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お客様自身で考えるビジネス戦略企画のために

2006年8月3日(木曜日)

1.はじめに

基本的にお客様自身が自らビジネス戦略企画を行うことは、そういった活動を長く経験していないと大変難しいものです。しかし、私どもでは、ビジネス戦略企画未経験のお客様でも使える「ビジネス戦略企画支援ツール」を2000年頃から開発し、これまで多くの活用実績と成果を出してきました。

このツールを作るために、私を含めビジネス戦略企画コンサルティングを長年経験してきた人材を集め、何度もブレーンストーミングを重ね、彼らの頭の中をすべて吐き出させることを行いました。

具体的には、プロがコンサルティング時に頭の中で行っている「ビジネスの基本的なチェックポイント」の抽出。さらにビジネスを深く検討していく時の要素を抽出 / 分析し、(1)商品・サービス、(2)ターゲット・セグメンテーション、(3)ビジネス・モデル、(4)マーケット・アプローチ、(5)マネジメント、(6)テクノロジーの6つに分類、それらを素人でもわかりやすく、順序立ててワークシートに記述しながら使うことができるように改善を重ねて作成しました。もちろん、このツールを使えば必ず成功するビジネスの企画が生まれるということを保証するものではありません。しかしながらプロの経験に基づいた様々な角度からの検討要素が盛り込まれたワークシートを記述していく中で、ビジネスの欠点が発見され、それを改善する検討がなされるツールです。簡単に言えば、検討する要素が抜けることによるビジネス企画の未熟さをカバーし、ビジネスの論理構造の精度とビジネス成功の確率を向上させる機能を持つツールと言えます。また、ビジネスによっては全く経験のない分野を検討しなければならない場合が生じますが、その場合には、我々のような経験豊富なコンサルタントや対象業務のノウハウをもつ人材を、必要に応じて外部から調達することで補完することにより解決できます。

2.お客様ビジネス戦略企画支援ツールの概要

ここでは、このツールがどのような特徴を持つものかを紹介します。ツールは大きく2種類のワークツールからなります。一つは「ビジネス仮説チェックリスト & 評価シート」、二つ目は「ビジネス仮説記述シート」と呼んでいます。

ビジネス仮説チェックリスト & 評価シート

「ビジネス仮説チェックリスト & 評価シート」はブレーンストーミングやお客様が思いつかれたラフなビジネスアイデアを大まかな視点で評価し、検討する価値のないものを早い段階で捨てるためのツールとして使うものです。別の使い方としてはアイデアを個々人が考え出す時にビジネスとして通用するかどうかを素早く切り捨てながら考えるために使うものです。シートの主な項目は以下の通り。

図1 ビジネス仮説チェックリスト&評価シート

図1 ビジネス仮説チェックリスト&評価シート

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  • そもそも可能なことなのか?
  • そんなもの売れるのか?
  • ビジネスが小さすぎないか
  • それで儲かるのか
  • すぐに真似されないか

これら上記の大項目をさらに具体的なチェック項目にブレイクダウンし、記載しているものがワークシートとなります。
(図1参照)

 

ビジネス仮説記述シート

「ビジネス仮説記述シート」は、前述した「ビジネス仮説チェックリスト &評価シート」の大まかなチェックで切り捨てられずに残った、検討に値しそうなビジネスについて、個々のビジネス成功可能性を検討していくシートです。つまり個々のビジネスを企画する上で必須となるビジネスの仮説(≒アイデア)を核に論理展開し、ビジネスとして成り立つ論理構造を整理するツールとして使うものです。 このツールでは、ビジネス企画を以下の6つの要素に分けて記述してくようにしています。

  1. 商品・サービス(図2 参照)
  2. ターゲット・セグメンテーション
  3. ビジネス・モデル(図3 参照)
  4. マーケット・アプローチ(図4 参照)
  5. マネジメント
  6. テクノロジー
図2(1)商品・サービス

図2 (1)商品・サービス

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図4 (4)マーケット・アプローチ

図4 (4)マーケット・アプローチ

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図3(3)ビジネス・モデル

図3 (3)ビジネス・モデル

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これらの領域要素について過不足なく検討する構造にしています。

このツールの大きな特徴としては

  1. ここで描かれる登場人物(売り手、買い手、仲介者など)の一つ一つのアクションの動機(モチベーション)の詳しい内容と、それに費やす手間やコストを比べ、現実的に稼働するかどうかを詳しくチェックする構造になっています。
  2. また、ターゲットに関しても、生き生きとした詳細なモデルターゲットを描き上げ、具体的な議論ができるようになっています。

 

これらを含めて、ワークシート記述が一通り完成すれば、そこには基本的なビジネス仮説構造が構築されるようになっています。

3.ツール活用の留意点

このツールは、検討に値すると思われたビジネスについて論理的にその成功可能性を検証していくものです。もちろん、この検証の中で、成功する確率が低いものは論理的に落とされることになります。しかし、この論理の中身が非常に有望であるとしても、それはあくまで机上での成功可能性であり、どのように具体的に展開するのかによって、成功するか否かは大きな影響を受けます。たとえば、どのような人材をどれだけ配置するのか、どのような広告をどのくらいの規模と頻度とどのようなコピー文面で打つのかといった実施面での影響によりその成否は大きく異なるということを忘れてはなりません。また、全く推定していなかった社会現象の発生や競合の意外な行動など、推定できなかった部分についてはそれを全て埋めてくれるツールではないことも認識しておく必要があります。そこを補完する経験豊富でビジネスセンスのあるコンサルタントやノウハウをもつ人材を調達しておくことが大きなリスクヘッジになります。


藤井 哲志(ふじい さとし)

流通コンサルティング事業部所属
事業拡大、新規事業、新製品・新サービスに関する企画立案、戦略策定、展開支援など業種・業態にとらわれない幅広いコンサルティング活動を実践
富士通コンサルタント認定資格:プリンシパルコンサルタント(経営)