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エコポイント打ち切りで景気は失速するか

2011年2月17日(木曜日)

2011年の日本経済は、金融危機後の景気対策が打ち切られるなか、持続的な回復を遂げていくことができるかの正念場に差し掛かっています。

昨年秋のエコカー補助金の打ち切りに続き、これまで消費を喚起してきたエコポイントが打ち切りになるのは消費に大きな影響を与えることになります。ただし、3月の打ち切り前の駆け込み需要はそれほど発生しないものと見られています。というのも、エコポイントはこれまで段階的に縮小されており、昨年12月以降、ポイント付与がほぼ半分になるのに伴い、11月には薄型テレビの大規模な駆け込み需要が発生しました。11月の薄型テレビの販売台数は前年比5.3倍となり(GfKジャパン調べ)、これが需要のピークだったと見られています。12月以降の販売台数はその反動で落ち込んでいます。

【グラフ】薄型テレビの国内出荷台数

【グラフ】薄型テレビの国内出荷台数 / (出所)電子情報技術産業協会

2010年の薄型テレビの国内出荷台数は、前年比8割増の2519万台となりましたが、2011年はエコポイント特需の反動により、2010年に比べ6割減となる見込みです(電子情報技術産業協会調べ)。エコポイントは薄型テレビの需要を前倒しさせ、景気を下支えする効果を発揮したと同時に、7月の地上デジタル放送への完全移行に向け、地デジ化率を向上させる効果をもたらしました。

しかしその反動で2011年の需要は減少し、これが景気の足を引っ張ることは避けられそうにありません。逆風の中、家電業界が薄型テレビの需要を喚起するためには値下げに走らざるを得ず、これがデフレに拍車をかけるというマイナス要因も発生すると考えられます。

しかし、こうしたマイナス要因はありますが、景気全体としては2011年中も失速は避けられそうです。新興国はこれまでの景気拡大からインフレ気味になっていますが、それでも底堅い成長を続けています。また、アメリカの景気は最近では持ち直しており、こうした海外景気の好調さは、日本からの輸出を増加させると考えられます。企業収益は改善傾向を続けており、労働者の所得もわずかずつではありますが増加し、設備投資も最悪期から脱しています。これらは、景気の自律回復の芽ともいえる現象です。今は小さな芽が2011年後半にかけて大きくなっていくとすれば、エコポイントなどの景気対策は、景気の自律回復の芽が出てくるまでの繋ぎの役割を果たしたと言えそうです。

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米山秀隆

米山 秀隆(よねやま ひでたか)
(株)富士通総研 経済研究所 上席主任研究員。
【略歴】
1989年 筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了、(株)富士総合研究所を経て、1996年 (株)富士通総研入社、2007年~2010年3月 慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所客員研究員
【執筆活動】
デフレの終わりと経済再生(ダイヤモンド社 2004年)、少子高齢化時代の住宅市場(日本経済新聞出版社、2011年)ほか多数