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スマートフォンを活用したチャネル施策の示唆-個人利用者向けアンケート調査より-

2016年6月6日(月曜日)

昨今のFintechの潮流や金融機関のオムニチャネル構想に象徴されるように、モバイル端末およびインターネット環境の普及は、金融機関のリテールビジネスに大きな影響を与えています。では、金融機関のインターネットチャネルは、どのような人が、どのような目的で、どのデバイスを用いて利用しているのでしょうか?

本稿では、2015年に富士通総研で実施したWebアンケート調査の結果に基づき、消費者のスマートフォン利用動向について探って行きたいと思います。

調査概要

  • 実施期間:2015年9月
  • 調査方法:Webアンケート調査
  • 調査対象:日本国内在住の15歳以上
  • 有効回答:2,106件
  • 割付条件:日本の人口構成の縮図となるよう年齢、性別、居住地域を調整し回答を収集

金融機関利用者をめぐるインターネット環境

総務省が発表した調査(『平成27年版 情報通信白書』参照)によると、パソコンの世帯ベースの普及率はここ数年、約8割で安定して推移しています。一方、スマートフォンは2010年以降、パソコンに迫る勢いで急速に普及し、現在の世帯ベースの普及率は6割を超えています。

富士通総研が実施した調査においても、インターネットが利用者の購買行動に影響を与えていると推測される結果が出ています。【図1】に示す商品購入時に参考とする意見や評判についての調査では、年齢が若い人ほどインターネット上の評判を重視して商品選択を行い、年齢の高い人ほどマスメディアのような伝統的な媒体を通じて意見や評判の収集を行う傾向があることが明らかになりました。

図1
【図1】商品購入にあたり参考とする意見や評判(年齢別)

購買行動においてインターネットでの情報収集が普及する今日、個人利用者は金融機関のインターネットサービスをどれほど利用しているのでしょうか?

富士通総研の調査によると、インターネットバンキングの利用経験者(過去1年以内)は4割を超えています。インターネットバンキングは、他チャネルと比較すると高頻度で利用するユーザーの割合が高く、利用者との関係を強化するために今後注目すべきチャネルであると考えられます。

(注)チャネルや商品・サービスに関する包括的な調査結果については昨年度のアンケート結果(個人利用者向けアンケート結果に見る若者世代の金融商品・サービス利用状況)をご参照ください。

勤労世代はパソコン、若年層ほどスマートフォン利用者が多い

現在、どのような人がインターネットバンキングを利用しているのでしょうか? インターネットバンキング利用者の年齢構成はデバイスによって異なります。【図2】パソコンの利用者は、営業時間中の来店が難しい勤労世代(30代から50代)に集中しています。一方、スマートフォンは、若い世代ほど利用経験者の割合が高く、特に10代、20代の若年層ではパソコンとスマートフォンの利用者の割合が拮抗しています。今後、現在の若年層が資産の増加や金融商品ニーズの高まりによって金融機関のメインターゲットへと変化した際には、スマートフォンを利用した金融機関へのアクセスはさらに増加すると推測されます。

図2
【図2】インターネットバンキングの利用頻度(利用デバイス×年齢)

インターネットバンキングは他チャネルと比較しても利用増加が期待できる

他チャネルと比較し、今後、インターネットバンキングの利用増加は期待できるのでしょうか? 【図3】では、横軸に過去1年以内の利用経験がある人の割合、縦軸に今後利用を増やしたいと考える人の割合を示しています。左上の現在利用経験は少ないが今後利用が増加すると考えているチャネルとしての位置に、パソコンを用いたインターネットバンキングやコンビニATMがプロットされています。利用者は、現状普及が進んでいる生活に身近なセルフチャネルについての利用意向が強く、インターネットバンキングは他チャネルと比較しても利用増加が期待できると考えられます。スマートフォンについては、現状の端末普及状況や提供されているサービス内容に基づいて回答されているため、パソコンと比較し、やや低い値となっていますが、個人ベースでの端末の普及や金融機関が提供するサービスの充実により、利用意向の増加が期待されます。

図3
【図3】各チャネルの現在の利用有無と今後の利用増加の意向

多くの利用者はスマートフォンとパソコンを併用

次にインターネットバンキングにおける利用目的についての調査【図4】では、パソコン、スマートフォンともに振込や送金といった実取引が最も多く、次いで残高照会等の取引内容の照会が多いという結果となっています。

また、デバイスの利用経験の分析【図5】では、スマートフォンのみの利用者はパソコンのみの利用者の約10分の1となっており、スマートフォン利用者の大半はパソコンのインターネットバンキングも併せて利用していることが明らかになりました。

スマートフォンとパソコンは同じ目的で利用され、利用者も同一である割合が高いことから、現状、スマートフォンはパソコンの補助的なデバイスとして利用されていると推測されます。また、国内金融機関のスマートフォンにおけるサービス提供状況を考慮すると、スマートフォンはパソコンと比較し、提供される機能が不十分であると利用者に認識されており、スマートフォンの利用が少ない可能性も考えられます。

図4
【図4】インターネットバンキングの利用目的(利用デバイス別)

図5
【図5】インターネットバンキングのデバイス別利用経験

今後のスマートフォンを活用したえチャネル施策の高度化に向けて

以上の調査結果から、利用者はスマートフォンでのサービス提供について、パソコンと違和感なく利用できる機能やデザインの提供を求めている可能性が考えられます。さらに、スマートフォンの普及がパソコンを上回り、若年層が金融商品・サービスの利用を本格的に開始することが予想される将来には、スマートフォンをメインで利用することを想定した機能の充実が求められると推測されます。今後、金融機関が若年層を中心とした利用者から選択されるためには利用者の生活スタイルの変化を意識した取り組みが不可欠です。

海外では、今後のリテールビジネスの検討にあたりミレニアル世代(1980年から2000年生まれ)やZ世代(2000年以降生まれ)といったデジタルネイティブの動向に注目が集まっています。金融業界においては、Fintechの潮流も相まって、モバイル端末を活用した新たな金融サービスが続々と提供されています。若年層の構成比等、わが国と欧米では状況が異なるものの、今後の利用者動向を見据えた新たなサービスの企画・開発が金融機関の課題であることは共通しているのではないでしょうか。

富士通総研では、こうした利用者動向の変化を捉えるため、個人・法人の金融商品・サービス利用者向けアンケート調査を定期的に実施しております。今後とも同調査結果を公表してまいりますので、ご参照いただければ幸いです。


石山 大晃

石山 大晃(いしやま ひろあき)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部 アシスタントコンサルタント
2013年富士通総研入社。入社以来、地域経済と金融をテーマに金融商品・サービスの顧客動向調査に基づくチャネル、セールス、IT戦略に関するコンサルティングに従事。


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