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「未来」を形づくる 第3回

未来洞察プログラム編 ~企業の皆様と“未来を創る場”を創る~

2012年2月23日(木曜日)

1. 変化に対し多様性で対応する

企業の中長期の計画や新規事業の企画、技術ロードマップ策定の際に重要になるのは、いかに5年後、10年後の未来を考えるかということです。過去から現在に至るまでの市場の動きを精緻に捉え、よりスピーディに事業構造を最適化していくことが大きな課題となっている一方、そのような延長線上からは想定もできなかったような環境の激変が起きていることも事実です。

そのような状況下、不確実性の高い未来に対して、いかに対処していくかということに悩むお客様が増えてきています。しかしながら、このような大きな変化には、1人の専門家の知識や問題解決力だけでは対応できないということも事実です。全員で未来のビジョンを共有し、そのビジョンに基づいて全員が自律的に対応していくような、極めて高い組織パフォーマンスが求められています。

2. 未来を自分達の手で創る場の重要性

全員で共有すべき未来のビジョンとは、どうすれば得られるのでしょうか? “未来を予測する一番の近道は自分達で未来を創ること”とよく言われますが、それを実践するのはとても難しいことです。

社会・経済動向といった外部環境のめまぐるしい変化の中で、複雑な問題に対して様々なステークホルダーとの関係を変化させながらビジョンを共有し、実現させていく―――。そのような活動に対して十分に人材、時間、コストを充てられている企業や部門はそう多くはありません。視野を拡げて様々な事象を捉えた上で市場の未来を自分達の手で描き、全員の思いを共通化していく場が必要となるのです。そのような場づくりに対するニーズは、徐々に増えてきています。

  • 自社のビジョンを描くための方法論を習得したい(電機製造業)
  • 次世代商品コンセプトを全部門の次世代リーダーで検討したい(什器製造業)
  • 富士通と協同で自社にとってのICT活用の可能性を描きたい(出版業)
  • グループ全体での顧客サービスを考えるワークショップを支援して欲しい (流通業)

そこで、富士通総研では、様々な人が知恵を持ち寄りながら、次のアクションへ結びつける場づくりに向けたサービスを展開しています。非線形の未来を考える多数の方法論の研究をベースに、お客様と一緒にワークショップ形式で実践を重ねて「未来洞察プログラム」へと発展させ、既に複数のお客様と、実際に“未来を創る場”を創ることに取り組んでいます。

このプログラムの特徴は、下記の3点です。

  1. 全員参加・短期間
    自社の未来を創る様々な立場の人が全員で深く関わり、短期間で思いを共通化する
  2. 理論・フレームワーク
    事業創造や組織変革の実践的に裏打ちされた理論やフレームワークを活用する
  3. 創発型ファシリテーション
    創発のプロセスをリードしていくことに特化させたファシリテーションスキル

以降では、このワークショップの概要をご紹介します。

3.未来を創る場づくりに向けた「未来洞察プログラム」

「未来洞察プログラム」は、標準的にはキックオフと8回のワークショップ(以下WS)、計9回の検討会を実施します。WS1~4で、お客様の業界、自社業界の未来を予見し、WS5~7でそれらの予見を受け、戦略領域(ビジネス機会)を抽出し、ビジネスモデルの検討を行います。

【図1】未来洞察プログラム」の標準パターン
【図1】未来洞察プログラム」の標準パターン

ファシリテーターが進め方を説明しながら全体をガイドしていきますが、参加者の方全員が主体的に検討を行い、9回の検討会を通して全員で未来を描き、新たに取り組むべき課題について共有していくということが基本的な考え方となります。

a)キックオフ~

「未来洞察プログラム」を実施する上での背景・問題認識を参加者全員と共有します。「未来を自分達で考えることの必要性」や「そのために何を考えなくてはならないか」といったことをメッセージとして明確に伝え、このプログラムの世界観や共通する思想について参加者全員が共感できることを目指します。上記の背景・問題認識を合わせた上で、検討対象となる「ターゲット領域」の設定を全員で行います。

[ベースとなる理論・フレームワーク]  マンダラート、PEST

b)お客様業界の未来洞察~

【image1】変化の予兆の連鎖から未来を考える「ドライバネットワーク」

【イメージ1】変化の予兆の連鎖から未来を考える「ドライバネットワーク」

自社のお客様となる業界に関わるプレーヤーをいくつかのカテゴリに分類していきます。それぞれのプレーヤーに関わる、今後起こりそうな変化の予兆を抽出し、そこから変化の予兆の関連性を全員で見ていきます。模造紙を使いながら、ダイナミックに「ドライバネットワーク」を描いていき、自社のお客様となる業界の未来が今後どのようになるのかを全員で議論していきます。

ファシリテーターは、このセッションの中で、発想を促したり、議論がより活性化することを狙っていくつか仕込んだ「仕掛け」を駆使しながら、時に他業界でのトピックスや事例を検討の場に提供していきます。

[ベースとなる理論・フレームワーク]  ワールドカフェ(他家受粉)、辺境の創造性理論、中立変化説

C)自社業界の未来洞察~

お客様業界の未来と同様、自社の業界についての未来も検討していきます。個々では、自社の問題点や方向性についての議論はあえて行わず、競合他社の可能性や、新規参入業者の可能性を広げて考えることに焦点を当てます。また、お客様業界の未来洞察、自社業界の未来洞察、いずれも「シナリオシート」としてブラッシュアップしておきます。ここで描かれた10~20以上のシナリオがこの後の戦略領域を検討する重要なインプットとなります。

