GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. IdeaTank for Financial Services >
  4. 2018年 >
  5. 世界最大級のFintechピッチイベントFinovate Spring 2018参加報告

世界最大級のFintechピッチイベントFinovate Spring 2018参加報告

世界最大級のFintechピッチイベントFinovate Spring 2018参加報告


〜“フリクションレス“で金融サービス推進に取り組むFintech企業〜

2018年7月2日

ideatank2018-07-1_1280x800

弊社では2012年から継続して、毎年春に開催されるFinovate Springに参加しています。
FinovateはFintech向けのピッチイベント(短時間で自社サービスを紹介する催し)としては世界有数の規模を誇り、世界中から多くの参加者で賑わいます。2018年は世界6地域で開催が予定されており、シリコンバレーで開催されるFinovate Springでは、新たなFintechのトレンドにつながる多くのサービスが紹介されてきました。

本年のFinovate Springでは、2日間で54社がピッチを行い、日本の関係者では、株式会社NTTデータが投資のコミュニティプラットフォーム”Tready”を、また、シリコンバレー在住の日本人Aki Abekawa氏が立ち上げたGenialAI TechnologyがAIによる会計検査サービスを紹介しました。登壇企業の特徴としては、消費者のニーズに寄り添い、その利用にあたって障害となるわずらわしさ等を解消することを目的としたサービス、いわゆる「フリクションレス」をテーマとしたサービスが多く、本稿では、特に印象的であったFintech企業を紹介します。

ラテンアメリカからの移民向けネオバンク -MoneyAmigo -

米国では、銀行口座を持たないUnbankedと呼ばれる人々や、銀行口座を持っていても十分に利用できていないUnderbankedと呼ばれる人々が、直近の調査(注1)によると、それぞれ全世帯の7.0%、19.9%を占め、金融包摂が社会課題となっています。

MoneyAmigo(米国:ヘンダーソン)は、ラテンアメリカからの移民、特にミレニアル世代のUnderbankedの人々(注2)に向けて、決済用口座を提供するネオバンクです。ネオバンクは、既存銀行と提携し、フロント、特にサービスの利便性、使いやすさを訴求するFintech企業であり、MoneyAmigoはMetropolitan Commercial Bank(米国:ニューヨーク)に加え、決済サービスを提供するFirstView、Visa U.S.Aと提携してサービスを提供しています。

MoneyAmigoは、過去Finovate Spring 2015にも参加し、クレジットチェックなしで決済用口座を開設でき、手数料無料且つ使いやすいモバイル特化型のサービスを紹介していました。その際、銀行らしさを感じさせないデザインや、3タッチで基本サービスが利用できる等、その使いやすさに注目が集まりました。

今回のピッチでは、新たに有料サービス“MoneyAmigoX”を紹介しています。 “MoneyAmigoX”は、月額$9.99で利用でき、例えば、米国において2,700万人が基本的なヘルスケアサービスに接続できていない状況を踏まえ、24時間医師にオンラインで相談できる”ドクター機能”や医療サービスのディスカウントを提供しています。そのほかにも、$100を無利息で借りられる融資サービスや、Googleホームによる音声対応、さらに金属製カードの発行等、利便性・プレミアム感の高いサービスを利用することができます。

日本においても、増加する在留外国人やミレニアル世代向けサービスを検討する際に、MoneyAmigoのような誰でも簡単に使用できるシンプルな機能設計、消費者に利用したいと思わせるプレミアム感等、サービス提供の仕方は大いに参考になると考えます。

写真.1 MoneyAmigoのデモ画面 (筆者撮影写真より)
写真.1 MoneyAmigoのデモ画面 (筆者撮影写真より)

世界初の通信モジュール内蔵プラスチックカード開発 -Dynamics-

Dynamics(米国:ピッツバーグ)は、これまでFinovate Europe 2016, 2017に連続して参加しており、これまで特殊なチップを埋め込み、複数のカード機能をボタンで切り替えられるプラスチックカード等を発表してきました。また、2018年1月には、三井住友カード株式会社と提携し、世界初の「ロック機能付きクレジットカード」を近日発行予定であることを発表(注3)しています。

本年のFinovateでは、Best of Showが5社選ばれましたが、Dynamicsは、そのうちの1社であり、注目を集めています。

今回のピッチでは、独自開発の通信モジュールとディスプレイを持つカード「WALLET CARD」を紹介しました。カード上のディスプレイでは様々なメッセージが表示可能で、カード情報やセキュリティに関する警告が表示できます。例えば、サイバー攻撃等でカード情報を盗まれた場合、ディスプレイにその旨のメッセージが表示され、カード発行会社がカード番号等を変更、利用者は新しいカードが郵送されるのを待たずに利用を再開できます。また、店頭でカード利用が却下された場合、その理由を画面に表示させることも可能です。さらに、Happy Birthday等のパーソナルメッセージを表示することもできます。なお、太陽電池を内蔵しているため半永久的に利用可能です。

