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スマート・グリッド=インターネット?

~e-T革命への取り組みを~

2009年11月27日(金曜日)

先日の日米首脳会談において、「スマート・グリッド」に関する協力について合意された。日本でも最近この言葉を耳にする機会が増えてきたが、アメリカと比べれば未だ盛り上がりに欠ける。先日、帝国ホテルで開催された米政府系研究機関主催の国際セミナーでは、スマート・グリッドのビジネス機会について熱く議論が交わされたが、参加者の過半数は外国人であった。日本ではスマート・グリッドの評価が低いが、本当に日本のグリッドは十分にスマートなのだろうか?わずか10年前のIT革命の時に、日本はアメリカに大きな後れをとったが、2010年代に同じことがエネルギー分野で繰り返されることはないのだろうか?

1.スマート・グリッドとは何か?

賢い(Smart)送電網(Grid)とは何か?ITを活用して供給者と需要者の間で双方向通信を行う、次世代の電力ネットワークを指す。「次世代」というだけあって、その実現に向けて実証実験が展開されている段階だが、電気の新たな利用形態について次のようなアイデアが語られている。

第1に、電力の需給の効率化である。既存の電気サービスとは、電力会社が大規模発電所で発電した電気を、電力網を通して一方的に家庭やオフィスに送り届け、これらユーザーは、「今、洗濯機を回すとどれだけ消費するか」、「エアコンの温度を2度下げればいくら料金を抑えられるか」ということを意識せずに、電気を好きなだけ使っていることが多い。このため電力会社は、真夏の午後3時頃に訪れる電力需要のピーク時に合わせて発電所に投資せざるを得ず、夜間などオフピーク時には大いに無駄が生じている。これに対して、家庭が自らの利用状況をリアルタイムに知ることができれば省エネが進むし、更に電力会社の中央制御室と家電が直接通信で繋がり、一定の条件の下に自動制御(DR:Demand Response)できれば、ピーク電力が抑えられるはずである。

第2に、分散型発電の電力網への接続である。地球温暖化問題の深刻さが叫ばれて久しいが、未だに世界の発電の主流は石油や石炭を使った火力発電であり、今後は太陽光や風力といった再生可能エネルギーを使った分散型発電を増加させる必要がある。これらの電力は、CO2の排出量など環境負荷が小さいが、供給が自然現象に左右される。電力には「同時同量の原則」が働き、需要と供給を一致させる必要があり、その責任はこれまで電力会社が一方的に負ってきた。今後小規模で不安定な電源が各地で増加すると、それらが電力網に接続された場合、電力制御が難しくなると言われている。そのためにも、多様な供給者とユーザーの間でリアルタイムの通信を行い、過剰な発電量を一時的に吸収する蓄電池を効果的に使って需給をバランスさせるよう、電力網の進化が必要になる。

第3に、電力の供給者が増加し、需要のあり方が多様化してくると、電気の利用を巡って様々なビジネスが生まれることが予想される。例えば、検針員が月に1回見るだけだった電力メーターがスマート・メーターに置き換われば、家庭での電気利用の「見える化」が実現され、電力会社は遠隔検針が可能になる。家電メーカーは、これに対応して液晶テレビや冷蔵庫に通信モジュールを付加し、連動して省エネを進める機能を競うことになる。SI事業者には、複雑化する電力需給を総合的に制御する情報システムの構築が求められ、電力会社には、これらに対応した省エネを促す価格設定が求められると共に、日本では当たり前だった電気の安定性という品質を、新たな電力網の上で追求することになるだろう。

このようにスマート・グリッドとは、単に電力網が新しくなるだけでなく、電力の需給のあり方を抜本的に変えるインフラである。それは送電インフラであるだけでなく、電気の利用に関する情報が行き来する通信インフラであり、電気サービスのあり方を変えることは勿論、電気というエネルギー源を通して社会のあり方を一新する可能性を秘めている。その鍵となるのが、電気自動車(EV)である。原油価格の高騰や地球温暖化問題を受けて、自動車市場では電気化の流れが加速しており(*1)、来年以降、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)やEVが本格的に市場に投入される。将来的には、これまで自動車に供給されてきたガソリンに匹敵する電気が必要となり、それに付随する社会インフラが構築され、充電サービスの市場が成立するだろう。EVに充電した電気を、より電気価格が高い時に売電するアイデア(V2G)さえある。このように考えてくると、今、我々は、「e-T革命」といった歴史の転換点に差し掛かっていると感じざるを得ない。

