GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. オピニオン >
  4. 人の人による人のためのICTとは~「ヒューマンセントリック」を考える~

人の人による人のためのICTとは

~「ヒューマンセントリック」を考える~

2010年4月19日(月曜日)

1.ICT活用の変遷

創成期に自動化・省力化で人の作業に関わるようになったコンピュータは、操作性の向上とネットワークの発達により、人の情報活用も支援する道具へと成長しました。さらに、インターネットの普及により、人の仕事への関わり方を変革する原動力となりました。

これらの変遷、つまり、“Automation”→“Information”→“Transformation”の後に来る進化形は何なのでしょうか?換言すれば、今後、人とICTの関係はどう進化すべきなのでしょうか?

2.人とプロセスとICT

プロセスに偏重したICT活用に一石を投じ、人を主役にして企業の革新体質確立を目指した考え方がフィールド・イノベーションです。その起点は人の意識を変えること。これに一番効果的なのは、人が事実に気付くことです。事実に気付いた人は「ハッ」として意識を変えます。意識が変わればプロセスも変える気になります。

人が事実に気付くためにICTを使い、その上でICTにさせた方がよいプロセスとICTでなければできないプロセスとを人に見定めてもらいます。企業のプロセス変革実現を、人がICTを使いこなすという本来の姿に立ち返らせることで、ICTに真価を発揮させる取り組みとも言えます。

3.コンピューティングパワー

企業活動を支えるICTは定型的な業務プロセスを処理することに加え、その企業の顧客、さらにその先の顧客というように、個人活動を捉えることにも活用されます。一方、個人も自ら情報を発信し、交換します。これに加え、世の中に張り巡らされたセンサーネットワークにより膨大な情報が流通して、多様な事象が情報化されます。これはプロセス主体の企業活動と欲求主体の個人活動の接点が大きくなってきたことを意味します。

この接点を拡大するために必要なICT活用ノウハウと膨大でかつ予測が難しいコンピューティングパワーの需要に応えられる技術基盤が昨今整備されてきています。

4.企業、個人、そして社会へ

このような企業と個人レベルで発展してきたICT活用ノウハウとコンピューティングパワーは、ICTの社会レベルでの活用可能性を高めています。しかし、ICTを社会レベルで活用するためには、さらなる技術と発想転換が必要になります。例えば、人が設計したプロセスにICTを活用するのと、農業のように自然に委ねられたプロセスを相手にICTを活用するのとでは、世界が異質であるからです。

人についても、企業内の人はプロセス寄りですが、社会での人は自然寄りです。企業での経営者は、病院では患者で、農業では消費者で、教育では保護者かもしれません。企業内ではプロセスを重視している同じ人が、社会の様々なシーンでは、ある意味わがままな欲求ベースの存在でもあります。別の見方をすれば、プロセスと欲求の交差するところに多様な知の源泉があります。このようにして生まれた知を繋げるとさらなる知が創出されます。

5.知のカタリスト

社会の中で役立つICTは、人が知を創出し、共有・共感するためのカタリストになれることでしょう。単に社会の中のプロセスを繋ぎ、自動化させるだけでは、ICTが暴走してしまう恐れがあります。ICTは万能ではありません。しかし、ICTは有益です。多様な状況を感知し、解釈して人の意思決定と行動を支援します。出しゃばらないが役に立つ、そんなICTがこれからの人にとっては重要になります。


徳丸嘉彦

徳丸 嘉彦(とくまる よしひこ)
株式会社富士通総研 取締役
1956年 東京都生まれ、1978年 早稲田大学政治経済学部卒、富士通入社、システムエンジニアとして国内勤務の後、米国勤務 (1988~1994)、豪州勤務(1998~2004)を経て富士通コンサルティング事業本部に帰任、2005年同本部 副本部長を経て、2007年富士通総研 取締役。