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  4. 情報システム改革を成功させるカギは“企画”と“定着化”にあり

情報システム改革を成功させるカギは“企画”と“定着化”にあり

2012年7月17日(火曜日)

1. プロジェクトの実態

日経コンピュータの調査によると、システム開発プロジェクトの成功率は約3割であり、残り7割のプロジェクトでは、品質、コスト、納期のいずれかにおいて、当初計画とギャップが生じ、計画遵守率が低くなっています(【図1】)。

【図1】情報化プロジェクトの成功率
日経コンピュータ 2008年12/1号 「特集1-成功率は31.1% 第2回プロジェクト実態調査」をもとに編集
【図1】情報化プロジェクトの成功率)

それでは、情報システム改革を失敗させないためには何が必要なのでしょうか? 実在するいくつかのプロジェクトをもとに、情報システム改革の成功と失敗を分ける要因と、失敗を防ぐためのポイントについて述べたいと思います。

2. 情報システム改革が失敗する原因

【原因1】企画の段階で実施しておくべき『準備』の不足

  • 『なぜ、情報システムを変えるのか』、『新しい情報システムによって何を達成するのか』が曖昧で、情報システムを構築することそのものが目的化してしまっている。
  • 情報システム改革の目的が、老朽化対策、保守・運用負荷の削減、ITコスト削減など、一見すると情報システム部門にしかメリットがなく、経営や現場に対する波及効果や度合いが不明である。
  • 情報システム改革に対して社内のオーソライズがとれていない。また、改革をやり切るために必要な社内リソースが十分に確保されていない。この状態のまま、ベンダーに対する提案依頼だけが先行して行われてしまっている。

こうしたケースはいずれも、企画段階において本来実施しておくべき『準備』の不足が原因です。こうした状態のまま進むプロジェクトは、無理・手戻りが発生し、綻びが生じる可能性が高まります。

【原因2】新しい仕組みが定着に至らない

情報システム改革には、業務・制度・組織・ルールの改革が伴います。プロジェクトでは情報システムの『開発』だけでなく、新たな情報システムを前提とした仕組み(業務・制度・組織・ルール)の『定着化』にも目を向けなければなりません(【図2】)。

【図2】情報化プロジェクトにおける2つのタスク群 【図2】情報化プロジェクトにおける2つのタスク群

 しかし、情報システムは計画通りに完成したものの、現場の抵抗にあって導入に至らない、システム導入後の現場に混乱が生じてしまう、導入されても本来の使い方で使われない、といったケースは少なくありません。これらはいずれも、『仕組みの定着化』に向けた活動の不足が招いた結果であり、その原因としてよくあるのは以下のようなものです。

  • 情報システムを開発することに集中したため、定着化活動の優先順位が下がってしまった
  • 社内リソースが開発作業に集中したため、定着化のためのリソースを十分に確保できなかった
  • 定着化活動を行う上で、ベンダー・現場部門・システム部門の役割分担が曖昧だった
    (その結果として、誰にも着手されない『ポテンヒット』のタスクが多発)

3.情報システム改革を失敗させないためのポイント

【ポイント1】企画フェーズの過ごし方

 準備不足による失敗を防ぐためには、企画フェーズをどう過ごすかがポイントです。企画フェーズの重要性を社内で認知・共有し、然るべき体制で実施されなければなりません。企画フェーズで実施しておくべきことのうち、特に重要な3つのポイントについて説明します。

  • 情報システム改革の目的の明文化/御旗(みはた)作り
    情報システム改革によって何を成し遂げたいのか(=目的)を明確にし、広く共通認識が持てる形で可視化します。情報システムは、あくまで何かをやり遂げるための『手段/道具』に過ぎません。システムを構築したその先にある、本来達成したいこと・目標をできるだけ具体的、かつ、定量的に定義することがポイントです。
  • 社内におけるオーソライズ
    取り組みの目的や狙い、業務への影響、実現性、効果について、会社に対する説明責任を果たし、経営や現場のキーパーソンから、ある程度の理解を得ておきます。また、情報システムに対する期待や、改革を阻害する要因・障壁をあらかじめ知っておくことが重要です。
  • 経営層・利用部門を含めた体制化
    プロジェクトにおける重要な判断・意思決定を行うために経営層の積極的な関与は必須です。さらに、利用部門が自ら当事者としての意識を持ち、推進していく体制作りが求められます。『情報システム=情報システム部門で作るもの』という考えではなく、経営層や利用部門のキーパーソンの参画による、全社一丸となった体制化を図ります。

