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サプライチェーン・セキュリティ

シニアマネジングコンサルタント 船越 亘

2009年8月21日(金曜日)

サプライチェーンがグローバル化する中で、その中を流れる商品や部品等のモノに対して、荷抜き(抜き取り)、すり替え、荷差し(紛れ込ませ)等を防止するためのセキュリティ確保が求められています。この契機となったのが、2001年9月11日の米国同時多発テロであり、米国政府は核爆弾等の大量破壊兵器を国内に持ち込ませないために、輸入貨物に対して種々のセキュリティ規制を実施しており、今後も新たな規制強化を図ろうとしています。

これらの規制は、サプライチェーンに対して、リードタイム増やコスト増等の経済的影響を与えることになります。例えば、2002年12月に発効した米国の「24時間前申告ルール(*1)」によって、日本から米国への輸出リードタイムが2日余分に要するようになったと言われています。また、2010年1月から本格実施が予定されている米国の「10+2(テン・プラス・ツー)ルール(*2)」に対応するために、関連企業は情報システムの大幅改造が必要になります。

こうしたセキュリティ強化と並行して、物流の円滑化を図るための制度が米国だけでなくEUや日本等で整備が進められてきました。代表的なものが、国際的な枠組みに基づくAEO(Authorized Economic Operator:認定事業者)制度です。AEO制度は、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者を政府(税関)が認定し、通関手続きの簡易化・迅速化の便益を供与するものです。日本のAEO制度は、2006年より順次整備され、現在、サプライチェーンに関与する全ての事業者(輸出者、輸入者、倉庫事業者、通関事業者、運送事業者等)が対象になっています。日本のAEO認定取得では、税関への事前相談(認定に必要な書類等の詳細確認)から始めて、法令遵守規則作成、業務手順書作成等、それらの税関審査等を経て、認定までに通常半年から2年程度を要します。

日米欧でAEO制度が整備されたことで、国内のグローバル企業、特に輸出企業はAEO認定取得が不可欠になります。AEO認定者であれば通関検査無しで輸出できますが、未認定者の貨物はある割合で検査が行われ、検査時間が必ずしも一定でないため、輸出に関わるリードタイムを多めに考慮せざるを得ません。また、欧米企業の中には、AEOを取引相手の条件とするケースも増えており、未取得ではビジネスを逸しかねません。

サプライチェーン・セキュリティは、そもそもテロ対策という国家安全保障問題が起点になっていますが、製品・サービスの安心・安全という消費者満足の観点からも重要な役割を果たします。例えば、米スターバックス社はサプライチェーン・セキュリティの国際規格ISO28000をベースにして、「農場からカップまで」をITと企業が認定した有資格者等によって監視・トレースすることで、安心・安全を徹底しています。また、米ウォルマート社は中国のサプライヤーに対してセキュリティ監査を要求することで、商品の安全性を確保しようとしています。さらに、中国の毒入り餃子問題については、物流ではなく生産に問題があったとされており、その原因の一端として工場作業者の出入りや持ち物の検査が適切に行われていなかったことが挙げられますが、そうした問題を防止するためにサプライチェーン・セキュリティに取り組むべきであったと言えましょう。

サプライチェーン・セキュリティは、グローバル企業にとってコンプライアンス上必要なものですが、さらに安心・安全を訴求するビジネスにおいては、セキュリティをビジネスプロセスに組み込むことが不可欠になってきます。

富士通総研では、サプライチェーン・セキュリティ構築のために必要となるビジネスプロセスやIT等の研究開発及びコンサルティングに取り組んでいます。

注釈

*1 24時間前申告ルール:
船社等に対し、米国向け海上貨物について、船積24時間前までに積荷目録情報の提出義務を課すもの。航空貨物については、到着4時間前までの提出義務が課されている。

*2 10+2ルール:
米国内への輸入貨物について、12種類の情報の提出義務を輸入者に課すもの。

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