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保守サービス起点での企業価値向上への取組み

シニアコンサルタント 阿部功一

2007年11月20日(火曜日)

製品納入後の保守サービス品質を差別化の要因と捉え、その強化のために情報システムをテコにした業務の刷新に取り組む企業が増えています。 しかし我々富士通総研は保守サービス改革の数々の経験から、サービス強化のためには単なるシステム導入だけでなく、「ミッション/戦略」「業務/組織」「人材」「評価/モニタリング」という4つの視点からの包括的な課題解決が必要であると考えています。

ご紹介するITサービス企業A社は、システムの受託開発および納入後の運用・保守を行っており、近年は、保守サービスを起点としたCS(*1)向上を重要な経営課題に挙げています。一方、保守サービス部門では、多様で曖昧なミッション、複雑で属人的な業務、人材流出やスキルの慢性的伸び悩みといった問題を抱えていました。我々は、保守サービス改革のノウハウを活かし、前述した4つの視点を踏まえた業務改革支援を行いました。

保守サービス改革の4つの視点

【図1】保守サービス改革の4つの視点

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1.ミッション/戦略立案

A社では保守サービス部門のミッションを「QA・障害対応品質による直接的CS向上」と「ユーザーの声を元にしたシステム企画提案による間接的CS向上」の二つに集約・整理しました。

次に、ユーザー企業のCS評価を元に、評価の高いユーザーと低いユーザーで生じたギャップから問題点を見出し、その改善を重要成功要因として定義したBSC(*2)を策定しました。それにより、目標達成のための戦略が明確になり、課題解決の力点と改善シナリオに関する認識の共通化を図ることができました。

2.業務/組織設計

CS評価から明らかになった問題の原因を、業務分析・過去インシデント分析・同業他社のベンチマーク等から抽出・特定し、改善のためのあるべき業務/組織を設計しました。

設計では特に作業時間データに基づいた各員の役割再定義と分担設計、人員増減計画を重視しました。それにより、QA・障害対応、ユーザーの声を元にしたシステム企画立案、作業ノウハウ蓄積・共有といった多様な業務を限られた人的リソースでバランス良く遂行できる業務/組織のあり方が明確になりました。

3.人材に関わる制度立案

担当者およびマネージャーの育成と動機付けのために、各員の職務範囲と必要スキル、キャリアパスの定義を始めとした各種制度を整備しました。

これは各員にスキル向上の方向性を理解させ、達成時の喜びを与えるとともに、スキル向上のための相互協力を促すことに役立っています。

4.モニタリング/評価の仕組み設計

BSCで設定された戦略目標と、その下位指標にあたるオペレーショナルKPI(*3)を加えたモニタリング指標体系を定義し、その測定・評価の仕組みを設計しました。

これにより戦略達成度を測定し改革推進をドライブするとともに、従業員の成果を客観的に見える化することにより、モチベーション向上がもたらされるという効果が得られます。

当社では保守サービスの改革実績・ノウハウが多数ございます。保守サービス強化による差別化をご検討の経営者の方、自部門の業績・地位向上を目指す保守部門マネージャーの方、是非ご相談下さい。

注釈

(*1) CS : Customer Satisfaction

(*2) BSC : Balanced Score Card

(*3) KPI : Key Performance Indicator

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