GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. オピニオン>
  4. 価値観マーケティング ネット対リアル編第2回 8つの商材にみる価値観と購買傾向の関係

価値観マーケティング ネット対リアル編 第2回

8つの商材にみる価値観と購買傾向の関係

2011年8月16日(火曜日)

1. 仮説を検証する8つの商材

リアル店舗とネット店舗のどちらを利用するかは、消費者の価値観によって異なるはずだ、という仮説を検証するために、私たちは次の8つの商材を対象に、購入スタイル(情報収集方法・購入場所など)のアンケート調査を行いました。

  • テレビ
  • パソコン
  • プリンター
  • 携帯音楽プレーヤー
  • 携帯電話
  • デジタルカメラ
  • 腕時計
  • スーツケース
4つの消費者分類

【図1】価値観因子の軸と4つの消費者分類

これらの8つの商材は、普及率や購入頻度を考慮して選定しています。日用品ではないが、誰にでも近年購入経験があると考えられ、アンケートに回答しやすいことを重視しました。また、回答者に対しては購入スタイルだけでなく、価値観を計測する質問も行い、価値観因子及び消費者タイプ(【図1】)によって購買スタイルに違いが表れるどうかを検証しました。

アンケートは、2010年11月13日~11月20日に実施し、過去5年以内に当該商品の購入経験があることを条件に、1商品につき20代、30代、40代、50代、60歳以上のそれぞれの年代を100人ずつ、8商品で計4000人の回答を得ました。

2. 消費者タイプ別の購買スタイルの違い

まず、商品と関係なく、4つの消費者タイプ別に購買スタイル(情報収集場所・購入場所)について違いがあるかどうかを見てみましょう。【図2】に、消費者タイプ別の購入場所割合を示します。購入場所は、「今後、当該商品を新規に購入する際には、どこで購入しますか?」という質問に対する回答から識別しています。

タイプ別購入場所

【図2】タイプ別購入場所

【図2】から、「ふくろう」と「タカ」はネット店舗での購入の割合が、「ツバメ」と「こうもり」よりも高いことがわかりました。価値観因子の横軸「人見知り⇔他人OK(以降、つながり志向と呼ぶ)」が影響していると推測できます。つまり、人見知りの「ふくろう」と「タカ」は、リアル店舗で見知らぬ店員とコミュニケーションするのが苦手なために、ネット店舗を利用する傾向にあると解釈することができます。今後小売市場のEC化がさらに進めば、この違いはもっと顕著に表れることでしょう。

また、「ツバメ」と「タカ」はリアル店舗での購入割合が、「こうもり」と「ふくろう」よりも高いことがわかりました。価値観因子の縦軸「外出(刺激)志向⇔巣ごもり(癒し)志向(以降、外出志向と呼ぶ)」が影響していると推測できます。ここで不思議なのは「タカ」タイプです。人見知りだからネット店舗を選ぶ場合と、外出志向が強いからリアル店舗を選ぶ場合のどちらも他タイプより多いのです。「ネット店舗とリアル店舗のどちらで購入するかは、その時になってみなければわからない(今は予測できない)」という回答が他タイプよりも少ないことから、どちらで購入するかは事前に決めている人が多い、と推測することもできます。

タイプ別情報収集場所

【図3】タイプ別情報収集場所

次に【図3】に、消費者タイプ別の情報収集場所割合を示します。情報収集場所は、「今後、当該商品を新規に購入したいと感じた時、まずどうするか?」という質問に対する回答から識別しています。回答の選択肢には、情報収集せずにいきなりネット注文するなども含まれています。

このデータから、「タカ」は情報収集せずに店舗へ行く割合が他のタイプよりも高いことがわかりました。これは「旅行」を調査した時と同様の結果です。また、まずネットで情報収集するのは「ふくろう」が多いこと、リアル店舗で情報収集するのは、「ツバメ」と「こうもり」に多いことがわかりました。人見知りの「ふくろう」はコミュニケーションが不要な手段を選ぶ傾向にあり、他人OKの「ツバメ」と「こうもり」は、積極的に店頭でコミュニケーションをとる傾向が見て取れます。

ネット店舗とリアル店舗の使い分け仮説と検証結果

【図4】ネット店舗とリアル店舗の使い分け仮説と検証結果

以上のことから、消費者の価値観によってネット店舗とリアル店舗のどちらを利用するかは異なる、と言うことができるでしょう。また、「ふくろう」タイプを中心にネット店舗の利用は今後さらに拡大すると予測できますが、「ツバメ」タイプの購買スタイルを考慮すると、ネット店舗がいかに便利になったとしても、リアル店舗に取って代わることはない、と推測することができます。

3. 8つの商材別の違い

商材によって価値観が購入スタイルに与える影響に違いがあるのかを調べるために、消費者タイプではなく、価値観因子そのものと購入場所を調査し、その関係に有意性があるかどうかを調べました。その結果を【表1】に示します。

商材別価値観因子との関係

【表1】商材別価値観因子との関係

つながり志向(人見知り⇔他人OK)が購入場所に影響する商材は、テレビ、携帯電話、腕時計でした。これらの商材は、店員に接客を受けながらリアル店舗で購入することが多い印象がありますが、「ふくろう」と「タカ」は、ネット店舗で購入することもあるようです。

外出志向(外出・刺激⇔巣ごもり・癒し)が購入場所に影響する商材は、パソコン、スーツケース、プリンターでした。パソコンやプリンターなど仕様化されている商材の場合は、ネットでの購入が増えている印象がありますが、「ツバメ」と「タカ」は、リアル店舗で購入する傾向が強いようです。

つながり志向も外出志向も購入場所に影響しているとはいえない商材は、音楽プレーヤーとデジカメでした。

商材によって、店員との会話の有無や、仕様化の程度など、様々な要因によって価値観因子に影響する・しない、という違いがありそうです。第3回では、これらの要因について考察していきます。

シリーズ

価値観マーケティング ネット対リアル編 第1回

価値観マーケティング ネット対リアル編 第3回

価値観マーケティング ネット対リアル編 第4回

関連シリーズ

不安な時代の価値観マーケティング 第1回

不安な時代の価値観マーケティング 第2回

不安な時代の価値観マーケティング 第3回

不安な時代の価値観マーケティング 第4回

関連サービス

【調査・研究】


安藤 美紀(あんどう みき)
(株)富士通総研 流通・サービス事業部 マネジングコンサルタント
1995年日本電信電話(株)入社、法人部門において流通企業向けコンサルティングに従事。
2005年富士通(株)入社、コンサルティング事業本部を経て、2007年(株)富士通総研出向。
小売業、サービス業、製造業の企業向け業務改革等のコンサルティングに従事。現在はBI、CRM、顧客分析を担当。