GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. オピニオン >
  4. 地球環境時代の成長戦略

地球環境時代の成長戦略

2010年2月23日(火曜日)

2009年12月30日、政府が「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」を発表しました。6つの戦略分野の筆頭が、環境・エネルギーです。我が国の強みを活かす成長分野として、2020年までに50兆円超の新規市場と140万人の新規雇用を創出する目標が示されています。

環境対策の要請は強まるばかりです。今期の通常国会では、地球温暖化対策基本法の提出が予定されています。2020年の温室効果ガス25%削減目標や国内排出量取引制度導入が明記される見込みです。今年10月に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議の結果次第では、生態系保全に関する新たな対応も求められるでしょう。

逆に言えば、それだけ環境問題解決のためのビジネスニーズが大きいということになります。将来の環境被害や資源制約を考えれば、一過性のニーズではありません。世界的な不況下でも、昨年は欧米中心に約60億ドルの資金が将来の成長分野と目される環境技術のベンチャー市場に投じられました。

環境政策を今後の成長戦略の主軸に据える動きが世界中で盛んです。2008年秋以降の経済危機への処方箋として、環境産業への積極投資によって雇用拡大と経済成長を図る「グリーン・ニューディール」政策が各国で導入されています。建造物の省エネ化、再生可能エネルギー、次世代自動車・交通システムなど、様々な分野でのビジネス拡大が期待されています。

2009年9月の国連の報告によれば、世界全体で計画された緊急経済対策の15%以上が環境分野を対象としています。日本は、緊急経済対策の1人当たり支出額が主要13カ国中1位でしたが、環境分野に投資した比率はわずか6%で12位です。対照的なのが、2009年8月に工程表を含む「緑の成長」戦略を発表した韓国です。1人当たり緊急経済対策支出額は日本の1/3に過ぎませんが、その8割を環境分野に集中投資しています。

我が国の「新成長戦略」は骨格が示されたばかりです。具体的な環境産業強化策の肉付けを速やかに行い、実施を図らなければ、我が国の「強み」を失いかねません。成長戦略を明示することで、環境対策を主な使途とする環境税導入の合意形成を図り、財源を確保することも重要課題です。

経済成長と環境対策の両立を目指す国際競争はさらに激しくなるでしょう。企業経営にとっても、「環境視点」で、自社のビジネスのあり方をリスクとチャンスに「仕分け」し、地球環境時代における成長の芽を育むことが求められます。

関連サービス

【調査・研究】
富士通総研には産業系シンクタンクとしての長年に渡る調査・研究・分析の実績があります。さらに、コンサルティング・サービスを通して培ったノウハウで「お客さまの現場で役立つリサーチ・サービス」を実現してきました。


生田上席主任研究員

生田 孝史(いくた たかふみ)
(株)富士通総研 経済研究所 主任研究員
1990年 東北大学大学院修士課程修了、(株)長銀総合研究所入社、
1998年 米国デラウェア大学大学院修士過程修了、(株)富士通総研入社
専門領域:エネルギー・環境政策 、環境・CSR関連経営戦略、環境ビジネス・関連市場動向、環境シナリオ・ビジョン、グリーンIT