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受託ソフトウェア開発における「工事進行基準」について

シニアコンサルタント 小川 敬造

2009年1月19日(月曜日)

2009年4月1日以降の事業年度から、土木、建築、造船や一定の機械装置の製造だけでなく、受託ソフトウェアの開発についても、「工事進行基準」(以降、進行基準)の適用が開始されます。

進行基準は、ソフトウェア請負業務の収益計上に用いる会計基準であり、ソフトウェア開発の進捗に応じて売上を計上する方法です。進行基準では、ソフトウェア開発の進捗に応じて売上を計上するため、開発状況の実態が把握し易く、また見積もり精度の向上や原価管理の適正化等、経営管理面においても実態を把握し易いといった利点があります。

従来からのソフトウェア請負業務の収益計上方法としては「工事完成基準」(以降、完成基準)があります。進行基準と異なり、ソフトウェア開発が完成し、お客様と取り決めた成果物の引き渡しが完了した時点で売上を計上する方法です。完成基準では、一旦、お客様と契約が締結され、ソフトウェア開発が進むと、検収時まで損益状況を把握することができません。仮に、開発途中で損失が発生したとしても、損益状況を正確に把握することができない為、検収時になって不採算状況が発覚する等、経営管理面でも問題点が指摘されていました。

また、国境を越えた資産の移動、企業の吸収・合併、海外工場の新設等、日本企業のグローバル化が進む中、日本会計基準においても、進行基準を前提とした国際会計基準の適用が迫られています。こういった背景から、2009年度の事業年度より進行基準の適用が開始されます。

進行基準を適用するには、お客様の要求するソフトウェアを完成し、稼動させる能力が十分にあることが前提条件となります。その上で、受託ソフトウェアの収益認識の根拠となる以下の内容について、信頼性をもって見積もることができるということが、進行基準適用の条件となっています。

  1. 収益総額
    当事者間で、請負の対価やソフトウェア開発範囲、開発ソフトウェア要件、開発期間、責任範囲に関わる契約が確実に締結されていること
  2. 開発原価総額
    ソフトウェア開発の見積もり算出根拠が適切であり、見積もりと実績を対比して差異が生じた際は、必要に応じて原価総額の見直しが適切な時期に適正に行われること
  3. 開発進捗度
    決算日においてソフトウェア開発がどの程度進捗しているのか、またどの程度原価を費やしたのかを測定できること

情報サービス産業にとって進行基準を適用しているということは、お客様や取引先、あるいは投資家に対し、「きちんとプロジェクト管理を実施しています」と公表していることになります。逆に、進行基準を適用しないということは、自ら適用条件を満たすことができないと表明することになりかねません。

進行基準を適用するためには、制度や規定をより厳格に実施する必要があり、既存制度や規定、更には業務プロセスを見直す必要が生じます。また、運用に当たっては、事務処理の増加やマニュアルの整備、場合によってはシステム改善の必要も生じます。経理部門だけでなく、営業やSEの現場が目的を理解し、業務改革がもたらす効果を認識して取り組まなければ、容易には定着することができません。

富士通では2005年度より、金額および契約形態(委任もしくは請負)に関わらず全プロジェクトを対象に進行基準適用を開始し、現在運用に至っています。富士通総研では、富士通社内実践により培った、進行基準適用に向けた経理実務、現場業務経験や、適用手順と適用論点に関するノウハウを体系化しています。現在、進行基準適用に向けて課題を抱えている方は、是非ご相談下さい。

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