ファシリテーターはガイドだけでなく、シナリオのストーリー性をより高めるポイントを保有しており、積極的に議論に介入していきます。

【図2】ブラッシュアップし明文化した「シナリオシート」
【図2】ブラッシュアップし明文化した「シナリオシート」

[ベースとなる理論・フレームワーク]  ワールドカフェ(他家受粉)、辺境の創造性理論、中立変化説

d)戦略モデルの検討~

それぞれの「シナリオシート」の内容を振り返りながら、その中で成立しそうな新しい価値の流れと関連するプレーヤーを、複数のパターンとしてデザインしていきます。こういったビジネスモデルや価値の流れを検討するには、ドライバネットワークと同様にダイナミックな検討が必要となります。これまでの検討内容を振り返りながら、複数人でああでもない、こうでもない、と付箋紙を移動させ、追加/統合させながら、手書きで線を引いていくことで、新しい発想が生まれ、そのイメージを全員が共有できるのです。

【image2】付箋紙を活用したダイナミックな検討

【イメージ2】付箋紙を活用したダイナミックな検討

このプログラムでは、こういったプロセスを最重視しており、プロセスを蔑ろにしてアウトプットを作成することだけに注力しても、十分な成果が出ないということがこれまでの取り組みで分かってきています。

【図3】戦略モデルとしての具体化

【図3】戦略モデルとしての具体化

その後、いくつか抽出したパターンを相対的に評価し、内容をより具体化させ、それぞれのプレーヤーの役割や価値の流れ、必要となるコア技術等を明確にしていきます。これを「戦略モデル」と呼んでおり、この後に実現性、収益性を検証していくための鑑とします。

[ベースとなる理論・フレームワーク] ビジネスモデル・キャンバス、ホワイトスペース戦略、U理論

e)業務モデル、収益モデルの検討~

「戦略モデル」をベースに、「業務モデル」「収益モデル」を定義していきます。「業務モデル」は「戦略モデル」を実現するために必要となる自社およびパートナーの業務要件、「収益モデル」は「戦略モデル」の対象として想定される市場やターゲットの想定、そのために必要な投資規模の概算を行うものです。

この段階では当然、精緻な分析や検討を行うにはデータが不十分となりますが、それを大まかな概要として定義することにより、「戦略モデル」の内容をさらに掘り下げていくためにも重要な検討となります。

ファシリテーターはお客様の事業構造について理解した上で、様々な戦略策定のフレームワークをテーマに合わせて提供していきます。

[ベースとなる理論・フレームワーク] 必要に応じて3C、4P、STP、SWOT、5フォース分析、 バリューチェーン分析等のフレームワークで検証

f)今後の計画検討

これまでの検討内容を全体で振り返り、今後の進め方を議論します。「戦略モデル」に至るまでの議論の過程について成果物をベースに振り返り、全体を通しての気づきや今後の課題について、全員でフリーディスカッションを行います。それらを踏まえて、基本的には「戦略モデル」単位に、今後どのような形で実現していくのかを、全員で議論します。最後のこの検討をしっかり行うことで、このプログラムに関わった方々が全員の思いを確認し合い、今後の具体的なアクションへと繋げていくことが可能となります。

4.「未来洞察プログラム」以外の、未来を創る場づくり

【image3】イメージコラージュ手法を活用したコンセプト抽出

【イメージ3】イメージコラージュ手法を活用したコンセプト抽出

上記の「未来洞察プログラム」は、すでにワークショップの回数でいえば、のべ150回、数百人の方々と共に実践してきたこともあり、プログラムは形式化されています。加えて、「未来洞察プログラム」単体ではなく、そこから派生するプログラムの提供も富士通総研で取り組んでいます。

【image4】システムズシンキングを活用した事業シナリオ検討

【イメージ4】システムズシンキングを活用した事業シナリオ検討

直近では、よりコンセプトを具体化するためにイメージコラージュ手法を活用し、R&Dのテーマや、次世代商品のコンセプトを抽出するプログラムを実践しています。また、事業構造の変革要素について詳細検討するためにシステムズシンキングを活用し、事業シナリオを検討するようなコンサルティングも行っています。

最後に、このプログラムの応用パターンをご紹介します。「未来洞察プログラム」は、決して新規事業やサービス創出のような領域にしか適さないというわけではありません。様々な企業や部門のお客様に提供できるよう、プログラムを組み合わせたご提案をさせていただいております。

【表1】未来洞察プログラムを組み合わせた提供プログラムイメージ
【表1】未来洞察プログラムを組み合わせた提供プログラムイメージ

こういったプログラムの提供を通じて、お客様と未来を創ることを我々は目指しています。未来に関する検討の方法や、組織的にビジョンづくりを行う際には、是非ご相談ください。

シリーズ

第1回「未来」を起点としたビジネスへの取り組み ~今求められる「着想」~

第2回 ビッグデータ編~未来の情報活用を形づくる~

関連サービス

【新規事業】
富士通総研の新規事業コンサルティングは、イノベーションによる新しいビジネスモデルの構築を支援いたします。

【未来洞察プログラム】

【未来洞察手法による事業・技術創造】


佐々木 哲也(ささき てつや)
株式会社富士通総研 産業事業部 シニアコンサルタント
2003年(株)富士通総研入社。
製造業の企画業務を中心としたコンサルティングに従事。
現在は新規事業・サービス企画、事業計画策定を担当。