【ポイント2】 仕組みの『定着化』に向けた活動 ~システムを『作りっ放し』にしない~

 仕組みが『定着化されている』とは、情報システムを稼動させるための準備が整い、稼動後の情報システムが正しい方法で活用され、活用を通じて得られるべき効果が得られている状態です。この状態を作り上げるために特に重要なのが、以下の3点です。

  1. 業務の移行準備(日常の業務を新しい環境で行うための準備)
  2. 利用者に対する啓蒙・教育(コンセプトの理解、変更点に対する理解、マニュアル整備)
  3. 利用者の観点によるテスト~新しい業務の検証

これらのタスクは、システムを導入する側の企業(=ユーザー企業)が主体となって推進する必要があるため、そのリソースをユーザー企業でいかに確保するかがポイントとなります。

情報化プロジェクトでは一般的に、フェーズが進むにつれて、ユーザー企業に求められるリソースは増える傾向にあります。しかし、現実的には、様々な制約から、本来必要なリソースに対して十分な量を割り当てられないケースが多くあります。このギャップが大きすぎて、定着化が停滞するケースは少なくありません(【図3】)。定着化に割り当てる十分なリソースを確保するために、定着化の重要性をしっかりと認識し、その計画をいち早く作っておくことが必要です。

【図3】情報化プロジェクトにおいて必要なリソース(イメージ) 【図3】情報化プロジェクトにおいて必要なリソース(イメージ)

4.弊社のコンサルティングサービス

富士通総研では、情報システム改革を目指すお客様に対して、プロジェクトの立ち上げ、情報システム改革の実行~定着化、プロジェクトマネジメントをご支援する各種コンサルティングを行っています。

(1) プロジェクトの立ち上げ支援(プレプランニング)

プロジェクトを本格的に立ち上げるための事前準備活動をご支援します。プロジェクトを牽引していくリーダーの方、企画部門、情報システム部門のご担当者など、コアメンバーを中心に数回のディスカッションやワークショップを行い、以下を形にしていきます。

  • システム改革の狙い、プロジェクトの目標
  • 本来ありたい姿・あるべき姿(経営の観点/業務の観点)
  • ありたい姿・あるべき姿に対する、現状の仕組みにおける問題点・課題

アウトプットは、お客様社内における上申~合意形成のための材料としてご活用いただけるよう、整理・体系化していきます。

(2) 情報システム改革の実行~定着化支援

 新たな情報システムを前提とした仕組み(業務・制度・組織・ルール)の『定着化』をご支援します。

  • 定着化計画の策定(業務移行、利用者に対する啓蒙・教育 など)
  • 定着化に向けて実施すべきタスクの管理、定着化にあたっての課題抽出
  • システム稼動後の活用状況のモニタリング、効果検証(正しく使われているか/効果は出ているか)

(3)プロジェクトマネジメント支援(PMOサポート)

 お客様のプロジェクトリーダーの参謀役となり、情報化プロジェクトのマネジメントを支援します。

  • プロジェクトの進捗状況やボトルネックの収集・整理
  • お客様が主体となって実施すべきタスクの実行状況のチェック、課題管理
  • 経営に対するレポーティング支援

情報システム改革を成功させるカギは“企画”と“定着化”にあります。富士通総研は、情報化プロジェクトの入口となる『企画フェーズ』だけでなく、企画された内容が確実に実行され、仕組みとして定着化されるところまでをご支援致します。情報システム改革を目指すお客様は是非お声掛けください。

関連サービス

【情報戦略】
富士通グループのICTに関わる知見と最新の技術を生かし、経営と業務が一体化した最適なビジネスモデル創造を、最適な投資で実現します。


宮野SC顔写真

宮野 仁賢(みやの よしのり)
株式会社富士通総研 流通・サービス事業部 シニアコンサルタント
システムエンジニアとして、流通業における基幹業務システムの開発に従事した後、富士通コンサルティング事業本部に配属。2007年より富士通総研に出向。主に商社・卸売業のお客様を対象に、業務改革やシステム企画、改革の実行・定着化支援を担当。