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  4. サプライチェーンの事業継続強化に向けて自動車業界が取り組むべきことは何か?

サプライチェーンの事業継続強化に向けて自動車業界が取り組むべきことは何か?

2011年12月6日(火曜日)

はじめに

日本国内に主要拠点を持つ製造業は、東日本大震災により大きな打撃を受けました。特に国内における基幹産業であり、巨大なサプライチェーンを構成する自動車メーカーへの影響は長期間に及び、当初は被害の全体像をつかむことすらできませんでした。 これらの事象を踏まえ、自動車業界全体で取り組むべき方向性についてご提案させていただきます。

1. 東日本大震災の影響が長期化した理由

東日本大震災で影響が長期化した理由としては、第1に、自社のサプライチェーン構造を事前に把握していなかったため、被災企業の影響がどの程度波及するかが把握できなかった点があります。これは、取引先から供給される構成部品が、どの車種に利用されているかに時間を要したことに起因します。

ではなぜ、構成部品がどの車種に適用されているか分からないのでしょうか?

その理由としては、サプライチェーンの階層が下(1次→2次→3次)になる毎に、各車種のBOM(bill of materials:部品表)が構成部品別に分解されていくため、最終的にどの車種なのか、かつ車種間共通なのか車種固有なのかが、分からなくなってしまうことが挙げられます。

第2の理由としては、被災企業が広範囲かつ復旧再開に時間を要することが明確になったため、代替先の選定・発注、設計変更での対応等が膨大な量になったこと、一部の部品については特注品のため代替がきかず、被災企業の復旧を待たざるを得なかったことも挙げられます。

第3は、東日本大震災は広範囲に被害が及んだため、被害状況の確認、復旧の目処の見極めに時間を要したことであり、原因として被災時を想定したコミュニケーションツールが事前に十分整備されていなかった点が挙げられます。

2. 自動車メーカーにおけるサプライチェーンの課題

以上の点から、自動車メーカーにおけるサプライチェーンの課題を以下に整理します。

  • 自社のサプライチェーン構造、依存関係を明確にすること
  • 代替性が厳しくボトルネックとなるサプライヤーを明確にすること
  • サプライヤーの事業継続能力性の評価を十分に行うこと

【図1】サプライチェーン構造の見える化(1/2)サプライチェーン構造の見える化(1/2)

【図2】サプライチェーン構造の見える化(2/2)サプライチェーン構造の見える化(2/2)

【図3】サプライチェーンの構造上のリスク評価サプライチェーンの構造上のリスク評価

3. サプライチェーンの課題解決にはクラウドサービスの仕組みを活用

自動車業界全体で、上記で挙げたものと同様の課題があると仮定し、以下のような解決策を提案いたします。

  • サプライチェーン構造の見える化
  • サプライヤーの拠点リスク評価
  • サプライチェーンのサプライヤーのBCM評価
  • 発災時コミュニケーションツールとしての活用

これらの解決案の提案については、某自動車メーカーから高い評価をいただいております。また、本課題と解決策は、自動車業界全体での共通的な事項でもあります。(詳細は【図4】を参照)

【図4】クラウドサービスの仕組みを活用した解決案クラウドサービスの仕組みを活用した解決案

4. 想定される効果

上記の解決策を実施した場合には、以下のような効果があると考えております。

  • 解決策1:一次、二次サプライヤーと発注元(自動車メーカー)が取引関係を登録することにより、サプライチェーン構造が自動生成可能
  • 解決策2:サプライヤーの拠点所在地からのリスク評価が可能(大規模地震による被害想定等)
  • 解決策3:サプライヤーの不測の事態発生時における事業継続能力を評価することが可能。また、各発注元(自動車メーカー)が統一指標に基づき、取引先の評価を行うことが可能
  • 解決策4:サービスを利用登録した発注元(自動車メーカー)はサプライチェーン上の取引先が被災した場合の情報を迅速に把握することが可能

5. サプライチェーンの事業継続強化のあるべき姿に向けて

巨大なサプライチェーンを構成する自動車メーカーにおいては、サプライチェーンの平素からの継続強化なくして自社の事業継続の強化は成り立ちません。不測の事態発生時に部品を供給するサプライヤーの状況を正確に把握し、対応処置を迅速に行えなければ、生産の再開は不可能となります。この点に関しては、自動車業界だけでなく、製造業全般においても共通であるため、サプライチェーン対象範囲として事業継続の強化は、不可欠であると考えます。

おわりに

今回ご紹介した内容は、自動車業界全体で共通の課題であるだけでなく、サプライチェーン構造を有する製造業(電機、機械など)共通の課題への解決策であります。そのため、富士通総研では、本取り組みを自動車業界だけでなく、他の製造業のお客様へも展開することを考えております。ご興味があれば、ぜひお問い合わせください。(詳細は【図5】参照)

【図5】今後の展開今後の展開

関連サービス

【事業継続(BCM)】


吉田 哲也(よしだ てつや)
株式会社富士通総研 BCM事業部 マネジングコンサルタント
1992年富士通(株)入社、調達部門にてライセンス業務に従事。2005年プロセス改革事業推進室(現BCM事業部)に異動、2007年(株)富士通総研出向。
富士通社内、および大手製造業向けのBCMコンサルティングに従事。特に、大手製造業のサプライチェーンに関するBCMを中心に活動中。

阿部 学(あべ まなぶ)
株式会社富士通総研 BCM事業部 シニアコンサルタント
1995年富士通(株)入社、SE部門にて流通企業向けにシステム開発業務に従事。コンサルティング事業本部をへて、2007年(株)富士通総研出向。
事業継続計画(BCP)に関するコンサルティング業務に従事。現在もBCP策定からBCM運用における教育、訓練等の企画などを中心に活動中。