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鳩山内閣への期待:意思決定の一元化は成るか?

2009年9月29日(火曜日)

1.鳩山内閣の順調な船出

9月16日の衆議院での首班指名選挙の結果、鳩山民主党代表が内閣総理大臣に選ばれ、遂に民主党を中心とした連立内閣が誕生した。その閣僚の顔ぶれを見ると、平均年齢が麻生内閣より2.5歳上昇したように、大臣や政党の要職の経験を積んだ重鎮が多く、党内派閥にも配慮した安定型と言うことができよう。一方で、国家戦略担当や行政刷新担当といった新設の大臣を設け、また厚生労働省や国土交通省には政策通と呼ばれる若手議員を配置するなど、新たな政策を実行する意欲も窺える。報道各紙の世論調査によれば、内閣支持率は軒並み70%を超えており、小泉内閣発足時に次ぐ高さだという。

組閣からまだ10日ほどしか経っていないが、鳩山内閣はマニフェストで約束したことを着実に実現すべく、これまでの自民党内閣では見られない意思決定や行動を、矢継ぎ早に打ち出している。例えば、内閣主導の意思決定については、これまでの閣議は法案を署名するだけの形式的なものだったが、議事進行を事務の官房副長官から政務の官房副長官に交代させ、その場で閣僚同士の意見交換も行っているようである。また閣僚委員会を始動させ、重要案件については閣僚同士で議論した上で、閣議決定するという意思決定経路を確立しつつある。また内閣官房に国家戦略室を設置し、国家戦略局に向けた準備を進めると共に、内閣府に行政刷新会議を置くことも決定した。

同時に、脱官僚については、9月18日に内閣として「政・官の在り方」を申し合わせ、大臣や副大臣といった政治家が政府としての「政策の立案・調整・決定」の責任者であり、これを「補佐する」官僚を「指揮監督する」として、両者の上下関係を明確化した。これを踏まえ、官僚が政党側の政治家に接触することを制限すると共に、事務次官などの定例記者会見を禁止し、更に明治時代から連綿と続いてきた事務次官会議も廃止された。いずれも制度面の表面的な変化に過ぎないが、自民党内閣では考えられなかったことばかりであり、国民は政権交代を実感しつつあるのではなかろうか。

マスメディアにおいても概ね新内閣に対して好意的な報道が目立つが、唯一揃って批判が集まっているのは、小沢民主党幹事長という存在についてである。自民党の長期一党支配時代には、行政権の主体である内閣に対して政党の力が優越し、意思決定が二元化していた。民主党はこれを批判し、マニフェストにおいても与党を内閣に融合させ、政府の意思決定は内閣において一元的に行うことを主張してきた。しかし、8月の総選挙の最大の功労者と言われる小沢氏が、衆議院で300名以上を擁する民主党の党務の責任者の地位に就いたことにより、またもや意思決定が二元化するのではないか、内閣が党側から操られてしまうのではないかとの不安が高まっている。しかし筆者は、このような不安は全くないと考える。

2.小沢幹事長による意思決定の二元化?

第一の理由として、小沢氏は本当に総選挙の最大の功労者なのだろうか?ということが挙げられる。マスメディアは、民主党の大勝は小沢氏によってもたらされたのであり、恩義を感じている143名の新人議員は、小沢チルドレンとして小沢氏の言いなりになる。だから党側に残った小沢氏の影響力は、鳩山首相を凌ぐ強大なものになると言う。しかし有権者は、2005年の郵政解散総選挙の時に小泉自民党に熱狂して投票したように、今回の総選挙において小沢民主党や小沢チルドレンに投票したのではない。有権者はただ自民党を否定して、政権交代を渇望して、新たな与党としての民主党に投票したのである。鳩山党代表も必ずしも高い人気を誇ったわけではないが、少なくとも秘書献金問題で追及された小沢氏よりは支持されていた。小沢氏が党代表に止まり続けていたら、民主党はこれ程の大勝を収められなかったはずである。

