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不安な時代の価値観マーケティング 第2回

~4つの顧客セグメントから戦略を考える~

2010年10月1日(金曜日)

第1回 は、不安の拡大によって消費行動が変化してきていること、不安の拡大から生まれた、4つの価値観変化の仮説についてご説明しました。今回は、4つの価値観変化の仮説を裏付けるアンケートデータとそこから導き出された2つの因子と4つの消費者タイプについてご紹介いたします。

1. アンケートの実施概要

アンケートの実施概要は以下の通りです。

調査対象: 日本に在住の20歳以上の男女
調査方法: Webアンケートにて実施
調査時期: 2010年6月
回答結果: 回答数1,133名(男性は582名、女性は551名)
質問項目: 基本属性(年齢、性別、年収など)
価値観(巣ごもり傾向、つながり志向、刺激VS癒し、支出の傾向、現状の満足度、将来に対する不安など)
性格の自己評価(楽観的か悲観的か、行動的か慎重かなど) 等

2. 4つの価値観変化の仮説 検証結果

4つの価値観変化の仮説を検証するために、以下の質問を行いました。

価値観変化を検証する質問項目

【図1】価値観変化を検証する質問項目

(1) 巣ごもり傾向の拡大

巣ごもり傾向の拡大

【図2】巣ごもり傾向の拡大

Q1に対して、約64%が「家にいたい」と回答し、そのうちの約39%が、Q2で「5年前よりも家にいたいと思うことが増えた」と回答しました。巣ごもり傾向が拡大していることが確かめられました。

巣ごもり傾向は、年齢が上がるほど、また年収が低くなるほど強く表れていましたが、性別による差はありませんでした。また、将来に対する不安が大きい人、5年前と比べて不安感が大きくなった人ほど巣ごもり傾向がみられました。性格との関係を見ると、慎重な人のほうが大胆な人よりも巣ごもり傾向が出ていました。

(2) つながり志向の拡大

ネットのつながり志向の拡大

【図3】ネットのつながり志向の拡大

Q1について、約43%が「重視している」と回答し、そのうちの44%が、Q2で「ネットでのつながりを重視するようになった」と回答しました。Q3については、約68%が「重視している」と回答し、そのうちの29%が、Q4で「リアルでのつながりを重視するようになった」と回答しました。ネットとリアルの両方でつながり志向が拡大していることが確かめられました。

リアルのつながり志向の拡大

【図4】リアルのつながり志向の拡大

ネットのつながり志向は60代以上で最も強いこと、50代で最も弱いこと、リアルのつながり志向は、60代、20代の順に強いことがわかりました。ネット・リアルのつながり志向は、現状の満足度が高い人と女性に多くみられましたが、年収による差はありませんでした。性格との関係を見ると、楽観的な人は悲観的な人よりリアルのつながり志向が強く、大胆な人は慎重な人よりネット・リアルのつながり志向が強いこともわかりました。

(3) 刺激から癒しへ

刺激から癒しへ

【図5】刺激から癒しへ

Q1で約57%が癒しを選択し、そのうちの約65%が、Q2で「その考えが5年前よりもその傾向が強まった」と回答しました。刺激よりも癒しを求める傾向が強まったことが確かめられました。

50代で癒し傾向が強いこと、性別と年収による差はないこと、将来に対する不安が大きい人、5年前と比べて不安感が大きくなった人ほど癒し志向が強いことがわかりました。また、現状の満足度が5年前と比較して高くなった人は刺激を求める傾向があること、性格との関連でみると、慎重な人は刺激より癒しを求めることもわかりました。

(4)支出に対するメリハリ傾向

支出のメリハリ傾向

【図6】支出のメリハリ傾向

Q1について約56%がメリハリ支出を選択し、そのうちの約49%が、Q2で「その考えが5年前よりも強まった」と回答しました。支出に対するメリハリ傾向が強まったことが確かめられました。

