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広がる環境ビジネス機会

~アジア3R 日本への期待~

2010年2月24日(水曜日)

富士通総研では2009年度に日本国環境省主催の「アジア3R推進フォーラム」準備会合及び設立会合の運営全般に関わる支援を実施いたしました。

1.3R推進の背景

日本は20世紀に大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行型社会システムの下で経済的に豊かになりました。その中で環境への配慮を怠った結果、天然資源の枯渇、産業廃棄物からの有害物質等による公害を引き起こしました。特に足尾銅山の鉱毒事件、四大公害病は大きな社会問題となりました。また、資源やエネルギーの逼迫、廃棄物量の増大による最終処分場の残余容量の逼迫、処理費用の増大等の問題も発生しています。これらの問題に直面したことにより、廃棄物管理やリサイクル対策の重要性が認識され、2000年に循環型社会形成推進基本法の公布を経て、環境と共生できる循環型社会が提唱されました。

3Rの概念はこの循環型社会形成推進基本法(2000年)により導入されました。3Rとは、廃棄物の発生抑制(Reduce)、再利用(Reuse)、再資源化(Recycle)の英単語の頭文字を取って付けられた呼称であり、循環型社会達成へのキーワードとなっています(*1)。リサイクルには、大きく分けて、廃棄物を製品の原材料として再生利用するマテリアルサイクルと、焼却時の熱エネルギーを回収し利用するサーマルリサイクルの2つの方法があります。廃棄物の最小化には、(1)Reduce (2)Reuse (3)Recycle (4)Thermal Recycle(熱回収) (5)適正処分の順番で取り組むことが有効とされています。つまり、不必要なものは作らず、買わず、もらわず(Reduce)、使えるものは繰り返し使い(Reuse)、使い終わったら原材料として再利用(Recycle)、または焼却時の熱エネルギーを利用し(Thermal Recycle)、リサイクル不可なもののみを適正処分するということです(適正処分)。

3r

2.アジア3Rフォーラム 設立の背景

2004年に小泉首相(当時)は、アメリカで開催されたG8シーアイランドサミットにおいて「3Rイニシアティブ」を提唱しました。「3Rイニシアティブ」はG8を中心とした、3Rを通じて循環型社会の構築を推進する取り組みです。日本は「3Rイニシアティブ」の一環として、2008年10月にベトナムのハノイで開催された東アジア環境大臣会合において、「アジア3R推進フォーラム」の設立を提案し、各国の賛同を得ました。

3.アジア3Rフォーラムの設立

フォーラムの設立に向けた準備会合は、日本国環境省主催で2009年6月に東京で開催されました。会合では、フォーラムの下で優先して対処すべき課題、そのために国際機関・援助機関等が実施する活動・プログラム、さらに、設立会合での採択を目指す東京3R宣言の原案等が協議されました。2009年11月には、日本国環境省は国連地域開発センター(UNCRD)と共催で「アジア3R推進フォーラム設立会合」を同じく東京で開催しました。会合にはアジア15カ国及び16国際機関の代表者(*2)、3Rや廃棄物管理に関する専門家が参加し、「アジア3R推進フォーラム設立に向けた東京3R宣言」が採択され、同フォーラムが発足しました。同フォーラムでは、3Rに関する高官レベルの政策対話や連携の改善、各国における3Rの取り組みの情報共有と普及のための支援、関係者間ネットワーキングのための基盤提供等を行うことが決定しました。今後は同フォーラムのもとで、アジア各国における3R国家戦略の実施に向けた取り組み状況のフォローアップ、廃棄物処理や3Rに関わる優良事例の共有・拡大等を通じ、各国の3R国家戦略の実施等を促進することとしています。次回会合は2010年にマレーシアで開催される予定です。

4.東京3R宣言の抜粋

東京宣言の中で、民間部門に関わる優先事項としては、主に以下の3項が挙げられました。

  1. 3R施策や活動実施への資金投入(特に、さらなる持続可能な生産・消費パターンと資源保全及び環境配慮型社会を達成するための、パイロットプロジェクトを通した3R推進策の探索)
  2. 廃棄物の最小化や、よりリサイクルしやすい製品設計へのインセンティブを与える、拡大生産者責任(EPR)(*3)のような有効な政策メカニズムの開発及び実施
  3. 発展途上国のニーズに合った費用効率が高くかつ実現可能な技術を含む、廃棄物管理及び3Rに関わる環境上適正な技術(EST)(*4)の開発と移転

