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【連載】内閣官房「ITによる改革の達成度に関する調査」の概要

第1回 調査実施の経緯と目的

公共コンサルティング事業部長 河合正人

2008年5月30日(金曜日)

この記事を読まれている方の中にも、今年、確定申告をされた方がいらっしゃると思います。その時、e-Tax(国税電子申告・納税システム)は使われたでしょうか。今年は、2月末現在で、すでに昨年の3倍の利用者があったとのことです。e-Taxは、電子行政の中で、成功例の一つだと言われています。

2006年1月にIT戦略本部で策定されたIT新改革戦略は、2010年までに「世界一便利で効率的な電子行政」を実現することを目指したものです。この目標達成に向けて、IT戦略本部内に設置された、IT新改革戦略評価専門調査会(会長:渡辺トヨタ自動車株式会社取締役社長、以下、調査会)が進捗状況の評価活動を行っています。富士通総研では、2007年度、内閣官房情報通信技術(IT)担当室より「ITによる改革の達成度に関する調査」(以下、本調査)を受託しました。これは、IT新改革戦略の進捗状況を調査し、その結果を調査会に報告することを目的としたものです。

本調査は、調査会の重点分野である「医療」「電子政府」、準重点分野である「教育・人材」「IT経営・テレワーク」、および、今後調査会での評価が想定される「電子私書箱」の5分野を対象に行っています。重点分野及び準重点分野は、国民や利用者の視点から課題や要因を明らかにするために、アンケート調査を中心に調査を実施しました(e-Taxも調査対象でした)。特に今回の調査では、国民、利用者の「実感指標(*)」を明らかにしたところに特徴があります。また、「電子私書箱」に関しては、海外の関連事例の調査により、実現に向けた課題や期待効果を検討しています。

本調査は対象範囲が広いことから、富士通グループ全体で官民の垣根を超えたコンサルノウハウを集結させるために組織横断的なプロジェクトとしました。アンケート調査は4分野で合計39種類、配布約76,000通、回収約18,500通、回収率約24%という大規模なものとなりました。

各分野で大変興味深い結果が得られており、調査会の報告にも使われています。e-Taxの例で言えば、実感指標は高いものの、阻害要因として電子証明書の取得の手間や窓口の方が相談できて便利などの結果が明らかになっています。今後の電子行政の推進に向けた重要なポイントであると思います。

本調査を実施したことにより、調査会やその配下の委員会(電子政府評価委員会、医療評価委員会)等へ参加する機会が得られ、国の政策動向を把握することもできました。今後のコンサルティング活動に様々に活用できると考えています。各分野の調査結果は、次回以降、順次報告していきたいと思います。

・第2回 電子政府分野の調査

・第3回 医療分野の調査

・第4回 テレワーク分野の調査の状況

・第5回 教育・人材分野の状況

・第6回 電子私書箱

注釈

(*) 実感指標 : 実際に電子申請を使った人に対し、使いやすさ、機能、安全性等いくつかの項目で、使う前の期待度、使った後の満足度を調査し、その差を求めたもの。差が大きい項目に着目して改善すると、効果が大きいとされる。

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