年代でみると、30代で支出のメリハリ傾向が強いものの、性別や年収による差はみられませでした。また、将来に対する不安が大きい人、5年前と比べて不安感が大きくなった人、5年前と比較して現状の満足度が向上した人は支出のメリハリ傾向が強いことがわかりました。性格による差は特にみられませんでした。

3. 価値観項目による消費者分類

(1) 2つの因子と4つの消費者分類

複数の質問項目で因子分析を行ったところ、4つの価値観変化のうち、「巣ごもり傾向」、「つながり志向」、「刺激VS癒し」の3つの価値観に関する質問項目(以後、価値観項目と記載)によって、消費傾向を決定付ける2つの因子が導き出されました。

因子の1つは「巣ごもり傾向」と「刺激VS癒し」という2つの価値観項目と強い関係があります。「巣ごもり傾向」が強い人は、外出するより家にいたいと考え、刺激よりも癒しを求める傾向にあります。

もう1つの因子は、「つながり志向」と強い関係があります。「つながり志向」が低い人は、見知らぬ他人とのコミュニケーションを避ける傾向があります。反対に「つながり志向」が強い人は、見知らぬ他人がいるコミュニティでも積極的に関与しようとします。

私たちは、この2つを軸とする4象限に対し、飛ぶ動物の行動特性を用いてタイプ名称を付与しました。 横軸の「人見知り」か「他人OK」は、「個体で活動する」か「群れで活動する」を当てはめ、縦軸の「外出志向」か「巣ごもり志向」は、「日中帯に活動する」か「夜間活動する」を当てはめ、それぞれ『ツバメ』、『こうもり』、『タカ』、『ふくろう』の名称を選定しました。

価値観項目による消費者分類

【図7】価値観項目による消費者分類

(2)各タイプの価値観の違い

アンケート回答者1,133名のうち4つのタイプに明確に分類されたのは802名でした。この802名について、「巣ごもり傾向」、「つながり志向」、「刺激VS癒し」の3つの価値観項目(【図1】の質問項目(1)-Q1、(2)-Q1およびQ3、(3)-Q1)を集計したところ、タイプの違いをはっきり確認することができました。

まず、「巣ごもり傾向」ですが、『こうもり』、『ふくろう』は「遠出したい」という回答はゼロで、ほとんどが「家にいたい」と回答しました。反面、『タカ』は「遠出したい」という回答が「家にいたい」を大きく上回りました。『ツバメ』は「家にいたい」が半分を占めましたが、20~30%は「遠出する」を選びました。

次に、「刺激VS癒し」ですが、『こうもり』、『ふくろう』はほとんどが「癒し」を選択し、反面、『ツバメ』は70%近くが「刺激」を選択しました。『タカ』は「どちらでもない」が最も多く、「癒し」も「刺激」もどちらも同程度に選択されていました。

最後に、「つながり志向」ですが、『こうもり』と『ツバメ』は、リアルなコミュニケーションを重視しており、ネットのコミュニケーションも70~80%が重視すると回答しました。一方『ふくろう』はネットもリアルも重視していないと回答する割合が最も高く、『タカ』も重視すると回答したのは少数派となりました。

以上のように、『ツバメ』、『こうもり』、『タカ』、『ふくろう』では価値観が大きく異なっており、私たちは、消費者のタイプを意識したマーケティングが重要になると考えました。第3回では、『ツバメ』、『こうもり』、『タカ』、『ふくろう』各タイプの特性について詳しくご紹介いたします。

各タイプの価値観の違い

【図8】各タイプの価値観の違い

シリーズ

不安な時代の価値観マーケティング 第1回

不安な時代の価値観マーケティング 第3回

不安な時代の価値観マーケティング 第4回

関連サービス

【調査・研究】


古平 梢(こだいら こずえ)
(株)富士通総研 流通・サービスコンサルティング事業部 シニアコンサルタント
食品メーカーにて営業支援、商品企画・開発を経験した後、2005年に富士通総研入社。
経済産業省 流通システム標準化事業や業務改善支援などに従事。現在は、Web戦略・マーケティングを中心に担当。