確かに小沢氏は選挙のプロと言われ、社民党などとの選挙協力やいわゆる刺客候補の擁立に一定の役割を果たした。しかし、急に抜擢された政治の素人の候補の中で小選挙区において見事当選したのは、東京10区の江端氏や愛知7区の山尾氏、長崎2区の福田氏ぐらいで、自民党の元総理や元大臣の対抗馬として立てられた小沢ガールズは、多くは小選挙区で勝てずに比例復活した。比例復活したのはその候補者個人への支持ではなく、民主党そのものへの支持のお陰である。小沢氏がいわゆるドブ板選挙の手法を指南したというが、それ以上に、麻生前総理が解散時期を遅らせたことによって、1年間の選挙準備期間があったことの方が、民主党の新人候補者にとっては大きかったのではないか。それでも新人当選者たちは、小沢幹事長に絶対的な忠誠を誓うのだろうか?

第二の理由として、細川内閣時代とは余りにも状況が異なることが挙げられる。マスメディアは、細川連立内閣の際に小沢氏が、新生党代表幹事として党側から内閣を支配したことを挙げて、今回も同様の事態が起きることを懸念している。細川内閣の時には、そもそも選挙前に非自民の内閣が誕生するとは当人たちも予想しておらず、選挙結果を見てまさに小沢氏その人が、八党派を無理に繋ぎ合わせて内閣を成立させた。換言すれば、小沢氏なかりせばこの内閣は誕生しなかったとすら思われ、そのような要に位置する人物であったからこそ、強大な影響力を行使することができた。これに対して今回は、選挙前から政権構想が示され、民主党が圧倒的に優位な連立内閣として誕生した。政党側で困難な調整を行わなくても意思決定が可能なはずであり、それこそが内閣への意思決定の一元化というマニフェストの実現にも繋がる。

第三に、これとも関連して、政策の準備度合いが余りにも異なる。細川内閣の時には、非自民というだけで急に集まったため、政治改革以外の共通政策が全く準備できていなかった。だからこそ、選挙制度改革法案を成立させた直後に、突如として小沢氏によって国民福祉税構想が登場したのであり、それをきっかけとして武村官房長官らとの確執が表面化し、内閣は崩壊した。しかし今回は、10年以上の野党経験を経て民主党としてマニフェストを用意してきたのであり、新内閣はそこに書かれた多数の政策を着実に実施していくことが求められている。従って、既にある程度内閣のレールは敷かれているのであり、それ以外の政策に党側から手を出せるような隙はないのではないか。

第四に、既に小沢氏が人事において影響力を行使しているとの報道がなされているが、果たしてそうであろうか?新内閣には、仙谷氏や前原氏といった、小沢氏から距離があるとされている有力議員も入閣しているし、藤井氏の財務大臣就任についても、小沢氏の反対があったというが、鳩山総理が押し切ったようである。特に小沢グループを優遇しているわけではなく、副大臣などの人事についても各大臣からの指名に委ねるなど、事前の約束通りに着実に進められている。

最後に、これだけの批判の中で小沢氏が敢えて党側で実権を握るとすれば、その誘因は何なのだろうか?小沢氏は、マスメディアからは豪腕だとか壊し屋だとか評され、政治学者の間でも合理的な説明が難しい政治家だと言われている。一方で、1993年に政権構想である『日本改造計画』を発表して以来の小沢氏の行動は、政権交代可能な二大政党制を実現するという観点から一定の説明が可能だと思われる。即ち、社会党を連立から排除したり、新進党をすぐに解党したりしたことは、確かに絶対服従を要求するといった強烈な個性に起因する面はあるものの、それ以上に自民党に対抗できる強力な政党を作りたいとの意思があったのではないか。

このように解釈すれば、現時点において小沢幹事長が第一に考えることは何だろうか?小沢チルドレンを連れて民主党から離脱することだろうか?よほど自らの想いとは違う行動を鳩山内閣がとれば、そのような可能性もなくはないが、上記の通り、内閣の筋書きは既にマニフェストに描かれてしまっているのであり、それを否定することは難しいだろう。小沢氏が当面の間に最優先するのは、1年後の参議院選挙のはずである。参議院選挙で単独過半数の議席を獲得しない限り、民主党は万全な与党とは言えない。だとすれば、小沢幹事長が選挙のプロを自認するのであれば、今後の行動は予測しやすい。少なくとも1年間は、参議院選挙の準備に奔走するはずであり、党側から内閣の意思決定に介入する暇などないのではないか。

