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社会資本形成と維持管理を支える社会基盤クラウドビジネスの展開

2010年12月28日(火曜日)

1. 2つの高齢化問題

2005年、日本は戦後初の人口減少を記録して以来、人口減少社会に突入しています。少子高齢化を背景にした人口減少社会の進展は、社会の様々な分野で、多種多様な問題を私たちに投げかけてきています。例えば、地方自治体では、税収の減少や社会福祉コストの増大に伴い、財政状況の悪化を加速させています。結果、公共サービスの水準が維持できずに住民生活の利便性の低下を招くなど、生活の質(QOL:Quality of Life)の維持・確保が非常に難しくなってきています。

その一方で、日本では、国民生活や経済活動を支える重要な基盤として、従前から社会資本整備が着実に進められてきています。今後も時代の変化に伴い、新たな社会資本整備が求められるとともに、これまで蓄積されてきた社会資本ストック維持のため、計画的にこれを更新していくことが必須になります。しかし、ここに人口問題とは別の、もう1つの高齢化問題が存在しています。

日本の社会資本ストックは、高度経済成長期に整備されたものが多く、今後は、その老朽化が急速に進むことになるからです。2009年時点と20年後の2029年を比較すると、築50年以上を経過する社会資本の割合は、道路橋で約8%から約51%に、水門等河川管理施設では約11%から約51%に、港湾岸壁では約5%から約48%に急増するなど、大幅な維持更新費用の増大が見込まれているのです。国土交通省の試算では、2011年度から2060年度までの50年間に、社会資本ストックの更新費用として約190兆円が必要になり、このうち約30兆円の資金が不足すると予測しています。人の高齢化と社会資本ストックの高齢化の2つの高齢化問題は、日本の将来に大きな影を落し始めているのです。

2. 予防保全型維持管理による戦略的な取り組み視点

従来の社会資本ストックの維持管理を振り返ると、その多くは対処的に実施されてきています。点検等によって発見された損傷箇所等について、個別・事後的な対処を図るという、いわゆる事後保全型の取り組みが行われきています。

しかし、2つの高齢化問題が進む中、こうした対応では、致命的な損傷箇所を見逃したり、対応が不十分になったりなどで、リスクが急速に高まることも懸念されます。2007年、米国で発生したミネアポリス橋の崩壊事故のように、日本でも社会資本に関わる大惨事が発生する危険さえ否めないのです。そればかりか、適切な維持管理が行われないことで、社会資本の寿命そのものが短命化し、さらなるコスト増を引き起すことにもなりかねません。

こうした事態を引き起こさないためにも、早期発見・早期改修の最適化を目指した予防保全型の戦略的な維持管理等が求められているのです。今年6月に発表された「新成長戦略」においても、社会資本が機能不全に陥るリスクが高まる中、その戦略的な維持管理を推進することが重要であるとされています。

3. 情報通信技術が社会資本の今後のあり方を変革する

予防保全型社会資本の戦略的維持管理等の推進に向け、今日の情報通信技術(ICT)が果たす役割は非常に大きいと言えます。これまで維持管理等の基礎を成してきた点検業務1つとっても、人に依存してきた多くの業務が、ICTの利活用によって、質的にも量的にも代替可能な水準になってきているからです。そればかりか、画像・映像分野における認識・解析技術の昨今の高度化は、カメラという電子の目を用いることで、人間の目では不可能だった内部の状態までも把握可能にするなど、新たな価値提供や創造を誘発するきっかけにもなっています。

損傷や変状等を計測可能にする各種センサーデバイス、カメラ、マイク等の高機能化、そうしたセンシング情報との連携を図る上でも欠くことのできないGPS等の位置情報や地理空間情報(GIS)の高精度化、さらには各種情報をクラウド基盤に自動的に収集するアドホック通信技術の高度化など、今の変化をタイムリーに、リモートで情報収集することを可能にしてきています。さらに、集められた様々な情報やデータの連携による各種のマイニング技術や数理統計等を駆使した予見・予兆のための予測技術など、社会資本(もの)と人との連携と調和を図るための情報連携技術も、日々さらなる進化を遂げています。それは、社会資本の維持管理等において、単に業務やプロセスを効率化するICT基盤の構築としてだけではなく、テキスト、データ、画像、音、映像等のマルチメディア情報やそれらのデータ連携がもたらす、新たな情報の創出と知の創造による価値向上に貢献する次世代に向けての重要な基盤とも言えます。

富士通総研は、そうした基盤を利活用して価値向上を目指すお客様の立場に立って、また、そうしたお客様との協調・連携を図りながら、富士通グループの持つ総合力を最大限に発揮して、持続発展可能な社会資本形成に寄与すべくICT基盤(社会基盤クラウド)の構築推進と、そのビジネス展開に関して積極的に取り組んでいます。

社会基盤クラウドビジネスのイメージ

【図】社会基盤クラウドビジネスのイメージ

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佐々木 一人

佐々木 一人(ささき かずと)
(株)富士通総研 研究理事 第一コンサルティング本部 エグゼクティブコンサルタント。
(株)長銀総合研究所を経て、1998年(株)富士通総研入社。2004年取締役、2010年6月から現職。
著書に、『ケータイビジネス2001』(監修著作;ソフトバンク・パブリッシング)、『ブロードバンドビジネス2002』(著作;ソフトバンク・パブリッシング)など。
その他、雑誌、新聞等に記事原稿を多数掲載するほか、通信・放送メディア産業、同関連事業、並びに、研究開発・技術開発を中心としたMOT(技術経営)に関する各種調査・研究、コンサルティング、アドバイザー等に従事。