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店舗の役割と今後の顧客経験向上に向けた示唆-個人向けアンケート調査より-

2016年9月23日(金曜日)

はじめに

昨今、Fintechに注目が集まる中、金融機関においてもインターネットやスマートフォン上でのサービス提供が一般化しつつあります。ネットやアプリでの金融サービスの利用が今後拡大していくにつれて、日本全国に広がる金融機関の店舗の重要性はどう変化していくのでしょうか? 金融機関の提供するサービスや顧客の行動が変化するのに伴い、店舗が提供する価値も変化していくことが考えられます。

本稿では、2015年に富士通総研で実施した金融に関する個人向けアンケート調査から現状の銀行店舗の利用状況を明らかにし、金融機関における今後の店舗のあり方について考えていきたいと思います。

調査概要(個人向け)

  • 実施期間:2015年9月
  • 調査方法:Webアンケート調査
  • 調査対象:日本国内在住の15歳以上
  • 有効回答:2,106件
  • 割付条件:日本の人口構成の縮図となるよう年齢、性別、居住地域を調整し回答を収集

金融機関選択における“リアルな”身近さの重要性

金融機関にとっての店舗の重要性を考えるにあたり、顧客が金融機関と最初に接点を持つこととなる家計口座の選択に注目したいと思います。

現在、家計口座として利用している金融機関を選択する際、顧客は交通の便や店舗・ATMの利用しやすさといった“リアルな身近さ”を重視しています【図1】。身近さを重視する理由としては、相談や手続きが必要になった際の駆け込み寺としての安心感や日常生活の動線上で目に入ることによる親近感があるのではないでしょうか。また、新規口座開設を行う若年層にとっては、金融機関のサービス自体の馴染みが薄く、Webやアプリで提供されているサービス内容や機能を正しく認知していない可能性も考えられます。

【図1】家計口座の金融機関選択理由
【図1】家計口座の金融機関選択理由

店客の実像(1)-店舗(窓口)は誰が利用しているのか-

各チャネルの利用経験、利用頻度を比較すると、店舗の窓口は7割以上の顧客が1年以内に1回以上利用経験があると回答しています【図2】。店舗(窓口)は、他チャネルと比較し、頻度が低いものの利用経験者が多いことが特徴となっています。

年齢別の傾向を見ると高齢者の利用頻度が高く、30代、40代を中心とする勤労世代の利用頻度が低い結果となっています【図3】。高齢者は、他の世代と比較して時間に余裕があると推測されることから、営業時間中に来店しやすいことが理由と考えられます。

一方、来店時間の確保が難しいと考えられる勤労世代では、年に1回から数回の利用が多く、日常利用上の接点は少ないと考えられます。勤労世代は、窓口で処理しなければならない(と認識している)用件が発生することで来店していると推測されます。

【図2】チャネルの利用頻度
【図2】チャネルの利用頻度

【図3】年齢別、窓口の利用頻度
【図3】年齢別、窓口の利用頻度

来店客の実像(2)-店舗(窓口)はどのような目的で利用されているのか-

窓口の利用目的を調査したところ、入出金や口座開設・解約の手続きの割合が高いという結果が出ました【図4】。顧客は、現金・現物を伴う処理や窓口でなければ受け付けていない(と認識している)手続きのために来店していると推測されます。

金融機関からすれば、現金・現物を伴う取引や他チャネルでも対応可能な処理・手続きを目的とした来店が店舗の事務負担となっていると考えられます。

【図4】窓口の利用目的
【図4】窓口の利用目的

【図5】利用頻度別、窓口の利用目的
【図5】利用頻度別、窓口の利用目的

顧客の窓口の利用頻度によって、その利用目的は異なる傾向を示しています【図5】。利用頻度の高い顧客は、情報収集を目的とする一方、利用頻度の低い顧客は、前述の口座開設・解約手続きや変更・喪失届けを目的として来店しています。

利用を想定する顧客像によって店舗での提供が期待される機能やサービスの内容は異なると考えられます。来店頻度が高く情報収集を目的としている顧客向けには、金融商品の内容説明や行員との対話に重きを置いた店舗施策が有効と考えられます。一方、来店頻度が低く、手続きを目的としている顧客に対しては、セルフチャネルへのシフトを前提としつつ、店舗では、クイックに処理手続きを済ませる利便性の高さが訴求ポイントとなる可能性があると考えられます。

金融機関の店舗展開においては、利用を想定する顧客の行動やニーズに基づいたサービスや価値の提供が求められると考えられます。

営業店における顧客経験のさらなる向上にむけて

スマートフォンの急速な普及を背景に、金融業界に限らず非対面チャネルの充実、機能向上が話題となっています。日本の金融機関においても、スマートフォンアプリ等を活用した手続きのセルフ化、利便性向上が進んでいます。しかし、利用者動向に着目すると、店舗は未だ多くの顧客が訪れる重要なチャネルです。

今後、地域金融機関等の店舗網を強みとする金融機関は、セルフサービス化や店舗の軽量化を進めつつ、対面チャネルで提供するサービス内容で差別化を図ることが競争力の源泉となるのではないでしょうか。店舗ならではの顧客経験を提供し、他業態や競合の金融機関との差別化を図る例として、イギリスのVirgin Moneyでは、個人顧客向けに上質なサービスを提供するラウンジ型店舗が試行されています。今後は、店舗網を強みとする日本の金融機関においても、顧客の行動様式や経験向上に着目した店舗展開が求められると考えます。

富士通総研では、次世代の金融機関のサービス、それを支えるICTソリューション企画のため、利用者動向の調査を定期的に実施しております。今後とも同調査結果を定期的に公表してまいります。

参考リンク

Virgin Money プロモーション動画Open a new window【youtube】


石山 大晃

石山 大晃(いしやま ひろあき)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 アシスタントコンサルタント
2013年富士通総研入社。入社以来、地域経済と金融をテーマに金融商品・サービスの顧客動向調査に基づくチャネル、セールス、IT戦略に関するコンサルティングに従事。


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