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情報システム部門のグローバル人材をどう育成するか

2011年5月16日(月曜日)

日本企業の海外展開は、今回の大震災での現地調達要請の増大もあり、今後も一層進みます。海外拠点での活動をスムーズに行うには、現地拠点内や本社間で大量多様な情報を的確に集め、処理し、共有した、迅速な意思決定が欠かせません。このため、情報システム部門(以下情シス部門)の役割は一層重要になります。しかし、我が国企業は、海外活動の歴史が比較的長いにもかかわらず、情シス部門の海外活動では苦戦しているとの多くの声があります。代表的な問題がグローバル人材の不足です。ここでは、我が国の主要な化学企業各社の情シス部門の方の声から、問題点と解決策をとりまとめてみました。他産業への示唆も多いと思われます。

グローバル人材不足の問題とは、情シス部門を世界に配置はしたが、それをサポート・管理できる人材が絶対的に不足し、海外に送り込めず、現地拠点がうまく機能していないという問題です。不足の理由は、日本人を意識的に育てる間もなく急速に海外展開が進んだことにあります。急速な育成が必要なのですが、求められる能力はITだけでなく、語学、会計や業務知識、コミュニケーション、マネジメント力と幅広く、これを具備させるノウハウが少なく、現業多忙で手も回らず、育成予算も不足気味です。一方、現地拠点でも、育成方法の未整備、離職率の多さ、欧米人にありがちな“日本人より上”感覚の中で、現地拠点における日本人と現地社員との関係の微妙さ、国内外での人事ローテーションの仕組みの未整備などで、やはり適切な人材が育成されている例は少ないのが実状です。

ただし、解決の糸口がないわけではありません。うまく行っている企業の考えや、やり方を幾つか挙げてみます。まず、備えて欲しい能力の明示化と優先度をつけた育成です。例えば、コミュニケーション力、業務知識、IT専門力、そして語学力などが優先度上位に挙げられています。近年、若者が海外を拒否する実態に各社とも悩んでいますが、より積極的な若手女性を活用したという企業の実例には賛同が集まりました。上記能力を具備した多能工として日本で育成し、その後現地に派遣し、OJTでもがきながら努力させ育成する、という地道な取り組みが王道のようです。また、海外採用人材に優秀な人も多く、彼らを日本に呼び、日本の企業グループの考えを共有してもらい、日本人脈を作り海外に返すというのも、うまくいくパターンの1つで、副次的にはその周囲の日本人も外国語で話さざるを得ず、日本人の語学の鍛錬にもなります。究極クラウドの活用で人材不足を補うという例も見られました。

グローバル人材育成は待ったなしです。他社の成功事例などに学びながら、きめ細かくも早急な育成が求められます。

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安部忠彦

安部 忠彦(あべ ただひこ)
1976年 東京大学理学部、1978年 東京大学大学院修了。学術博士(金沢大学)。
(株)三菱マテリアル、(株)長銀総合研究所を経て、現在、(株)富士通総研 経済研究所エグゼクティブ・フェロー。
専門調査・研究分野は、企業の研究開発活動、国、地方自治体の科学技術政策、産業調査(リーデイング産業、空洞化問題、国際分業問題)、技術経営、サービスイノベーションなど。