2.e-T革命の到来

e-T革命をグーグルで検索すると、ブログを中心に「ET革命」として50万件ほどヒットする。「エネルギー技術革命」などという意味で使われおり、前節で示した筆者の問題関心とも共通するが、まだ一般に使われているとは言い難い。アメリカでは似た意味で、CleanTechやGreen Technologyという言葉が広く使われているが、筆者が敢えてe-T革命と呼んだのには理由がある。次の3つのeが重なっていることが重要なのである。

第1に、言うまでもなくエネルギー:Energyのeである。前述の様々な技術革新が、エネルギーに直接関わることは言うまでもない。一方で既に40年以上前に、中東での油田の発見を受けて、エネルギーの主役が石炭から石油に置き換わったことを指して、「エネルギー革命」と呼ばれた。蒸気機関に内燃機関が置き換わり、自動車の時代が到来して道路の整備が進み、石油化学産業が勃興するなど、交通体系や社会生活に大きな影響を与えた。今回の革命も、やはりエネルギー源が置き換わることに由来するわけだが、新たなエネルギーの中心となるのは、電気である。

この電気:Electricityが、第2のeである。実はスマート・グリッドがなくても、近年、全エネルギーに占める電気の重要性は高まっている。『エネルギー白書2009』によれば、発電量は一貫して伸びており、製造業のエネルギー消費の18%、家庭部門の45%、業務部門の43%が電力である。とはいえ、未だ一次エネルギーの国内供給の80%以上が石油や石炭といった化石燃料であり、特に自給率が低い日本については安全保障上の観点からも、運輸部門で更なる電気化を進める余地は大きい。その電気も、火力発電では温暖化対策上は意味がないのであり、再生可能エネルギーをできる限り活用すべきである。

このように現代のエネルギー革命は、化石燃料が電気へと置き換わることを発生源とするが、そこでは技術:Technologyの役割が圧倒的に大きい。その技術とは、単にガソリンや電気を扱うエネルギー関連技術ではなく、IT:情報技術が主役となる。IT革命とは、今や普通の言葉になってしまったが、デジタル技術や伝送技術の革新により、情報をやり取りするコストが劇的に低減し、インターネットが誕生したことで、電子メールなど意思疎通のあり方が変化し、電子商取引など様々なサービスが興ったことを指す。IT分野では、electronic:電子的という意味を表す語句として小文字のe-が頻繁に使われる。これが第三のeである。

即ちe-T革命とは、エネルギー(第1のe)のあり方が、化石燃料から再生可能エネルギーを活用した電気(第2のe)へと抜本的に置き換わることによる、社会全般に生じる非連続のイノベーションを指し、その主たる技術革新はIT(第3のe)から派生している。これら3つのeがTの上に重なるところに、革命の核心がある。更に付け加えるならば、その結果、地球環境の保全にも役立つ(ecological)。

3.スマート・グリッド=インターネット?

筆者はe-T革命という言葉を使うに当たって、IT革命との関連性を特に重視している。それは、IT革命のように様々なイノベーションをもたらすからというだけではない。その技術革新の構図がそっくりなのである。即ちIT革命は、インターネットという自律分散型の通信ネットワークの成立によって花開いたが、今e-T革命は、スマート・グリッドというネットワークの成立によって始まろうとしている。

【表1】固定電話網からインターネットへ

固定電話網 インターネット
設計思想 中央管理・閉鎖型 自律分散・開放型
通信方式 回線交換(交換機) パケット交換(ルーター)
ネットワークの確立 19世紀後半 20世紀後半
管理主体 電電公社、独占的事業者(NTT) なし(NPO)
規制 有線電気通信法(公的独占)、電気通信事業法(価格規制、参入規制) なし(デファクト標準)
利用サービス 限定的:音声電話、ファクシミリ 無制限:ホームページ、ブログ、電子商取引、電子メール、音楽ダウンロード…

