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EC市場の現状とECへの取り組みのポイント(1)

~拡大するEC市場の現状と今後の可能性~

2011年3月3日(木曜日)

企業にとってWebサイトの活用は当たり前のものとなってきた。中でも、Webサイトを販売チャネルとして使う消費者向けEC(インターネットショッピング)が順調に市場を拡大し注目されている。そこで、消費者向けEC市場の動向と取り組みのポイントを2回にわたって解説する。

1. EC市場はコンビニを超える規模に

景気が低迷し百貨店などの売上が減少する中、EC市場は希少な成長市場となっている。野村総合研究所は、2009年の消費者向けEC市場規模は6兆4,269億円で、2010年は7兆3,123億円に達したと推計している。既に、百貨店(6兆2,921億円)より大きな市場規模となっており、今年はコンビニエンスストア(8兆175億円)を超える可能性も出てきた。EC市場は順調に拡大しているように見えるが、ユーザーの利用実態には景気の影響も伺える。

2. エコポイント関連や日常品の購入が増える

パソコン経由でのEC利用実態を毎年調査している富士通総研の「インターネットショッピング2010」によると、過去1年間で最もよく購入された商品カテゴリーは、購入率が高い順に「書籍・雑誌(56.4%)」、「衣類・靴・バッグ・アクセサリー(47.4%)」、「音楽CD・ビデオ・DVD(38.2%)」、「ホテル・航空券・旅行(37.6%)」、「化粧品・美容用品(34.3%)」、「健康食品・サプリ(33.1%)」などとなった。主な商品カテゴリーの購入率の変化を見ると、今回は対象17カテゴリーのうち12カテゴリーが前回の購入率より低下し、なかでも「イベントチケット(20.5%→17.8%)」、「健康食品・サプリ(36.5%→33.1%)」などの落ち込みが大きかった。一方、前回より購入率が向上したカテゴリーはエコポイントの恩恵を受けた「家電・AV機器(27.8%→29.4%)」や「台所用品・食器・生活雑貨(22.1%→23.2%)」などだった。節約志向の影響で、オトクなものだけ買う、必要なものをネットで探して安く買う、といった行動がこの結果に表れているのかもしれない。

この1年のPCネットショッピングで買ったもの(抜粋):過去との比較

【図1】この1年のPCネットショッピングで買ったもの(抜粋):過去との比較

3. 1人当たりの年間利用金額は減少

過去1年間のECの利用状況は、平均利用回数13.6回、平均利用単価9,008円、平均合計金額11万3,203円となった。過去からの推移を見ると、調査開始以来これまで一貫して上昇してきた利用回数が今回初めて下降に転じ、合計金額は2009年、2010年と2年続けての下降となった。

2008年秋の世界金融危機顕在化から最も近い2009年4月の調査の時点では、“巣篭もり消費”のおかげで不況知らずかと思われたECビジネスだが、さすがにその後の1年は節約志向の波に追いつかれたようだ。ここ数年、1人当たり利用金額の減少を新規利用者の増加で補いEC市場は拡大する形で来ていたが、すでに多くの人がECを経験しており、今後は新たな層の利用促進とともに1人当たりの利用金額を増やす方向への変革が鍵となる。

この1年のPCネットショッピング利用平均値:過去との比較

【図2】この1年のPCネットショッピング利用平均値:過去との比較

4. 利用促進と利用金額アップを後押しする3つのトレンド

新たな利用層獲得と利用金額増加を考える上では次の3つのトレンドが大きな影響を与えそうだ。

  • “買い物難民”による利用ニーズの高まり
    家の近くの商店が減り、車を持たない高齢者が近所で買い物できなくなる“買い物難民”が問題となっている。こうした高齢者に対するサービスとして現代版御用聞きとも言えるネットスーパーが1つの解決策として期待されている。
  • スマートフォン・タブレット端末の普及
    操作性の優れたスマートフォンやタブレット端末は、タッチだけで操作ができるため、今までのパソコンやケータイではEC利用に躊躇していた層が使い始める可能性も高い。ECのオーダー用にタブレット端末を配布する実証実験も始まっており、“買い物難民”という利用ニーズと新端末配布をマッチさせることで、EC新規利用者拡大に繋げたい。
  • ソーシャルコマースの広がり
    日本でもFacebookが普及し始めたが、ソーシャルメディアの利用が進んでいる米国ではソーシャルコマースと呼ばれるECのクチコミ効果が注目されている。これは、ECサイトに掲載されている顔の見えないユーザーの商品レビューより、ソーシャルメディア上の友人や嗜好の似ている人の推奨の方を信じるという心理特性がECで現れたものだ。ソーシャルメディアがより普及すれば、これまでなら購入をためらった商品でも今後は購入するケースが増えそうだ。

これら3つのトレンドを上手く活用していけば、EC市場は以前のような急激な拡大は望めないものの、堅調に広がっていくと見込まれる。次回は成長市場をめぐるEC各社の競争を紹介する。

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富士通総研における流通コンサルティングサービスでは、消費者ビジネスを中心とする小売・サービス業から、卸、商社や製造メーカーに至る流通三層に渡り、流通業界全般のコンサルティングビジネスを展開しています。


田中 秀樹(たなか ひでき)
富士通総研 流通・サービスコンサルティング事業部 マネジングコンサルタント
マーケティング戦略支援コンサルティング業務に従事。ネットビジネス領域では、ビジネストレンドと生活者動向を踏まえた上で、ECビジネスや企業のWebサイト活用を支援。
著書に『インターネット広告実践法』(共著)の他、『インターネット白書』等に記事原稿を多数掲載。