3.国家戦略局や行政刷新会議の限界

では、鳩山内閣には何の問題もないのかと言えば、残念ながらそうではない。政党との間での一元化については、連立与党の代表も含めて重鎮の多くが入閣し、党内の政策分野別の「部門会議」を廃止するなど、比較的順調に進んでいる。しかし肝心の内閣の中において、本当に一元的な意思決定が機能するか懸念される。この点について、筆者は8月31日付けのオピニオンにおいて、閣僚委員会の機動的な活用を提言したが、本稿では、その後の組閣などの動きを踏まえ、改めて論じてみたい。

第一に、総理のブレーンとされる国家戦略局についてである。マスメディアの報道などでも過大な期待が集まっているようだが、ここを効果的に機能させるのは容易ではない。まず、「国家戦略室の設置に関する規則」(9月18日の内閣総理大臣決定)に基づく現状の問題点を指摘すると、9月28日現在の構成員とは、菅直人担当大臣と古川副大臣、そして津村大臣政務官の3名に過ぎない(*1)。今後官民の優秀な人材を数十名集めて「室員」とする他、民間有識者を非常勤の「政策参与」とするとのことだが、来年度予算編成のためにもこの人事を早急に実行する必要がある。また、古川氏と津村氏は共に内閣府の副大臣及び政務官であるため、内閣官房の同室に対して何ら権限を有しないはずである。古川氏を国家戦略室長としたようだが、内閣法にも内閣官房組織令にも規定されていない役職に、非常勤とはいえ国会議員が就任してよいのか、国会法の兼職規定との関係で問題がある。その任務については、「税財政の骨格、経済運営の基本方針その他内閣の重要政策に関する基本的な方針」の企画・立案・総合調整とのことだが、マニフェストに明記された「予算の骨格の策定」との表現は見られず、既存の内閣法と内閣府設置法の規定を足して2で割ったような曖昧な内容になった。9月18日の記者会見では、早速藤井財務大臣が予算査定権は財務省にあることを主張しており、経済財政諮問会議を設置した際と同様の権限争いが生じつつある。9月28日には予算編成に関する検討会を立ち上げ、有識者が予算編成の議論に加わるようだが、法令で規定されていない室に設置された検討会にどのような権限があるのか、そこでの議論の情報公開をどうするのか、注意が必要である。やはり国家戦略局は、内閣法や国会法の改正によって正式に法定することが不可欠なのである。

次に、国家戦略局がマニフェストに則って正式に設置され、人材が揃ったとしても、十分に機能するか心もとない。その最大の理由は、わずか1人の無任所大臣に30名程度の室員が付くに過ぎない組織だからである。「国家ビジョン」の立案についてはまだ良い。あくまで総理の知恵袋として、有識者の知見を総合して大きな方針案を作成し、閣議などにおいて総理からそれを提示してもらう。まさにブレーンとしての機能である。しかし「予算の骨格の策定」については、1大臣の手に負えるものではなく、各省との調整がどうしても必要になる。これまではそれが官僚からのボトムアップであったため、それを内閣からのトップダウンに変革する方向性は正しいが、そうであれば各省大臣との間で十分に議論すべきであろう。そうでなければ、国家戦略局がどんなに素晴らしい予算の骨格を提案したとしても、他の大臣は聞いていない、承諾できないということになりかねない。

第二に、国家戦略局と共に内閣の両輪となるとされている行政刷新会議についてである。9月18日の閣議決定により、同会議は内閣府に設置され、総理を議長、仙谷担当大臣を副議長として、今後有識者の人選を進めていくという。「国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」というが、この文面からは、行政のムダを排除し、新政策に必要な予算の財源を捻出するという役割は不明確になった。やはり内閣府設置法の改正などにより、その権限を法定することが必要であろう。また、こちらも早急に会議体として始動することが望まれるが、有識者にしても事務局の官僚にしても、各省から強い抵抗を受ける仕事を遂行できる人材が十分に集められるか懸念される(*2)。その上で国家戦略局と同様に、各省大臣と十分に調整できるかが最大の鍵となろう。