インターネットの本質は、それ以前の通信を代表する固定電話網と比べれば分かりやすい【表1】。固定電話網とは、音声情報をやり取りする通信サービスを提供するための有線の電話線を指すが、かつては自然独占性が高く、ネットワークの技術的統一性を保つ必要があるとされ、電電公社が公的独占の下に管理してきた。そこには有線電気通信法といった規制が存在し、1970年代まではコンピュータ・データの通信すら認められていなかった。これとは対照的にインターネットは、アメリカの大学がメインフレームを共同利用するための学術ネットワークとして始まり、国家統制とは無縁な中でユーザーたる研究者主導で拡大し(*2)、そのための接続手順をNPOの場で事後的に追認していった。その結果、誰もが自由に利用できる開放的なネットワークとなり、その上で様々なサービスが花開いた。

アメリカ人がスマート・グリッドを議論する際には、固定電話網からインターネットへの進化のアナロジーとして考えている。スマート・グリッドは、電力版のインターネットだと言うのである。既存の電力網は、発電から売電までを電力会社が管理する一方通行のネットワークであり、日本では戦後一貫して民間企業ながら地域独占体制が維持されてきた(*3)。その基本的技術体系は、19世紀後半のエジソンの時代から大きくは変わっていないと言われ、ユーザーは決められた電力会社から規制価格でサービスを購入するしか選択肢がなく、周辺サービスも存在しない。このような中央管理型の電力網が、新たな供給者や無数のユーザーに解き放たれれば、ユーザーの視点から様々なサービスが花開くのではなかろうか?

実際、インターネットが拡大する過程では、まず1970年代から80年代にかけて、OSのマイクロソフトやCPUのインテル、パソコンのデルといったIT社会の基盤を形成する企業が興り、世界のコンピュータ産業を垂直統合型から水平分業型へと変えていった。90年代以降は、ポータルサイトのヤフー、電子商取引のアマゾン、ネットオークションのe-bayといった、インターネットを使ったサービス企業が次々と誕生し、ニューエコノミーを牽引した。一方でこれらの何万倍もの数のベンチャー企業が消えていったのも事実だが、これこそがシュムペーターの言う非連続のイノベーションの実態なのである(*4)

今、アメリカでは、IT革命の時と同じように、スマート・グリッドへの関心が高まり、ベンチャー・キャピタル(VC)の投資が集まっている。IBMやアクセンチュア、シスコといったIT企業は、電力制御システムや電気利用情報を活用したサービスを提供し始めている。グーグルは、家庭の省エネを進めるPowerMeterというソフトを開発すると共に、カリフォルニア州の公益事業委員会に、電力メーターに記録される情報をユーザーのものとする規制改革を求めている。これら既存企業だけではない。1999年に設立されたファーストソーラーは、2008年の太陽光発電セルの生産量で日本のシャープを抜いて世界第2位となった(*5)。更に2003年には電力管理ソフトのグリッドポイントが、電気自動車のテスラモーターが設立され、現在まで高い注目を集めている。

企業の投資を後押ししているのは、政府の政策である。アメリカではオバマ政権がいわゆるグリーン・ニューディール政策を掲げ、その中核にスマート・グリッドを据えた。大統領選挙期間中に発表された“New Energy for America”では、今後10年間でクリーンエネルギーに1500億ドルを投資し、500万人の雇用を生み出すとし、2015年までに100万台のPHVを普及させ、2025年までに電力の25%を再生可能エネルギーで賄う目標を掲げ、スマート・グリッドへの投資も約束した。これらは政権発足後に、7870億ドルに上る景気刺激策(ARRA)の中の重要な成長戦略として実行に移されつつあるが、1993年に誕生したクリントン政権が、選挙期間中から情報スーパーハイウェイ構想を掲げた経緯とよく似ている。

4.e-T革命と日本の後れ?

今、スマート・グリッドを中核としてe-T革命が起きようとしているとすれば、それに対して日本企業、日本社会は、準備できているのだろうか?IT革命の時には、日本はアメリカに大きな後れをとった(*6)。実は、スマート・グリッドとインターネットの間には、技術革新の構図だけでなく、それへの両国の対照的な姿勢にまで共通点がある。日本はe-T革命についても、後れをとろうとしているのではないか?

