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個人利用者向けアンケート結果に見る若者世代の金融商品・サービス利用状況

2015年4月24日(金曜日)

少子高齢化、人口減少によって金融機関の将来の顧客である若者世代(10代、20代)が減少しています。若者世代の新規顧客獲得は金融機関の今後を占う重要なテーマとなっています。若者世代は、現在どのように金融商品・サービスを利用しているのでしょうか?

本稿では、2014年に富士通総研で実施しましたWebアンケート調査の結果に基づき、年齢別の金融商品・サービス利用状況について探って行きたいと思います。

調査概要

  • 実施期間:2014年8月
  • 調査方法:Webアンケート調査
  • 調査対象:日本国内在住の15歳以上
  • 有効回答:2,126件
  • 割付条件:日本の人口構成の縮図となるよう年齢、性別、居住地域を調整し回答を収集

チャネル利用の全体観 ~利用者は目的に応じて使い分け~

まず、個人顧客の銀行チャネル利用状況について確認します。(【図1】)のグラフは縦軸に銀行のチャネル、横軸に利用頻度をとっています。調査結果によると、1年以内の利用経験が多いチャネルはATM、窓口、PCのインターネットバンキングとなっています。

ATMやインターネットバンキングは毎月1回以上の利用者(赤色の部分)が多く、高頻度で利用されているチャネルです。一方、窓口については7割以上が1年に1度は利用すると回答しており、利用頻度は低いものの利用者数が多いチャネルとなっています。このように、チャネル毎の利用頻度のばらつきが見られることから、利用者は相談や手続き、日常取引といった目的に応じて、各自の生活スタイルに合ったチャネルを使い分けていると推測されます。

表1
【図1】過去1年間の金融チャネル利用頻度

窓口に訪れない若者世代、日常利用の高齢世代

(【図2】)年齢別に窓口の利用頻度を見ると、高齢世代(60代以上)は約3割が毎月1回以上窓口を利用しています。対して若者世代が毎月1回以上窓口を利用する割合は1割程度となっています。

しかし、利用が少ない若者世代であっても、1年間に1度は窓口を利用するという割合は6割を超えています。若者世代にとって銀行の窓口利用は1年に1度の特別な機会です。たった1度の窓口利用の経験が、その後の銀行に対するイメージに大きな影響を与えていると推測されます。

表2
【図2】年齢別、窓口の利用頻度

年齢層により異なるインターネットバンキング利用デバイス

インターネットバンキングの利用はデバイスによって大きく異なります。(【図3】)PCのインターネットバンキングは40代、50代の半数以上が利用しています。勤労世代(30代から50代)は銀行サービスを利用する時間の確保が難しいため、インターネットバンキングを利用していると想定されます。一方、若者世代は利用が少なく、最も利用が少ない世代となっています。

表3
【図3】年齢別、インターネットバンキング(PC)の利用頻度

(【図4】)スマートフォンのインターネットバンキングの場合、10代から30代の利用が最も多く、以降は年齢の上昇に従って、利用経験有りの割合が低下しています。

表4
【図4】年齢別、インターネットバンキング(スマートフォン)の利用頻度

将来、スマートフォンを使い慣れた世代の割合が増加すれば、スマートフォンによる金融サービス利用のニーズがさらに高まると推測されます。今後、金融機関は、利用者のニーズに対応するため、スマートフォン向けサービスを拡充する必要があると考えられます。

金融商品のエデュケーションは全年齢層で必要

(【図5】)若者世代は金融商品・サービスに対するニーズがまだ顕在化していないため、普通預金と決済サービス以外の利用経験は他の世代と比較して低くなっています。今後の所得増加や経済的な自立等による金融ニーズの発生が期待されます。

表5
【図5】金融商品・サービスの利用経験

(【図6】)は全年齢を対象に、金融商品・サービスの現在(1年以内)の利用状況と今後(3年から5年後)の利用意向を示しています。各金融商品・サービスは左下から右上の対角線上付近に位置しています。したがって個人顧客は、全年齢層において利用経験が無い商品・サービスに対しては、利用意向が発生し難いことが示唆されます。

表6
【図6】金融商品・サービスの利用経験、利用意向

この結果から、金融商品・サービスの利用を促進するためには、商品性の見直しに加え、顧客へのアプローチ方法を変える必要があると考えられます。個人顧客の商品・サービス利用を促進するためには、商品・サービスの理解を促進させる施策が必要です。

総括 ~若者世代にとって金融サービスは遠い存在~

若者世代は、窓口とPCのインターネットバンキングの利用経験が他の年齢層と比較して少ないものの、スマートフォンによるインターネットバンキングの利用経験が最も多い世代となっています。

今後、現在の若者世代が勤労世代の中心に移行し、金融ニーズが高まることによって、スマートフォンで金融サービスを利用するニーズが高まると思われます。若者世代に限らず、金融商品・サービスの利用を促進するためには、擬似的に商品・サービスを経験させ、理解を促進するエデュケーション施策が有効と考えられます。

すでに海外では、若者世代向けに金融商品・サービスの理解を促進するサービスが展開されています。スペインの大手金融機関BBVAではゲーム要素を盛り込んだWebの金融教育コンテンツを提供しています。ポーランドのmBankでは、流通業を参考にインターネットバンキングのメニュー表示や店舗のコンセプトを工夫し、若者世代にとって親しみやすい(流通業と同じ感覚で利用できる)ブランドイメージを形成しています。我が国金融機関においても、このような海外先進事例の示唆に基づき、今後は金融サービスに馴染みのない顧客に対してアプローチしていく施策が求められていくと考えます。

富士通総研では、個人・法人の金融商品・サービス利用者や金融機関向けアンケート調査を継続的に実施しております。今後も定期的に調査結果を公表して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


石山 大晃

石山 大晃(いしやま ひろあき)
株式会社富士通総研 金融・地域事業部
2013年富士通総研入社。入社以来、地域経済と金融をテーマに金融商品・サービスの顧客動向調査に基づくチャネル、セールス、IT戦略に関するコンサルティングに従事。


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