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福祉雇用の拡大と地方分権の推進

経済研究所 シニアフェロー 南波 駿太郎

2009年6月29日(月曜日)

2009年4月、15.4兆円から成る「経済危機対策」を骨子とした補正予算案が国会で可決されましたが、対策の大きな柱の1つに、雇用対策(1.9兆円)、医療・介護・子育て・教育支援対策(2兆円)が挙げられます。従来の公共事業に代わり、こうした福祉関連分野の対策が主要な対策として位置づけられるのには、どのような背景があるのでしょうか。

従来わが国の雇用対策は、主に企業内労働市場での対応が中心でしたが、今回のような「世界同時不況」が発生すると、グローバル競争に晒されている製造業は、企業内部で対応し切れず、大量の解雇に踏み切らざるを得なくなります。一方、わが国は、既に他に例を見ない高齢化社会に突入しており、筆者の推計によると、現在の社会保障給付の対GNP比率(2005年19.1%)は、15~25年後には現在の欧州諸国を上回る可能性があります。高齢化社会における福祉関連雇用の拡大は既に喫緊の課題となっていますが、ILO(*)によると、わが国の福祉関連分野の就業者の全就業者に対する比率(2007年14.6%)は、欧州諸国を大きく下回っています。今回の「経済危機対策」では、こうした福祉関連雇用のニーズを離職者の雇用の受け皿として活用し、雇用のミスマッチの解消を狙っていると言えます。

しかし、こうした企業内雇用から社会的雇用への転換に重要なのは、地方分権の推進による市町村等の基礎的自治体の機能強化です。現在、地方分権改革委員会では、地域福祉の分野における国と地方の役割分担を明確化し、基礎的自治体への権限委譲を推進するよう勧告しています。福祉雇用の拡大は、一時的な「経済危機対策」で終わらせずに、地方分権改革を伴った高齢化社会への雇用構造の改革として位置づけられる必要があります。

注釈

* ILO : International Labour Organization(国際労働機関)

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