日本では、電力会社もIT企業もアメリカで起きている現象を傍観しており、ベンチャー企業の新規参入は殆ど見られず、政府が包括的な成長戦略を掲げる動きは見られない。その最大の理由は、日本は既にスマート・グリッドを実現しているからだと言う。経済産業事務次官の発言に象徴されるように(*7)、日本の電力業界には高い安定性を誇る電力網に対する強い自負がある。確かにアメリカは、上下分離された電力市場に3000もの電力会社が並存し、自由化されていない送電網への投資が滞った結果、停電が頻繁に起こる状態にある(*8)。アメリカ政府の言うスマート・グリッドが、老朽化した送電網の補修を指しているとすれば、日本は既に何歩も先んじていることになる。

確かに、アメリカ政府の景気刺激策に送電網の補修が含まれることは事実である。しかし、スマート・グリッドの構想がそこで終わるものでないことは、これまでの説明から明らかであろう。だからこそ名だたるIT企業がこぞって市場に参入し、太陽光発電や電気自動車の分野にVCの資金が集まっているのである。寧ろIT分野でleapfroggingという現象がよく見られるように(*9)、アメリカは既存の送電網が旧態依然であるが故に、日本の送電網のはるか先まで進む可能性がある。いや、アメリカはそれを戦略的に狙っているのであり、日本のスマートなグリッドはここ数年の間にレガシー・システムに成り下がってしまうかもしれない。

日本の慎重な姿勢は、IT革命の時も同様だった。電電公社は1979年に光ファイバー網を全国敷設するINS構想を立ち上げ、90年代にかけて郵政省と共に推進したが、当時はこれが世界最先端の計画と自負していた。しかしそれは、中央管理型でインフラ重視の計画であったため、自律分散型でユーザー主導の発想から生まれたインターネットが、いつの間にか世界標準になってしまった。情報産業を所管する当時の通産省も、大手メインフレーマーと共に水平分業化に乗り遅れ、安全性の観点から専用線に固執し、開放的なインターネットを重視しなかった(*10)。その間にアメリカでは、大学のコンピュータ科学者の自主的な努力や、新興企業による新サービスの開発競争により、ネットワークよりも端末に、中央管理者よりもユーザーに力を与える全く新たなインフラが形成されてしまったのである。

日本がスマート・グリッドに慎重なもう1つの理由は、それが技術的に不可能な、少なくとも近い将来には実現しない絵空事だからだと言う。確かに、通信と電力の技術体系は全く別物である。「同時同量の原則」に象徴されるように、そもそも電気サービスは、限られた中央管理者が制御に多大なる努力を払うことで成り立っており、分散型発電を無秩序に増設し、そこからの電力が電力網に流れ込む(逆潮流)と、安定供給義務を果たせない。ましてや、電力網を開放的なインフラと位置づけて、多様な供給者やユーザーの間で電力の自由売買を行うことなどあり得ないと言うのである。

これは確かに精緻な技術的検証を要する問題であるが、これこそアメリカの企業が先を争って技術革新によって克服しようとしている点である。例えば、分散型電源の系統接続は10%までが限度だと言われるが、10年後もそのままなのだろうか?風力発電大国のデンマークでは、20%以上を分散型電源から賄っている。デンマークは小国だから、メッシュ型のネットワークだから、といった説明が聞かれるが、それでは日本の国土において、蓄電池も含む最先端の技術によってどこまで可能なのか、できない理由を確認するのではなく、どうしたらできるかを検討することが重要であろう。

5.非連続のイノベーションへの積極的な取り組みを

確かに、現在のビジネスモデルで成功を収めている大企業が、それを否定する行動に出ることは難しい。日本の電力会社は、電気事業法の制約下で火力や水力、原子力といった大規模発電のベストミックスを真剣に考え、中央管理型の送電網に計画的に投資し、周波数制御の技術を磨いてきた。このようなインフラや技術を大前提として、どうしても必要ならスマート・グリッド的な部分を継ぎ接ぎすることで済ませたい(=「日本版スマート・グリッド」)気持ちは理解できる。しかし宥和的な態度を続けていると、確実に海外の新規参入者に取って代わられ、日本は何十年も後れを取り返せない恐れがある。温暖化対策のために渋々ビジネスモデルを修正するのではなく、大局的な視点から前向きに非連続のイノベーションに取り組むべきであろう。幸い現時点で日本企業は、送電網でも、太陽光発電でも、HVでも、世界最高水準の技術を持っている。これら企業が大胆に連携し、最高水準のスマート・グリッド技術を開発し、その標準化を進めて世界市場に進出すれば、IT革命で遅れた日本はe-T革命でアメリカに先んじることができる。

