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EC市場の現状とECへの取り組みのポイント(2)

~アマゾン・楽天2強時代と大手小売の挑戦~

2011年4月12日(火曜日)

リーマン・ショック以降の消費低迷の中でも拡大が続く消費者向けEC市場では、シェア拡大を狙った事業者間の激しいサービス競争が続いている。今回は、EC大手のアマゾンと楽天の動向と、この2強に挑戦する大手小売の取り組みを紹介する。

1. アマゾン・楽天の2強でシェア5割

消費者向けEC市場では、アマゾンと楽天がシェアを拡大している。富士通総研の「インターネットショッピング2010」によると、アンケート調査の回答者が直近1回のPCネットショッピングの際に利用したネットショップのタイプ分類で、「楽天(出店ショップと直営の合計)」が42.2%を占め、トップとなった。2番目に多かったのが「アマゾン」の14.1%で、この2つを合わせたシェアは56.3%と半数を超えている。「楽天」、「アマゾン」共に2009年に行われた前回調査よりシェアを伸ばしており、市場の拡大を上回る勢いで成長していることになる。この成長の秘訣はどこにあるのだろうか?

利用したネットショップのタイプ(直近1回対象):前回との比較

【図1】利用したネットショップのタイプ(直近1回対象):前回との比較

2. 2強は物流インフラ投資を強化して配送サービス競い合う

購入したネットショップを利用した理由を回答者に聞くと、「価格(41.3%)」、「送料や配送条件(28.9%)」、「ポイントなどの特典(28.9%)」、「品揃え、在庫(28.1%)」がトップの理由となった。これを楽天とアマゾンのそれぞれの利用者別に見ると、楽天利用者は「価格(45.9%)」、「ポイント等特典(38.7%)」、「送料、配送条件(36.5%)」の順で、アマゾンは「価格(41.8%)」と「品揃え・在庫(41.8%)」が同率で、次に「送料・配送条件(36.2%)」となっていた。楽天の「ポイント等特典」、アマゾンの「品揃え・在庫」の比率が高い所にそれぞれのカラーが出ているが、両社ともに「送料・配送条件」が全体平均より高い点に注目したい。

利用したネットショップのタイプと選んだ理由

【図2】利用したネットショップのタイプと選んだ理由(すべて)

実は、2010年のEC事業者のサービス競争で大きな動きがあったのは配送サービスの領域だ。アマゾンは、2010年1月からキャンペーンという形で通常配送の送料無料化を実施し、日本での創業10周年を迎えた11月には、キャンペーンではなく通常料金として無料化に踏み切った。小額の文庫本1冊でも無料配送してくれるため利用件数が増え、2010年の売上伸び率は例年を上回ったという。アマゾンは効率的な物流を事業の中心に位置づけている企業だ。全国に大規模な物流センターを拡充すると同時にカイゼンを続け、当日配送や送料無料といったサービスレベルの向上を実現してきた。

これに対抗するように、楽天は直営ショップの送料無料キャンペーンを継続するだけでなく、自社物流網を構築してアマゾンに対抗しようとしている。楽天はモール型で出店各社が個別に配送業務を行う仕組みとなっている。このため、異なるショップで商品を購入すると、それぞれに送料がかかる点や、ショップにより配送サービスレベルが異なる点がアマゾンと比べマイナス点となっていた。そこで、楽天が複数のショップの商品を倉庫で預かり、まとめて発送する「楽天24」を2010年10月から開始した。送料は全国一律240円で、3,900円以上購入すれば無料になる。

送料無料は、健康食品のような利益率が高い商品か、高価な商品であれば実現可能であるが、購入単価が低い一般的なECサイトにおいては実現できないサービスだ。ネット書店の運営者に話を聞いてみたが、アマゾンや楽天のように送料無料を行うのは採算的に不可能だと言っていた。2強はスケールメリットを活かした効率的なインフラを構築し、そのサービスレベルで顧客満足度を上げ、シェアを伸ばしている。

3.大手小売が2強を追いかける可能性

シェアを伸ばすアマゾンや楽天を追いかけるべく、セブン&アイやイオンといった大手小売がECビジネスに本腰を入れ始めた。今までもECに取り組んでいたが、市場での存在感が薄かったため、組織の見直しやグループ企業との連携などを行って商品数を拡大している。セブン&アイのセブンネットショッピングでは、セブンイレブンでの受け取りなら送料無料、宅配でも1,500円以上なら無料というサービスレベルを実現している。セブン&アイに限らず、大手小売はもともと多くの顧客基盤を持っており、2強にはない店舗やネットスーパーという強みもある。ネットの価値を理解し、2強に負けない効率的な個別配送の仕組みを構築すると同時にグループシナジーを上手く発揮できれば、2強を追いかける存在になる可能性を秘めている。

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富士通総研における流通コンサルティングサービスでは、消費者ビジネスを中心とする小売・サービス業から、卸、商社や製造メーカーに至る流通三層に渡り、流通業界全般のコンサルティングビジネスを展開しています。


田中 秀樹(たなか ひでき)
富士通総研 流通・サービスコンサルティング事業部 マネジングコンサルタント
マーケティング戦略支援コンサルティング業務に従事。ネットビジネス領域では、ビジネストレンドと生活者動向を踏まえた上で、ECビジネスや企業のWebサイト活用を支援。
著書に『インターネット広告実践法』(共著)の他、『インターネット白書』等に記事原稿を多数掲載。