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  4. 価値観マーケティング ネット対リアル編第3回 ネットとリアルの「売場」の違い

価値観マーケティング ネット対リアル編 第3回

ネットとリアルの「売場」の違い

2011年9月28日(水曜日)

1. 8つの商材と価値観因子の関係

8つの商材について、消費行動を左右する価値観因子との関係を調査したところ、商材によって因子との関連性が認められるものと、認められないものがあることを前回ご紹介しました(【表1】参照)。このような違いが何故生じるのかについて、各商材のリアルな「売場」での購入状況から考察を行いました。

商材別価値観因子との関係

【表1】商材別価値観因子との関係

2. つながり志向が影響する商材

つながり志向(人見知り⇔他人OK)に影響を受ける商材には、テレビ、携帯電話、腕時計が該当します。つながり志向に影響を受けない他の商材(パソコン、プリンター、携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、スーツケース)と売られ方の違いを考察してみると、店員とのコミュニケーション量に差異があると気づきます。

例えば、つながり志向に影響を受けない商材は、購入したい商品を選んでレジで会計するだけで購入することが可能です。デジタルカメラやプリンターなどは、店頭にサンプルが展示してあり、購入したい商品の商品カードをレジに持っていくと、店員がバックヤードから新品の在庫を取ってきて会計することができます。

しかし、つながり志向に影響を受ける商材は、レジで会計するだけでは購入できません。テレビはほとんどの場合で配送手続きが必要ですし、携帯電話も契約変更等の手続きが発生します。腕時計は、展示品がショーケースに入っていることが多く、手に取るにも店員に声をかけなければなりませんし、購入する際にバンドの調節や時刻合わせなど、会計以外の手続きがほぼ必ず発生します。

購入に至るまでの手続きが多ければ多いほど、店員とのコミュニケーション量は多くなるため、つながり志向の価値観因子に影響を受けると考えることが出来ます。つまり、店頭における店員とのコミュニケーションを煩わしく感じる「ふくろう」タイプは、店頭での購入を避け、ネットで購入する方法を選択すると考えられるのです。

3. 外出志向が影響する商材

外出志向(刺激・外出志向⇔安らぎ・巣ごもり志向)に影響を受ける商材には、パソコン、プリンター、スーツケースが該当します。外出志向に影響を受けない他の商材(携帯音楽プレーヤー、デジタルカメラ、腕時計、携帯電話、テレビ)と商品を購入してから持ち帰るまでの違いを考察してみると、持ち運びの負荷量に差異があることに気づきます。

例えば、外出志向に影響を受けない商材のうち、テレビ以外は、すべて「鞄に入る」もしくは、「鞄と同等の袋に入る」大きさで、持ち運びがそれほど苦になりません。反対にテレビは持ち運ぶ前提ではなく、物流業者に配送を依頼するため、持ち運び自体が生じないことが多いです。

しかし、外出志向に影響を受ける商材は、持ち運びが可能ですが、少し負荷がかかるのではないでしょうか。パソコンやプリンターは、小さくなったとは言え、緩衝材が入った包装パッケージは大きく、それなりの大きな荷物になります。スーツケースも同様です。

持ち運びの負荷が高いことに対して、外出志向が強い人はあまり気にせず店頭で購入することを選び、反対に外出志向の弱い(=巣ごもり志向の強い)人は、負荷を気にしてネットで購入することを選ぶと考えることができます。

4. 価値観因子の購買スタイルへの影響

つながり志向(人見知り⇔他人OK)と外出志向(刺激・外出志向⇔安らぎ・巣ごもり志向)の2つの価値観因子とも、購買スタイルに影響を受けない商材には、携帯音楽プレーヤーとデジカメが該当します。

これまでの考察から、この2つの商材は、購入手続きが簡単で、店員とのコミュニケーション量が少なく、かつ持ち運びの負荷も小さい、という特徴があるため、どちらの因子にも影響を受けないと考えることができます。

これらの関係を整理すると、【図1】のようになります。購入の際のコミュニケーション量が多く、かつ持ち帰る際の負荷量の多い商材であれば、つながり志向と外出志向の両方の価値観因子が、購買スタイルに影響するであろうことが予想できます。しかし、具体的な商材の例としては、あまり思い浮かびません。多くの商材が、【図1】に挙げた3つのパターンに当てはまると考えられます。

価値観因子の購買スタイルへの影響

【図1】価値観因子の購買スタイルへの影響

例えば、つながり志向が影響する商材としては、百貨店で売られているようなカウンセリングが前提の高級化粧品や、テレビと同様に配送手続きが必要な大型家具、加工を依頼しなければならないカーテンなどのインテリアなどが当てはまるでしょう。こうした商材では、見知らぬ他人とのコミュニケーションを嫌う「ふくろう」タイプは、店頭を嫌ってネット・通販で購入する傾向が高いと推測できます。

外出志向が影響する商材としては、食器などの重いものや、何冊も購入する時の書籍、軽いが嵩張る収納用品などが当てはまるでしょう。こうした商材では、刺激を求める「タカ/ツバメ」タイプは店頭で購入し、反対に巣ごもり志向の強い「ふくろう/こうもり」タイプは、負荷を気にしてネットで購入することを選ぶと推測することができます。

もちろん、今回の考察した観点(コミュニケーション量と持ち帰る際の負荷量)は、8つの商材には当てはまりますが、他の商材でも同様に当てはまるかどうかについては確かめられていません。別の観点を見落としている可能性もあります。このような懸念点は、今後の研究課題として残ります。

次回は、「商材によって変わるネット戦略」と題して、つながり志向が関係する商材と外出志向が関係する商材それぞれについて、EC化の際に気をつけるべきことを、事例を交えてご紹介します。

シリーズ

価値観マーケティング ネット対リアル編 第1回

価値観マーケティング ネット対リアル編 第2回

価値観マーケティング ネット対リアル編 第4回

関連シリーズ

不安な時代の価値観マーケティング 第1回

不安な時代の価値観マーケティング 第2回

不安な時代の価値観マーケティング 第3回

不安な時代の価値観マーケティング 第4回

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【調査・研究】


安藤 美紀(あんどう みき)
(株)富士通総研 流通・サービス事業部 マネジングコンサルタント
1995年日本電信電話(株)入社、法人部門において流通企業向けコンサルティングに従事。
2005年富士通(株)入社、コンサルティング事業本部を経て、2007年(株)富士通総研出向。
小売業、サービス業、製造業の企業向け業務改革等のコンサルティングに従事。現在はBI、CRM、顧客分析を担当。