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FintechピッチイベントFinovate Europe 2016参加報告(その2) ~注目を集める資産運用分野とDisruptionの可能性~

2016年4月18日(月曜日)

前回に引き続き、Finovate Europe 2016の参加報告を行わせていただきます。前回は、AIやその関連技術を活用したサービスに焦点を当ててご紹介しました。これらAIやその関連技術は、個人向けでは資産運用分野において積極的に活用されています。例えば、日本でも本格的にサービス提供がなされているロボアドバイザーなどはその典型例でしょう。個人向けの資産運用分野は、現在最も注目を集めるFintechの領域であり、多くのスタートアップが参入し、急成長を遂げています。Finovate Europe 2016においても多くのサービスが発表されており、優秀発表を決めるBest of the Showでは、6社中3社が資産運用をテーマとしたサービスでした。今回は、このBest of the Showを獲得した資産運用サービス3社をご紹介したいと思います。

Amazonで商品を買う感覚で株式投資が行える -DriveWealth-

最初にご紹介するのは、主に証券会社と連携して個人投資家向けに外国株式の取引を容易に行えるサービスを提供するDriveWealthです。同社は、世界中の証券会社と提携しており、そのエンドユーザー数は約4億人を数え、米国発のサービスながら利用者の9割は米国外と、グローバルに展開しています。同社自身もオンライン証券会社としての認可を受けており、今回は、eコマース最大手のAmazonのように手軽に有名企業の株式を購入できる少額投資サービスを発表しました。

DriveWealthでは、気に入った株式を画面上のショッピングカートに入れていき、それぞれの購入額を指定して購入することができます。例えば、Google株10ドル、Apple株20ドル、Starbucks株5ドルといった少額投資が可能です。銘柄検索では、“絵文字”を活用して検索できるなどの工夫も行われています。Amazon株であれば、商品に似た絵文字を入力すると表示されるなど、メッセージングアプリを利用してコミュニケーションを行う若年層を重視したサービスとなっています。また、グローバルに株式投資が行える同社の強みを生かし、外国株式も同様に検索できます。中国市場であれば、AlibabaやBaiduをそのショッピングカートに追加でき、こちらも少額投資が行えます。Amazonのような親しみやすいUIに加え、少額投資を可能とすることで、これまで株式投資に親しみのなかった若年層を中心に利用拡大を目指しています。

写真1
写真.1 DriveWealthのサービス画面(筆者撮影写真より)

スマートフォンを活用したソーシャルトレーディング -Swipestox-

続いてご紹介するのは、ドイツのスタートアップSwipestoxが開発したソーシャルトレーディングプラットフォームです。ソーシャルトレーディングとは、SNSなどを活用して仲間内で投資手法を共有するものであり、仲間内に経験豊富な投資家がいる場合、その投資手法を皆で共有することで全体の運用成績が向上するといった効果が見込めます。Swipestoxでは、こうしたソーシャルトレーディングをスマートフォン上で簡単に行えるプラットフォームを提供します。

同社のプラットフォームでは、他の投資家の投資した銘柄がカード形式で画面上に表示され、その銘柄が気に入れば右に画面をスワイプ、気に入らなければ左に画面をスワイプすることで、同様の投資を行う、行わないの判断が行えます。投資を模倣された投資家には一定の手数料が支払われ、投資手法を共有することに対するインセンティブが生じるよう設計されています。この他にもランキング形式で運用成績の良い投資家を表示したり、自分と投資手法が似ている投資家を表示したりする機能もあり、こちらも株式投資に馴染みの薄い人をいかに参加させていくかという観点から設計されているのが特徴です。

写真2
写真.2 Swipestoxのサービス画面 (筆者撮影写真より)

自然言語処理を活用した投資支援ツール -Capitali.se-

最後にご紹介するのはイスラエルのスタートアップCapitali.seが開発した自然言語処理を活用した株式投資のサポートツールです。Capitali.seでは、投資に関するアイデアを解読し、アイデアに基づいた最適な投資情報を提供するサービスです。この時、投資家はプログラミング言語などの特殊言語を使う必要がなく、日常の話し言葉でアイデアを入力することができます。

例えば、ある投資家が大手コーヒーチェーンStarbucksの株式購入検討にあたり、コーヒー豆の先物市場価格を参考にしたいとします。この時、投資家は、「スターバックス株が60ドルを下回り、コーヒー豆先物市場が1%以上値下がりしたら、スターバックス株を500買う」と文章で入力します。するとCapitali.seでは、自動的にスターバックスの株価推移とコーヒー豆の先物市場価格推移を表示し、入力されたアイデアと同じ条件になった場合、スターバックス株を自動的に500購入します。投資家が日常言語で表したアイデアをコンピュータが解読し、そこに書かれた必要情報を自動で入手・参照し、アイデアに記載された条件達成時には、同一の株式を自動的に売買することまで行うものであり、ロボアドバイザーとアプローチは異なりますが、こちらもまさに“ロボット”を活用した投資支援ツールであると言えます。

Capitali.seでは過去に入力されたアイデアを独自に学習することで、投資家のアイデアを修正し、より良い投資判断が行えるように投資家をサポートする機能も備わっています。先ほどのスターバックス株の購入について、その株価が60ドルではなく50ドル以下、コーヒー豆の先物市場価格が1%ではなく0.8%値下がりした方がより効果的なことが過去の取引結果より判明している場合、入力されたアイデアを修正することを提案します。Capitali.seは、自然言語処理とコンピュータによる学習を組み合わせることで実用的な投資支援ツールとしての機能性を高めています。

写真3
写真.3 Capitali.seのサービス画面 (筆者撮影写真より)

資産運用分野でもDisruptionの機運が高まる?

今回ご紹介した個人投資家向けサービスは、どれもBest of the Showを獲得したことからも明らかなように、ユニークなサービスアイデアとスマートフォンを中心とした利用しやすいUI/UX画面を融合させたことが特徴です。資産運用分野では、今後いかに若年層を呼び込んでいくかが証券会社にとって共通の課題となっています。資産運用分野では、今回ご紹介したサービスばかりでなく、ロボアドバイザーに代表されるような新たなテクノロジーを活用して、こうした課題を解決し、その市場を拡大させようとするサービスが数多く提供され始めています。これまでリテール決済や融資の領域で起こってきたのと同様、資産運用分野においてもDisruption(破壊的イノベーション)が起ころうとしているのではないでしょうか。米国では決済のみならず融資においてもLending ClubやKabbageといった有力スタートアップがサービス提供を行うことで、その業界構造が大きく変化しました。いくつかの調査会社によれば、今後、銀行の収益が大きく圧迫されていくのではないかとの予測もなされています。資産運用分野においても今後、Disruptionにより生み出される業界の構造変化に着目していく必要があるのではないでしょうか。

(富士通研究所アメリカ 松原義明)

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