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Japan

e-Japan戦略を総括する - 電子自治体の今後へ向けた提言

2005年12月26日(月曜日)

はじめに

2000年11月、政府のIT戦略会議・IT戦略本部合同会議は「5年以内に世界最先端のIT国家となる」という目標を掲げてIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)を制定し、翌年1月22日にはIT基本法に基づくe-Japan戦略を発表した。すなわち、ITを国家戦略として採択するという重要な決定が行われ、この数年最先端のIT国家となるべく国全体での取組みが推進されてきたのである。自治体の電子化を推進する電子自治体もその一環であることは言うまでもない。

さて、この戦略の目標年である2005年も終盤へと差し掛かっている。この5年間、e-Japan戦略は何をもたらし、電子自治体は社会にどのように貢献してきたのだろうか。電子自治体を中心にe-Japan戦略の5年間を総括し、電子自治体の今後を考えてみたい。

1.e-Japan戦略の目的は達せられたか

2001年1月に発表されたe-Japan戦略においては、超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、電子商取引ルールと新たな環境整備、電子政府の実現、人材育成の強化という4つの重点政策分野が取り上げられた。電子自治体はこの「電子政府の実現」の一環として推進されることになったのである。

重点計画における施策として、行政情報のインターネット提供、申請・届出等のオンライン化、入札の電子化、内部事務の電子化などが掲げられ、2005年の姿として「原則として24時間、自宅やオフィスからインターネットを利用して実質的に全ての行政情報の閲覧、申請・届出等手続、手数料納付・政府調達手続が可能」となる社会を目指したのである(行政の情報化の目標としては2003年度)。そして、e-Japan戦略による2003年度を目標とした基盤整備の目処が立ち、基盤整備からITの利活用を目指したe-Japan戦略?(2003年7月)、戦略?加速化パッケージ(2004年2月)、IT政策パッケージ2005(2005年2月)と矢継ぎ早に利活用の施策が打ち出されていった。

詳細はこちらから⇒e-Japan.pdf [217 KB]

(注)本稿は、『月刊e・Gov(イーガバ)  電子自治体情報誌(2005年11月号)』に寄稿したものを再掲したものです。


榎並 利博(えなみ としひろ)
公共コンサルティング事業部 事業部長代理 プリンシパルコンサルタント
1981年富士通株式会社に入社、全国自治体の住民票システムや印鑑登録証明システムの構築に従事する。96年から株式会社富士通総研に出向し、電子政府・電子自治体及びニュー・パブリック・マネジメントに関するコンサルティングやリサーチ活動を数多く手がける。また、自治体情報化基本問題検討会メンバー、自治体効率化委員会などを歴任。主な著書『電子自治体 - 実践の手引』、『自治体のIT革命』など多数。