そのためにも政府の役割が重要である。日本がIT革命に遅れた理由の1つは、それまで縦割りで産業分野を所管して成功を収めてきた省庁が、これを横断する新たな産業像を描くことができなかったからであった。今、e-T革命についても、資源エネルギー庁は地域独占体制を前提とし、同じ経産省でも情報政策課はIT企業のビジネス機会を考え、自動車課は自動車業界の業態転換の進め方に頭を悩ませている。その外では、環境省が環境保護を唱え、国土交通省は運輸交通の立場から、総務省は通信の立場から、何か得られるものはないかと狙っている。ここは「政治家主導」をうたっている鳩山内閣が、温室効果ガスの25%削減目標も踏まえ、国家戦略室において総合的な成長戦略を早急に描き、ITによる電力制御の技術開発の支援、電力の固定価格買取制度(FIT)の拡充、計量法の改正、ガソリン税の暫定税率廃止に替わる環境税の導入といった戦術を、各省庁に実行させることが求められている。

もし中央政府に期待できない場合には、地方自治体の出番である。スマート・グリッドはそもそも自律分散型であるところに最大の特徴があり、インターネットが西海岸の4大学のネットワークから始まったように、地方のベンチャー企業も加えてコミュニティ単位で分散型発電を導入し、マイクロ・グリッドを構築することが考えられる(*11)。そこで得られた逆潮流などのノウハウをヨコ展開し、次々とマイクロ・グリッド同士を接続していけばスマート・グリッドができてしまうという考え方は、安易すぎるだろうか?e-T革命が非連続のイノベーションであるからには、シュムペーターが言ったように、ある程度の「発展担当者の変更」は避けられない。スマート・グリッドを軸にしたe-T革命への取り組みは、「地域主権」を掲げて政権交代が起きる時代を象徴する政策ではなかろうか。

注釈

(*1) 日本自動車販売連合会によれば、2009年の新車月間販売台数では、4月以来ハイブリッド車(HV)が1位を獲得し続けている。

(*2) インターネットは米国防省高等研究計画局の研究プロジェクトとして始まったが、軍事目的で開発されたわけではない。

(*3) 1995年以降、発電や大口需要家への小売などで自由化が進められつつあるが、家庭への小売では独占体制が維持されている。

(*4) シュムペーターはイノベーションを「生産手段の新結合」と呼び、その非連続性を強調した。『経済発展の理論』を参照のこと。

(*5) IEAが2009年9月に発行した、Trends in Photovoltaic Applications。1位はドイツのベンチャー企業であるQ-Cells。

(*6) 拙著『イノベーションと政治学~情報通信革命<日本の遅れ>の政治過程』を参照されたい。

(*7) 2009年2月19日の望月次官の発言。スマート・グリッドへの予算は、「米国の送電網が相当つぎはぎだらけで、よく大停電を最近起こ」すため、「インフラの整備」のための「公共事業的な部分というのが、ニーズが相当高い」。「日本の送電網」は「しっかりしている」ため、「景気対策として日本で需要を見つけようとすると、比較的少ない」。

(*8) 2003年8月にはニューヨークなどで大規模な停電が発生し、カナダを含めて5000万人が被害を受けた。

(*9) 技術革新が激しい分野においては、遅れている地域が進んでいる地域の技術段階を飛び越えて次世代の技術段階に入り、競争条件が一変しやすい。例えば、中国は固定電話網の普及が遅れていたが故に、ここ10年程度の間に携帯電話網の普及が急速に進み、今では世界最大の携帯電話の普及台数を誇っている。

(*10) 実はアメリカでもインターネットの黎明期に、パケット交換という通信の品質を保証しない(ベスト・エフォート)方式について、独占的通信事業者であったAT&Tは全く相手にしなかった。

(*11) 既に青森県八戸市、群馬県太田市、京都府京丹後市などでは、このような観点からの実証実験が行われている。

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【調査・研究】


高橋 洋(たかはし ひろし)
【略歴】1993年 東京大学法学部卒、ソニー(株)入社、1999年 タフツ大学フレッチャー大学院修了、2000年 内閣官房IT担当室主幹、2007年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2009年より東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、成城大学非常勤講師、(株)富士通総研経済研究所主任研究員
【著書】『イノベーションと政治学 情報通信革命〈日本の遅れ〉の政治過程』勁草書房 2009年