シニアコンサルタント 小保方 幹夫
物流拠点の見直しは多くの企業にとって重要な経営課題となっています。しかし物流拠点の見直しを定量的に分析・評価し、実施する手法は確立されておらず、多くの企業で物流拠点の見直しが出来ずにいます。そこで、今回富士通総研で開発した『ロジスティクス構想立案コンサルティング』を適用し、成果をあげることが出来た大手食品メーカーでの事例を紹介します。
従来の物流拠点構想立案は、膨大な量の物量データの分析や評価が必要になり、どのような観点で見直して良いか分からない。また定量的な評価が難しく、物流業務の標準化や共同配送時の運用コスト評価に時間を要し、不正確でした。
(1)ロジスティクス構想立案コンサルティング手法適用により、短納期化を実現
コンサルティングプロセスを6ステップに分割し、得意先に対するサービスレベル設定から物流拠点機能、キャパシティ、運営方式、投資対効果など一連の作業を具体化しました。
〔STEP1〕:問題点・課題点の明確化
〔STEP2〕:原因分析
〔STEP3〕:解決策(案)の検討と優先順位付け
〔STEP4〕:施策の具体化(最善モデルの選定)
〔STEP5〕:実施計画
〔STEP6〕:構想の評価と次工程の課題
(2)シミュレーションによる定量効果算出
既存拠点の有効活用だけではなく、遊休地を含めた理想的な拠点立地や輸配送シミュレーション分析を行っています。
(拠点立地や輸配送シミュレーション、適正在庫シミュレーション等)
(3)物流KPI(*1)による物流コストの見える化の実施
地域・得意先・アイテム・他社との比較により物流コスト定量化し、改善ポイントと効果を素早く洗い出しました。
物流拠点構想立案コンサルティング手法を適用し、以下の効果が得られました。
(1)配送車両台数削減
積載率及び回転率の向上により車両台数20%削減
(2)物流拠点数半減
物流拠点の統廃合と業務標準化により15→7拠点に集約
(3)物流コストの可視化
コストの見える化により、過剰サービスの廃止及び新規商談の迅速対応
(4)要件定義
当構想書を再編集することにより、RFP(*2)が容易に作成可能
世の中では卸売業や小売業の寡占化はさらに進み、年商数千億円以上の企業規模がないと淘汰されてきています。
特に地方圏の卸売業やメーカー販社は年商1000億円以下の企業が多く、生き残りをかけたロジスティクス構想立案のメリットは大きいと言えます。
*1 KPI : Key Performance Indicator
重要業績達成指標
*2 RFP : Request For Proposal
情報システムを導入するに当たって、ユーザーが納入を希望するベンダに提供する、導入システムの概要や調達条件を記述した文書。
企業トップの考えと現場運用・システムを熟知したコンサルタントの視点で、経営戦略に基づいたロジスティクス戦略を立案し、お客様の厳しい企業環境の中で競争力強化が図れるロジスティクス改革を実現いたします。