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FintechピッチイベントFinovate Europe 2016参加報告(その1) ~AI活用により更なる進化を遂げる個人向け金融サービス~

2016年3月31日(木曜日)

富士通総研では、Fintechに関する世界最大級のイベントであるFinovateに2012年より継続して参加しています。Finovateは、Fintechスタートアップを中心としたテクノロジー企業が自社サービスを紹介するイベントとして定着しており、毎年3回、地域を変えて開催されます。今回は、2016年2月にイギリスのロンドンにて開催されたFinovate Europe 2016について参加報告をさせていただきます。Finovate Europeは、お膝元であるイギリスのほか、アメリカ、ドイツ、フランス、スペイン、スイス、スウェーデン、ノルウェー、ルクセンブルク、ポーランド、ポルトガル、イスラエル等々、実に多くの国々から有力Fintechスタートアップが参加しているのが特徴となっています。

個人向け金融サービス分野におけるAIの本格的な活用

今回のFinovate Europeにおいて注目を集めたキーワードとしては、モバイル、APIそしてAI(人工知能)が挙げられます。特にAIに関する分野では、ロボアドバイザーと呼ばれる資産運用を効率化するサービスを提供するスタートアップが多数登壇していたほか、資産運用以外のその他の個人向け金融サービス分野にも適用し、金融機関と顧客との関係性を強化することを目的としたサービスが多数発表されています。このことは、金融分野においてもAI活用に関して、適用分野とその効果に対して本格的な検討が進んでいることを示しています。以下では、個人向け金融サービス分野においてAIやその関連技術を活用している特徴的なサービスをいくつかご紹介していきたいと思います。

行動分析による最適なユーザーインターフェースを提供する -Livian Technologies-

これまで、個人向け金融サービスにおいては、画一的なユーザーインターフェース(UI)によるサービス提供が一般的でした。顧客側でUIのカスタマイズができるような自由度を持たせた設計も行われつつありますが、顧客一人ひとりに合わせた最適なUIとするには未だ発展途上という段階です。ポルトガルのFintechスタートアップであるLivian Technologiesでは、Finzzyと呼ばれる顧客行動分析エンジンにより、顧客の日常での金融サービス利用状況を分析し、分析結果をもとに顧客一人ひとりに合った最適なUIを推測して提供するソリューションを発表しています。

同社ではFinzzyにより提供される同機能を“Contextual UI”と名付け、顧客の生活状況に合わせて最適なUIを提供し、そこに優待情報を組み合わせて提供することで顧客と金融機関の関係性をより強化することが可能になるとしています。例えば、モバイルバンキングサービスにおいて、利用しているクレジットカードに関する優待情報を検索することが多い顧客に対しては、モバイルバンキングのトップページに現時点で利用可能な優待サービスの情報を表示します。一方、自身の支出状況を細かく確認するために残高照会や取引履歴を多く参照する顧客に対しては、そのトップページに現在の残高情報や直近の取引履歴、今後5日間で予想される新たな支出項目といった情報を提供します。また、優待情報の表示に関しても優待情報をよく検索する顧客には、過去の金融サービスの利用履歴からおすすめの情報を1件だけ提案するのに対し、残高照会など金融の取引状況を頻繁に参照する顧客に対しては複数の優待情報を比較できるように表示するなど、顧客の行動特性に合わせてその表示方法を変えることができるのです。

写真1
写真.1 Livian Technologiesが提供するモバイルバンキングサービスのトップ画面(筆者撮影写真より)

顧客とのコミュニケーションを通じた最適な商品提案を行う -Meniga-

続いてご紹介するMenigaは、イギリス発のFintechスタートアップであり、同社が提供するPFM (Personal Financial Management)サービスは、多くの大手金融機関で採用され、その利用者数は全世界で3,500万人を数えます。Menigaでは、PFMサービスの提供で培った顧客の支出に関するデータの収集・分析ノウハウを活用することで、顧客とコンピュータがモバイルデバイス上で「対話」を行う中、最適なタイミングで商品提案を行うことができる新たなプラットフォームMeniga Dialogを発表しています。

Meniga Dialogは、メッセージングアプリに似たプラットフォームを採用しており、同プラットフォーム上では、顧客のお金の使い方にまつわるイベント(今後の入手金に関するデータ等)がメッセージ形式で表示されます。この時、これまでに蓄積された顧客のお金の使い方やその嗜好に関する情報を基に顧客の金融行動やその嗜好に対する予測を行い、これらのイベントに関するメッセージの合間に最適なタイミングでサービスオファーが表示されます。また、顧客と金融機関がコミュニケーションを図ることを意識したサービスとするため、データ分析の高度化による最適なサービス提案だけでなく、実際に提案された商品がうまく訴求するようにその導線も含めて総合的に設計されているのが特徴です。

写真2
写真.2 Meniga Dialogのサービス画面 (筆者撮影写真より)

顧客のライフプランから効果的な資産運用方法を提案する -Envestnet-

最後にご紹介するのは、フィナンシャルアドバイザー(FA)向けに資産運用ツールを提供するEnvestnetです。同社は昨年、アカウントアグリゲーションサービスを提供する有力FintechスタートアップYodleeを買収したことで大いに注目を集めました。資産運用ツールを提供する同社が他業種であるYodleeを買収し、今後どのようなビジネスを展開していくのか、多くの業界関係者が注目していたのですが、Finovate Europeでは、早速その相乗効果を活かした効果的な資産運用アドバイスツールが発表されています。

Envstnetが発表したAdvisorNowは、FA向けの資産運用サポートツールであり、FAが若年層など資産運用に対して親しみのない人々をターゲットとする際に活用することを想定したサービスとなっています。AdvisorNowでは、ロボアドバイザーサービスと顧客の日常的な金銭管理を融合させ、コンピュータが顧客のリスク特性や運用目標に合ったポートフォリオを作成し、FAが同ポートフォリオを基に顧客に対して提案を行うほか、ポートフォリオ作成にあたっては、Yodleeのアカウントアグリゲーション機能を活用し、顧客の日常の金銭管理といった情報を加味することで、他社のツールとは異なる、より踏み込んだ提案が可能です。資産運用の側面ばかりでなく、顧客の将来のためにどのようにお金を使っていくのかという側面でサービスを提供することで、FAとしては顧客に対して、より効果的な提案が行え、また、顧客としては資産運用に対する関心が高まっていくよう工夫されているのです。

写真3
写真.3 Envestnet AdvisorNowのサービス画面 (筆者撮影写真より)

おわりに

Finovate Europeでは、この他にもAIやその関連技術をキーワードとしたサービスが多数紹介されていました。本コラムでご紹介したサービスは、いずれも顧客とのコミュニケーションを深化させることを目的として技術を活用しています。顧客の金融に関数行動履歴を分析することで生み出された情報やサービスコンテンツを顧客にいかにわかりやすく伝えるのかといった側面が重視されています。Fintechにおいては、特に技術の側面にフォーカスしてサービスが紹介されることが多いのですが、Fintechサービスが顧客に訴求するにはどうあるべきかといった視点の重要性を改めて思い起こさせてくれます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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