行政刷新会議による取り組みは、いわゆる審議会方式である。これまでにも数多くの審議会から斬新な改革案が提案され、実行されずに放置されてきた。横串の担当大臣とその傘下の審議会による行政改革や地方分権改革といった取り組みは、えてして一部の者のスタンドプレーと見なされるに終わり、その実行が伴わないことが、これまでの限界だった。改革案を実行するのは縦割りに組織された省庁であり、官僚が不都合な変化に抵抗するからであるが、より根本的には大臣の間で調整が十分になされておらず、内閣としての意思決定が伴っていない問題の方が大きい。同会議が各省の予算の組み換えを行い、ムダを排除するというのならば、まさに各省大臣との調整は不可欠であるが、この場に出席するのは総理と担当大臣のみのようだ。

繰り返しになるが、民主党のマニフェストの要諦は、内閣に意思決定を一元化するところにある。そのために国家戦略局や行政刷新会議といった補佐機構を設けたわけだが、それぞれが新たな権力核として勝手な行動をとれば、この体制は瓦解してしまう。小泉内閣では、経済財政諮問会議が内閣の事実上の(内政面の)意思決定機関として効果的に機能したと言われているが、それは総理以下主要な経済閣僚が揃っている場で、有識者の提案をたたき台として実質的な政策論議を繰り広げ、総理がその場で最終的な判断を示したからであった。いくら総理主導・官邸主導を強調しても、そもそも内閣は合議制なのであるから、各省官僚はともかく各省大臣の合意は不可欠である。だからこそ筆者は、先日のオピニオンにおいて、閣僚委員会の機動的な活用を提言したのである。

4.閣僚委員会を中心に内閣への意思決定の一元化を

やはり鳩山内閣は、閣僚委員会を中心に意思決定の内閣への一元化を目指すべきである。9月18日には、早速「補正予算に関する閣僚委員会」を開催し、鳩山総理以下、菅国家戦略大臣、平野官房長官、藤井財務大臣、仙谷行政刷新大臣が集まり、官僚がほとんど同席していない場で補正予算の執行の見直しについて議論を行い、各省大臣に対して執行の是非を検討するよう指示を出した。その結果、各省大臣らはシルバーウィーク中にその作業を官僚と共に行い、八ッ場ダムの視察に赴くなど精力的に検討を進めているようだ。閣僚委員会については、法的な権限問題や新たな人事は発生しないのであり、大臣の力量さえあれば調整も効率的に行え、その結果を閣議に上程して内閣全体として正式に意思決定するのである。

具体的には、国家戦略局で作成した国家ビジョン案は、「基本政策閣僚委員会」において更なる議論を行い、また行政刷新会議が示した地方分権改革案は、例えば「地域主権閣僚委員会」において関係大臣間の調整を行うのである。また、既に郵政民営化の見直しについて、原口総務大臣と亀井郵政担当大臣の間で権限争議が起きているが、「郵政改革閣僚委員会」を立ち上げ、ここで具体案を議論すれば良い。予算の骨格の策定も、全ての省に関わることであるから、閣僚委員会を活用せざるを得ない。このように、閣僚委員会を事実上の総合調整・意思決定の場として中心に据え、その他の内閣の補佐機構と密接な連携を図ることが、最も現実的な一元化の手法であろう。

その上で、第一に閣僚委員会については、副大臣や大臣政務官も構成員として加えることを提案したい。イギリスのCabinet Committeeでは、閣内大臣だけでなく閣外大臣や政務次官もその担当に応じて構成員となっているが、今のところ日本の閣僚委員会では大臣のみのようだ。例えば20の閣僚委員会を毎週行うのであれば、1つの委員会のメンバーが5名としても、大臣だけであれば毎週6つの閣僚委員会に出席しなければならない。そのような時間的負担の意味からも、新内閣において重視されている副大臣らに責任を持って活躍してもらうためにも、「政務三役」を効果的に配置することが求められる。

