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情報の安心安全を考える

2011年11月8日(火曜日)

今回の東日本大震災を受けて、改めて「安心安全」とは、を考える機会が増しています。人命や財産を守るために情報を活用する、即ち「情報で守る」という観点での多くの提案や議論があります。

一方、そもそもの「情報を守る」ということでも、まずは震災の直接被害や、さらに電力問題発生に伴う移転や広域分散化、アウトソーシングの活用、さらにはクラウド活用などの検討も多くなされるようになっています。

ここでは、この「情報を守る」という観点で考えてみたいと思います。

先日、米国防省は「サイバー空間での作戦戦略(Strategy for Operating in Cyberspace)」を発表しました。今回、その内容には細かく触れませんが、サイバー空間を陸海空宇宙と同等の活動エリアとして扱い、国防省自身は軍用ネットワークを主に担当した上で、さらに国土安全保障省(*1)が所管する公共機関や社会インフラ、民間部門のサイバー空間防衛に対する支援を行うというものです。

全く余談になりますが、1990年代後半には、トム・クランシー(*2)がサイバー空間におけるFBIの活動を「ネットフォース」という近未来小説で描いています。その現実版が出てきたような感じがします。

さらに余談です。この戦略発表において、「80年代から90年代に軍が主導して行ったコンピュータ技術研究が、その後、民間分野に波及し、大きなプラス効果を産んだ」というコメントがあったそうです。言うまでもなく、DARPA(*3)から産まれたインターネットのことを言っているわけで、軍事技術の研究開発という国家投資とその民生化による経済効果という、我が国にはないモデルでの国家戦略的なものを強く感じます。

さて、このような作戦戦略が発表される背景には、ネットワークをベースとするサイバー空間が、ただ情報がやり取りされるだけの空間ではなく、既に現実社会と表裏一体の社会経済活動のインフラとなっており、我々の生命や財産の保全に直接的にかかわる存在になっている、という現実があるものと思います。

即ち、ICTにより構築されているサイバーな世界の安心安全は、現実社会の安心安全と同等に捉えるほどのものである、ということです。

このような認識の中で、「情報を守る」ということに関して、サーバやセンターの分散やバックアップがあればとか、さらには安価であればとか、あまりに安易に考えられ過ぎてはいないでしょうか。

例えばクラウド環境で、情報はどこに置かれているかよく分からないが、とにかく「いつでもどこでも」使えるから便利、などと言うだけで済むでしょうか? それこそ、いざという時の安心安全はどうなるのでしょう? 逆にきちんと守れる仕組みを持てれば、それは大きな「価値」になるかもしれません。

EUやオーストラリアなどでは、金融関連の情報を中心に個人情報の国外管理の規制が始まっています。日本においても金融庁を中心に議論は始められているとのことです。

コストを優先し、安易に低価格な海外データセンターを利用することは、政治的問題などカントリーリスクの存在も含めて、今後大きな問題を生む可能性もあります。

野放図にせず、本来ならば「情報安全保障」といった観点と枠組みで、「情報を守る」ということを、技術だけでなく理念からも真剣に考える時期にきていると思います。

注釈

(*1) 国土安全保障省 : Department of Homeland Security(略称:DHS)
アメリカ合衆国連邦政府の組織の1つ。2002年11月に911テロを契機にテロや自然災害など危機管理を一元化し国土の安全を守るために設立された。

(*2) トム・クランシー : アメリカの軍事テクノロジー、軍事シミュレーション小説作家。1947年生まれ。「レッド・オクトーバーを追え」でデビュー。一躍、流行作家となる。

(*3) DARPA : 国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:国防省内局)ここで研究開発されたARPANETがインターネットの原型。

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小村元

小村 元(おむら はじめ)
株式会社富士通総研 執行役員常務 第二コンサルティング副本部長
富士通(株)入社後、官公庁、自治体分野のシステムエンジニアとして、主に公共系の業務システムの構想立案、構築を担当。その後、コンサルタントとして「e-Japan」構想に対応したビジネス推進を担当。BC(Business Continuity:事業継続性)等の対応と共に内部統制についてのコンサルティングに従事。