これら3項の要点は、製品のライフサイクル全体を通じて環境に配慮されている製品の開発(*5)等を始めとする3Rの取り組みの促進、及び、途上国のニーズに合った技術の開発と移転が民間企業に求められているということです。日本には、自らの国で3Rを推進するのと同時に、その高い3R技術を海外へ普及させ、海外における3R推進を図ることも期待されています。現在のアジアの経済的な急成長に伴い、域内外におけるモノの移動が今後ますます増大していく中で、3R分野は日本にとって大きなビジネスの機会であり、また国際社会において存在感を示す機会となるでしょう。各国政府や国際機関及び援助機関も、さらにこれらを後押しする体制を整えていくことになります。今後、ますます環境に配慮した企業運営が経済的また社会的なインセンティブを得られる時代となっていき、環境に配慮した経営判断がより重要になっていくことでしょう。

富士通総研は、本事例の他にも、国家戦略策定のための調査研究や、政策の検討及び実施を支援する国内外調査研究、そのための会議運営支援サービス、またそれらを生かした企業向けのコンサルティング等を多く提供しております。

5.持続可能な社会へ向けて

現在、エネルギーの効率化及び再生可能エネルギーの導入等による低炭素化に多くの関心が集まっていますが、持続可能な社会の構築のためには、このような3R及び廃棄物管理対策による循環型社会の達成、自然との共生への取り組み、さらには、環境だけでなく経済と社会の3要素のバランスを取ることが必要です。そのためには、政府や企業のみならず、消費者を巻き込む包括的な仕組み作りが求められています。現在から将来にわたって持続する、環境・経済・社会のバランスの取れた社会の達成に向けて、政府・企業・消費者が連携して取り組んでいかなければなりません。

接続可能な社会

今後とも、富士通総研は調査研究やコンサルティングサービスの提供を通して、持続可能な社会の達成に貢献してまいります。

【注釈】

*1 : 「3R」に、「ゴミになるものを買わない(Refuse)」、「修復して繰り返し使う(Repair)」を加えて「5R」という考え方もあります。

*2 アジア3R推進フォーラム設立会合 :

[参加国]日本、バングラデシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム

[参加国際機関及び援助機関]アジア開発銀行(ADB)、アジア工科大学(AIT)、アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)、アジア生産性本部(APO)、バーゼル条約アジア太平洋地域センター(BCRC China)、ドイツ技術協力(GTZ)、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)、国際労働機関(ILO)、独立行政法人国際協力機構(JICA)、経済協力開発機構(OECD)、バーゼル条約事務局(SBC)、国連地域開発センター(UNCRD)、国連経済社会局(UNDESA)、国連環境計画(UNEP)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、国連工業開発機関(UNIDO)

*3 拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility(EPR)) : 使用済み製品の処理または処分に関して、生産者が財政的または物理的に相当程度の責任を負うという政策アプローチ(経済産業省)

*4 環境上適正な技術(Environmentally Sound Technologies(EST)) : 環境を保護し、代替となる技術に比べ、より汚染を引き起こさず、より持続可能なやり方で資源を使い、廃棄物や製品のより多くをリサイクルし、より受け入れられるやり方で取り扱う技術(地球サミットの「アジェンダ21」より(財)地球環境センター訳)

*5 : 評価指標となるのはライフサイクル評価(Life Cycle Assessment(LCA))であり、環境への負荷を、製品のライフサイクル全体(原料採取、製造、流通、使用、リサイクル・廃棄)に渡って、科学的、定量的、客観的に評価するものである。(環境省)

関連サービス

【調査・研究】
富士通総研には産業系シンクタンクとしての長年に渡る調査・研究・分析の実績があります。さらに、コンサルティング・サービスを通して培ったノウハウで「お客さまの現場で役立つリサーチ・サービス」を実現してきました。

【ロジスティクス・エンジニアリング】
効率化や環境面を考慮した物流施策立案を支援しています。輸送計画や拠点立地計画などを、数理モデルなどの手法を活用して現状評価と改善策の提示や、近未来のあるべき姿を提案します。


大原みれい(おおはらみれい)
(株)富士通総研 研究開発部
青山学院大学国際政治経済学部卒、Master of Science in Economics, University College London
環境や交通、物流に関する国内外調査研究やコンサルティングに従事。