第二に、内閣の指揮命令系統を明確化するため、平野官房長官と菅国家戦略大臣との役割分担が重要である。つい3年前のことだが、安倍元総理は官邸主導を強化する強い意欲を示し、その要である事務の官房副長官として懇意にしていた旧大蔵省OBを迎えると共に(*3)、総理補佐官に複数の側近議員を就け、更にそれらを補佐する内閣参事官を新たに各省から公募するなど、大きな組織改革を行った。しかし、官房長官は(これまで以上に)全ての案件を一手に管理しようとし、総理補佐官は存在感を出そうと張り切った結果、官邸内の指揮命令系統が混乱し、内閣そのものが自滅した(*4)。新内閣では、官房長官が内閣全体の運営面(いわゆるロジ)に特化し、政策面(サブ)は菅大臣が全面的に担当するよう役割を明確に分けた上で、両者が十分な意思疎通を図り、一致団結して鳩山総理を支えることが重要である。

第三に、これとも関係して総理補佐官の役割の明確化が不可欠である。鳩山内閣は政治家100名を政権に入れると言っていたため、筆者は総理補佐官を定員いっぱいの5名置くと予想していたが、現状では2名しか置かれていない。今後補充するとの話だが、その際には総理補佐官があくまで総理の個人的な補佐役として機能するよう、役割を限定すべきである。総理補佐官は、そもそも「内閣の重要政策に関し」「内閣総理大臣に意見を具申する」(内閣法19条)ための役職であり、具体的な執行権限も予算も持っていない。ここに個別的な実務を任せるのではなく、特定の政策案件について総理の知恵袋となり、また総理と関係大臣などとの意思疎通の円滑化に貢献する役割に限定すべきであろう。そのためには、我が強い人ではなく、特に専門性に秀で、総理の意を呈して黒子となれるような人材を据えるべきである。

元々日本国憲法には、内閣の構成員として国務大臣のみが規定されており、ここに各省大臣は登場しない。特定の専門分野を必ずしも背景に持つ必要のない国務大臣が集まって、合議制の内閣において政府の意思決定を担うことを想定していたのである。しかし現実には、国務大臣は行政長官に成り下がってしまい、各省の利益代表として内閣において拒否権を振りかざすようになってしまった。民間企業においても、30名あるいは40名が一堂に会する取締役会議では、実質的な意思決定ができないということで、取締役と執行役を分離したり、社外取締役を導入したりといったコーポレート・ガバナンスの改革が進められてきた。鳩山内閣が目指すのは、同様の観点からのガバメンタル・ガバナンスの改革であり、その要諦は総理が指導力を発揮すると共に、国務大臣が一致団結して意思決定の核となることである。有能な国務大臣が、国益の観点から閣僚委員会で議論を繰り広げて十分な調整を行い、内閣として迅速かつ着実に意思決定を行い、官僚機構による執行を指揮監督していく体制が、一日も早く整備されることを望みたい。

注釈

(*1) 菅大臣は、「当初自らを支える戦略室スタッフとして国会議員数人を官邸に常駐させ、党の政策立案を担ってきた党政調の職員数人を置くことも検討していた」が、法的な制約などでそれもできず、「人事権も予算もスタッフもない」手詰まり状態にあるという。『読売新聞』(2009年9月19日)。

(*2) 行政刷新会議の事務局長に、旧大蔵省出身で構想日本の加藤秀樹代表が就任することになった。

(*3) 事務の官房副長官は、中立的な立場を保ちやすい旧内務省系の事務次官経験者から選ばれることが慣例であったが、父の安倍晋太郎氏と親しかった高齢の大蔵省OBである的場順三氏を迎えた結果、各省との意思疎通に齟齬をきたしたと言われている。

(*4) その1つの表れが、塩崎官房長官と小池防衛大臣(その前は安全保障担当の総理補佐官)との間で生じた、防衛次官人事を巡る対立である。

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高橋 洋(たかはし ひろし)
【略歴】1993年 東京大学法学部卒、ソニー(株)入社、1999年 タフツ大学フレッチャー大学院修了、2000年 内閣官房IT担当室主幹、2007年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2009年より東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、成城大学非常勤講師、(株)富士通総研経済研究所主任研究員
【著書】『イノベーションと政治学 情報通信革命〈日本の遅れ〉の政治過程』勁草書房 2009年