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Fintech(フィンテック)イベント Finovate Spring 2015参加報告(その2)

~中小・個人事業のビジネスを側面からサポートする法人向け金融サービス~

2015年7月9日(木曜日)

先月の当コラムでご紹介したFinovateでは、法人向けサービスを提供するスタートアップ企業も多数登壇しています。昨今では法人向け金融サービスを提供するスタートアップ企業が多数登場してきており、例えば、オルタナティブ・レンディングと呼ばれる融資分野では、多くのスタートアップ企業が法人向けに運転資金の提供を行っています。スタートアップが手掛ける法人向け金融サービスの多くは、中小・個人事業主を対象としており、大企業では一般的なマーケティングツールや経費管理ツールといったサービスをより簡易な形で提供しています。中小・個人事業主向けマーケットについては、その企業数と比較して提供サービスがいまだ不十分であることから、多くのFintechスタートアップが今後の有望市場と判断し、積極的に参入を図っています。

ビジネスオーナーの経営戦略をサポートするサービス

初めにご紹介するSizeUpは、ビジネスオーナーの経営戦略上でのサポートを目指し、経営に役立つ情報を簡易ダッシュボード形式で提供しています。SizeUpでは、公的機関のオープンデータベースなどから、経営にまつわる情報を取得・加工して提供します。例えば、自社の出店地域における同業他社の平均的な売上げといった情報や他社における平均的な賃金水準など、どれも簡易な情報ではありますが、経営上の意思決定を行う上で役立つ情報です。公的機関のデータベースという誰でもアクセス可能な情報源をうまく活用することでビジネスオーナーの意思決定をサポートするサービスをうまく提供していると言えます。

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【図1】 SizeUpのサービス画面(筆者撮影写真より)

プリペイドカードを活用した経費管理サービス

この他、日常業務の負荷を低減させることを目的としたサービスを提供するスタートアップも多数登場しています。Bentoが提供する経費管理サービスでは、MasterCardと提携し、従業員向けに経費決済用のプリペイドカードを提供しています。このプリペイドカードは、決済額や決済可能な費目を予め設定することができ、同カードで従業員が経費決済を行うことで、その決済金額や費目などをクラウドベースの経費管理サービスで自動的に管理でき、経費管理業務の効率化を図ることができます。これにより、現金での決済時と比べ、その経費管理が詳細化・効率化できるほか、従業員による不正な経費処理といった問題を未然に防ぐことができます。

このほかにもKarmic LabsというスタートアップでもDASHというブランド名で同様のサービスを展開しており、こちらのサービスでは、Bento同様に従業員に決済用のカードを提供することで、その経費管理をクラウドベースで効率化するほか、従業員が所有するカード間で送金を行えるなど、その管理方法に柔軟性を持たせています。どちらのサービスもプリペイドカードという物理的な媒体を用いることで、その経費管理を効率化するとともに、予算管理についても同様に効率化されているのが特徴です。

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【図2】 Bentoのサービス画面(筆者撮影写真より)

従業員の給与管理に加えて福利厚生もサポートするサービス

給与管理については、その業務を効率化することに加えて、従業員の福利厚生の充実までを視野に入れたサービスが登場しています。DoubleNet Payでは金融機関と提携し、従業員一人ひとりに対して給与口座を設定して給与振込みを自動化し、公共料金支払いや家賃といった定型的な振込先を設定することで、これら振込みを代行します。こうした自動振込機能に加えて、従業員が貯蓄目標を設定すると自動的に給与の一部を積み立てるなど、従業員の資産形成をサポートする機能も付与されています。どの機能も日本の金融機関において一般的なものですが、重要となるのは、これら機能が単体ではなく、トータルのパッケージとして提供され、パートナーとなる金融機関と共同でサービス展開を行うことで、企業単位で従業員の財政状況を把握することが可能な点です。金融機関にとっては、これらのデータから職域営業へとつなげることが可能となるほか、企業の与信判断上の重要情報を得ることができます。

機械学習を活用した債権回収サービスの登場

債権回収は、企業にとって最も重要な業務であると言えます。もしも債権回収が滞った場合、その回収にあたっては多大なコストが発生してしまいます。このような状況は米国においても同様で、近年では債権回収会社の強引な手法が社会問題化するといった事態も生じています。TureAccordでは、債権回収業務において最新テクノロジーを適用し、こうした事態の解消を目指しています。TrueAccordでは、債権者がWeb上で自社債権に関する情報を入力すると、それら債権に関して独自の分析を行い、最適な債権回収プランを提示します。同時に商用データベースから取得した情報から債務者の行動特性を分析して、債務者に最適なアプローチでコンタクトを図ります。債務者には、個別に返済プランを提示して返済を促しますが、この時、債務者がその返済プランを拒否した場合、債務者により有利なオファーを立て続けに提示したり、コンタクト間隔を空けてみたりするなど、行動分析から導出された個別のアプローチ方法で債権回収を行います。TrueAccordでは、米国における通常の債権回収会社の回収率が9~2%のところ、平均して25%の回収率を誇っており、債権者/債務者双方が良好な関係性を維持しつつ円滑に債権回収が行えることを目指します。

多くの参入余地を残す法人向け金融サービス

今回ご紹介した法人向け金融サービスでは、どれも中小・個人事業主を対象とし、そのビジネスを側面から支援するものとなっています。法人向け金融サービスでは、個人向け金融サービスの延長上で立ち上げられたサービスも少なくなく、実はそのサービス提供に当たっての敷居が低いことも特徴です。日本においても法人の9割が中小・個人事業主を占める一方、ICTを活用した法人向け金融サービスはあまり提供されてこなかったのが実情です。現状、金融機関の中小・個人事業主向けのサービスでは、その資金調達をサポートするものが主となっていますが、ビジネスを側面からサポートするサービスを提供することで、取引先との関係性が強化されることとなり、ひいては資金調達の局面においても優良な取引先と良好な関係性を築くことにつながると考えます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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