日本では、キャッシュレス決済比率を18.4%(2015年)から、2025年までに40%を実現し、将来的には、世界最高水準の80%を目指すとの方針(注4)が示されています。これを実現するため、複数のカード機能を1枚のカードに集約し、カード上で多様なサービスを実現するDynamicsのサービスは、消費者が複数のカードを持つ煩わしさを解消し、かつ安心してカードを利用できる仕組みを提供する等、キャッシュレス化の促進に一役買うものと考えます。

写真.2 Dynamicsのデモ画面 (筆者撮影写真より)
写真.2 Dynamicsのデモ画面 (筆者撮影写真より)

行動データに基づくバイオメトリクス認証 -NuData Security-

本年のFinovateでは、認証/ KYC分野において、4社がソリューションを紹介しています。共通した特徴として、認証にあたって特別な動作を必要としないフリクションレスを掲げており、NuData Security(カナダ:バンクーバー)もそのうちの1社です。

NuData Securityは、利用者の行動データに基づくバイオメトリクス認証“NuDevice ID”を紹介しました。同サービスでは、同一アカウントで複数の人が利用した場合、行動データから認証した本人かどうかを検知できます。具体的には、個々人特有の行動(例えば、Web観覧時のくせ、キーストローク、アングル、タッチ画面を押す際の強さ 等)から本人認証を行い、同一の機器を複数人で利用しても、人物を特定することができます。NuData Securityは、2017年にMastercardに買収されており、今後、決済サービス上での技術活用が検討されています。

認証/ KYCについては、金融分野に限らず、デジタルアイデンティティをいかに証明するのかが最近のホットイシューとなっており、今後も注目すべき分野であると考えています。

写真.3 NuData Securityのデモ画面 (筆者撮影写真より)
写真.3 NuData Securityのデモ画面 (筆者撮影写真より)

おわりに

今回は、Finovate Spring 2018で印象的であったMoneyAmigo、Dynamics、NuData Security、3社のサービスを紹介しました。この3社の共通点は、既存の金融サービスが抱える使いづらさやわずらわしさを解消しており、こうした特徴は登壇企業全体にも当てはまります。最後に、3社も含めた登壇企業全体について、サービス面と技術面からの所感をまとめます。

サービス面としては、ミレニアル世代を意識し、より消費者に寄り添い、UXを高めたサービスが多数みられました。金融機関に対する決済・送金分野のソリューションが多い傾向にありましたが、斬新な製品・サービスというより、今回ご紹介したように顧客経験の改善を促すサービスが大部分を占めていました。

技術面では、過半数の企業が“Artificial Intelligence(AI)”を活用しており、ピッチの際、あえてAIと発言する企業は少なかった印象があります。認証/KYC等の分野では、上記で紹介したNuData Securityのように、バイオメトリクスや行動科学の技術活用が進みつつあり、利用者は何もしなくても行いたい行動ができる等、よりフリクションレスなサービスを実現するための技術開発が進むものと考えられます。

今後も弊社ではこうしたグローバルなFintech動向から、国内金融機関にとって示唆に富む事例を紹介していきたいと思います。

注釈

  • (注1):
    FDIC “National Survey of Unbanked and Underbanked Households” (2016).
  • (注2):
    MoneyAmigoによると、米国のミレニアル世代の40%以上がラテンアメリカからの移民やその子孫であり、そのうち48%がUnderbankedである。
  • (注3):
    三井住友カード株式会社、Dynamics Inc.、Dynamics株式会社「三井住友カードと米国Dynamics Inc.が提携し、世界初『ロック機能付きクレジットカード』を近日発行予定」
     (https://www.smbc-card.com/company/news/news0001339.jspOpen a new window )。
  • (注4):
    経済産業省「キャッシュレスビジョン」(2018)。

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。
富士通総研 Facebookページ Ideatank for Cross Industry Business: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/Open a new window

参考リンク

朝倉隆道

本記事の執筆者

コンサルティング本部 金融グループ
シニアコンサルタント

朝倉 隆道

 

2010年富士通総研入社。入社以来、新たな技術を実社会に適用するための社会的/制度的課題の解決に向けた受託調査研究やコンサルティングに従事。
近年では、データ利活用を促進するための諸外国の制度動向調査や国内の制度検討、海外金融機関における先進サービスに関する調査を実施。
2016年6月から2017年6月には、米国富士通研究所にてプラットフォーム・ビジネスの事業戦略や事業展開に伴う社会および制度上の課題に対する調査活動に従事。

お客様総合窓口

入力フォーム

当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。