総研入社。
主に自治体等の地域・産業振興、再生可能エネルギーの導入等に関わるコンサルティングに従事。近年では、その一環として、地域のスマートコミュニティの取り組みに関する計画策定や事業化に向けた支援に従事。