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グローバルな会計基準(IFRS)適用動向と企業へのインパクト

2011年7月29日(金曜日)

1. はじめに

ワールドワイドに展開する日本企業に共通する悩み、それは、本社から世界各地のグループ会社の真の経営が見えにくい点にあります。グループ全体の経営を“見える化”するためには、IFRS(*1)適用を単なる制度対応ではなく「変革のチャンス」と捉えて、企業グループとしての経営管理の高度化を推進し、連結ベースでの経営資源の最適化を図ることが重要です。

2. IFRS適用に向けたグローバルな動向

IFRSはグローバルな資本市場におけるインフラとして、世界150か国以上で適用または適用に向けた検討が進んでいます。米国においては2011年中に適用方針の決定が行われる予定ですが、それに先立って米国証券取引委員会(SEC)のスタッフにより公表されたペーパーで、米国におけるIFRS適用の方法論(5~7年かけてIFRSを米国会計基準に取り込むなど)が提示されるなど、注目すべき動きが出ています。

我が国の検討としては、2009年6月に公表された「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」において、2010年3月期からのIFRS任意適用を認めると共に、2012年に強制適用するかどうかの判断を行い、強制適用する場合は3年程度の準備期間を置くとされていました。このことから、上場企業の連結財務諸表へのIFRS適用は、既に確定的な状況であり、議論の中心は「個別財務諸表にもIFRS任意適用を認めるか」という点に移っていました。

しかしながら2011年6月21日に、自見金融担当大臣が「少なくとも2015年3月期についての強制適用は考えていない。強制適用の場合もその決定から5~7年程度の十分な準備期間の設定を行う。2016年3月期で使用終了とされている米国基準での開示は使用期限を撤廃する。」といった主旨を発言したことなどから、企業会計審議会において適用方針そのものの見直しも含めた意見が出されるなど、その審議内容には注視が必要な状況になってきています。

このような動きに対して、IFRS適用に向けた情勢が後退しているとする意見もありますが、IFRSがグローバルな会計基準であるという意味での重要性に変わりはなく、適用に向けた流れは続くものと考えられます。グローバルな世界で活動する企業にとっては、IFRSの本質的な理解を深め、企業グループとしての経営管理の高度化を推進していくための時間的な余裕ができたと、前向きに受け止めるべきでしょう。

IFRS適用に向けたロードマップ

【図1】IFRS適用に向けたロードマップ

3. まず実施すべき、影響の見極めと推進体制の構築

IFRSの特徴は、「原則主義」「貸借対照表中心」「公正価値重視」であり、これらの本質を理解した上で、経営者の責任として企業グループ全体の会計ポリシーに沿ったルール策定などの対応を行っていく必要があります。

一般的に想定されるIFRS適用に伴う影響としては以下のようなものがありますが、単に経理部門・会計システムが対応するだけでは不十分であり、業務部門・海外子会社・業務システムでの対応から定着を含めると数年の期間を要すると考えられます。

  • 子会社(国内・海外)との決算期、会計方針の統一
  • 固定資産管理方法の変更(有形固定資産の償却方法、リース資産など)
  • 収益認識、棚卸資産管理の変更 (計上基準日の見直し、値引割引への対応、有償支給の見直しなど)
  • 開示情報(IFRS)と管理会計の調整負荷の増大

IFRSへの対応を単に会計基準の変更だけでなく、管理会計制度・業績管理指標等の見直しも併せて行うことで、日本基準とIFRS基準の二重管理による無駄・非効率を防止し、企業グループとしての経営管理の高度化・連結ベースでの経営資源の最適化に結び付けることが可能となります。

そのためにはまず、会計基準・業務・情報システムへの影響分析を行い、影響度・体制に応じた基本計画(ロードマップ)を策定することが重要です。それにより、制度対応だけでなく、経営管理基盤の構築も含めて、最適なタイミング・手法でのIFRS対応が可能となります。

【注釈】

(*1)IFRS : International Financial Reporting Standards

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斎藤弘志

斎藤 弘志(さいとう ひろし)
株式会社富士通総研 ビジネスプロセスソリューション事業部 マネジングコンサルタント
1981年 富士通株式会社入社、2007年 株式会社富士通総研へ出向。
IFRS適用に向けた業務・ITのあり方の企画、業務革新の方向性に基づく全社的なIT活用方針策定などに従事。