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賢い電力網のその先へ

~「3S」で考えるスマートグリッド~

2010年1月4日(月曜日)

スマートグリッドは、「賢い電力網」と訳され、米国発の電力会社の環境対策と見る向きも多いのですが、それではスマートグリッドの一側面しか捉えていません。スマートグリッドは新たな社会インフラとしても期待されています。富士通総研はこのスマートグリッドによる社会インフラの変化を見据え、商品開発やビジネスモデルの変化に対応した新たなビジネスチャンスを生かす新規ビジネスのコンサルティングサービスを提供しています。

地球環境問題を背景に、低炭素社会への大きな流れが生まれています。スマートグリッドという言葉が脚光を浴び、2009年7月、電気事業連合会は2020年に「日本型」スマートグリッドを実現する方向性を整理する方針を示しました。オバマ大統領のグリーンニューディール政策で注目を浴びる米国のスマートグリッドは、送電網の脆弱性解消と水平分業された事業者間での自律分散制御の実現を目指すものです。一方、日本では米国の目指す電力網の安定性はすでに実現されています。そのため日本型スマートグリッドは環境問題を背景とした太陽光発電などの自然エネルギーによる不安定分散電源の大量導入に備え、需要レベルを含めた統合管理の進化を目指すものになると考えられています。

日本型スマートグリッドによって、自然エネルギー発電の出力変動に対する系統側の蓄電池や水力・火力発電との協調制御、需要側電化推進による蓄熱や電気自動車の蓄電等の活用、系統の状況に応じた需要側の自律的発電・負荷制御、配電ネットワークの潮流の積極的制御などが実現され、地球環境問題に大きく貢献することになるでしょう。

実は、スマートグリッドは地球環境問題のためだけのものではありません。電力網と通信網の融合によって、電力会社の業務改善や電気自動車普及のインフラ、人々の生活の向上をもたらすサービスなど、他の領域での活用の議論が始まっています。スマートグリッドに関わる一連の変化は、スマートメーター(SM)、スマートグリッド(SG)、スマートホーム(SH)に代表される3段階の変化「3S」で説明されます。

第1段階ではこれら「3S」の基盤となる、スマートメーターおよびその通信ネットワーク「スマートネットワーク」が整備されることになります。スマートメーターでは、通信機能を持つ電気メーターが採用される見込みで、これは電気使用量の伝送の他に、電力供給のオン/オフの遠隔操作を可能にします。これらの普及により電力事業者の検針業務の自動化が実現されるでしょう。また、電気メーターを親メーターとする親子メーターにより、電力と同様に検針業務を伴うガス、水道等、他の事業者との共同検針というサービスが実現できることになります。

各家庭の電気メーターが、それぞれの計量データをアドホックネットワークによるマルチホップで電柱等に設置された集約装置まで伝送するのに使用される技術がスマートネットワークです。米国のZigbee方式が有名ですが、通信速度が遅いこと、プロトコル特性のアンマッチなどの理由から国内の住宅事情には対応できないと見られています。富士通は設定不要でネットワークを自動構築でき、通信障害発生の際にも自己修復し、周囲のネットワーク環境変化に適応するといった特性を持つ、自律分散型ネットワーク技術を保有しており、この分野での貢献が期待されています。

第2段階のスマートグリッドの実現段階になると、スマートメーターは日本型スマートグリッドのインフラとして活用されます。まずは系統電力網がより高度に制御されることにより、エネルギーコストの低減が見込まれています。再生可能エネルギー利用による逆潮流制御等、低炭素エネルギーの分散協調制御が実現され、需要側の多様なマネジメントに活用されることになるでしょう。生活者は意識することなく、低炭素社会への貢献ができるようになります。

第3段階のスマートホームの議論では、スマートグリッドに使われる通信網に家庭内電化製品や電気自動車等が接続されることになります。これは新たな事業ドメインの出現と捉えることもできます。スマートメーターはサービス用のネットワークゲートウェイとしての活用が期待されています。家に紐づくサービスが、スマートグリッドの通信網を利用して提供されることもあるでしょう。電気自動車の充電状況や、整備状況などの情報提供のインフラとしても利用されるでしょう。

富士通はスマートソリューションを掲げ、このスマートネットワークの構築に貢献すべくサービス・プロダクトの提供、及びR&D活動を推進しています。

スマートグリッドの「3S」は、日本国内の産業構造を分散・新エネルギー利用のグリーン産業へと変革する基盤であり、日本国外に向けては、強みの環境テクノロジーを武器とした産業の進出と発展の基盤です。環境テクノロジーが日本の伝家の宝刀なら、「3S」は伝家の宝刀たらしめる鞘にあたります。「3S」が実現された世界は、環境負荷やエネルギーコストの低下の他、企業のビジネスモデルや製品仕様、地域コミュニティなど多方面に変化がもたらされるでしょう。

富士通総研は海外のスマートグリッド事例の調査研究を進めるとともに、日本型スマートグリッドのもたらす環境変化とビジネスインパクトについて研究を進めています。さらに、富士通総研はスマートグリッドの「3S」による社会インフラの変化を織り込んだ商品開発、ビジネスモデルの変化に伴う価値源泉のシフトなどの変化に対応し、新たなビジネスチャンスを捉える新規ビジネスのコンサルティングサービスを提供しています。

関連サービス

【エネルギー】

エネルギー需要はますます増加する一方で環境問題や石油価格の高騰により、新エネルギーの活用が期待されています。富士通総研では、新エネルギーの導入検討や環境対策、エネルギー事業を中核とするグループ連結事業に対するコンサルティングを行っています。


鈴木佐俊

鈴木 佐俊(すずき さとし)
富士通総研 通信・ハイテクコンサルティング事業部 所属 シニアコンサルタント
新技術を適用したビジネス・クリエーションや、戦略的提携に関するコンサルティングに従事。