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オムニチャネル時代に対応した新たな銀行店舗運営
~Wells Fargoの新型店舗展開に見るこれからの営業店舗運営のあり方~

2015年2月18日(水曜日)

若年層を中心にPCやスマートフォンといったデジタルチャネルの利用が拡大する中、金融機関におけるチャネル展開も大きく変化しようとしています。米国では、今や多くの利用者がスマートフォンから金融サービスにアクセスし、伝統的なチャネルである銀行店舗への来店客数が年々減少していると言われています。他方、米国の中央銀行に当たるFRBが2012年に行った調査では、1年に1回以上店舗に来店する顧客は75%に上り、皆が店舗を利用しなくなったとは一概には言い切れない状態が浮かび上がります。今後、金融機関における店舗運営はどのような形態が求められているのでしょうか? 本コラムでは、米国の大手金融機関Wells Fargoが2013年より試行する新型店舗運営の事例より、これからの時代に必要とされる新たな店舗運営のあり方について探ってみたいと思います。

Wells Fargoにおける新型店舗の特徴

Wells Fargoが2013年より開設した新型店舗は、Wells Fargoの従来型店舗と比較して、省スペースかつ省力化されていることが大きな特徴です。富士通総研が訪問した店舗の広さは、2,000Sqt(約185平米)で従来型店舗の約半分のスペースとし、行員数も5人となり、従来型店舗の半分の人員で運営されています。同店舗は、2014年4月に開設され、店舗周辺には、大学や政府系機関の建物、そしてSOHO(小さなオフィスや自宅で起業する小規模事業者)に利用されるマンションが立ち並ぶなど、若年層が比較的多く居住する地域となっています。

店舗内には、ATMと兼用となるセルフサービス端末が3台設置され、同端末の後ろのスペースには、相談用スペースが設置されています。この端末は基本的に24時間365日稼働し、現金の入出金や振込、小切手による入金などWells Fargoの一般的なATMと同様の取引を行うことができ、その取引画面や操作性はほぼ同一のものです。同店舗において行員が顧客と応対する時間は、平日の午前9時から午後5時までと、土曜日の午前9時から午後2時までであり、その他の時間帯は、無人で利用されます。また、店舗内では無料で無線LANが利用でき、デジタルサイネージによる広告配信など最新設備が整えられています。

同行の新型店舗を特徴づけるのは、セルフサービス端末とタブレット端末を連携させた新たな接客スタイルです。顧客が同店舗を訪れた場合、通常のATMと同じく店内にある端末を利用します。このとき、端末にキャッシュカードが挿入されると、顧客情報が店員の持つタブレット端末に共有されます。行員はタブレット端末において、これらの情報を確認しながら、顧客に対して接客を行います。タブレット端末を活用した接客において重要となるのは、顧客一人ひとりに合った最適なアプローチを行うことであり、行員は、顧客情報を確認して有望な顧客にただやみくもに声掛けを行うのではなく、顧客の状況に応じたアプローチが求められます。また、声掛けを行った顧客がもう少しじっくり相談に乗って欲しい場合は、端末の奥にある相談スペースに誘導します。この相談スペース内では、セルフサービス端末上では行えない住所変更などの諸届けが行われる他、ローンのシミュレーションなどが行われます。

新型店舗における店舗運営の特徴

Wells Fargoにおける取り組みからは、以下の3点が重要であると言えます。1点目は、出店コストの削減、ランニングコストの削減を図りつつも、顧客との物理的なタッチポイントを拡大することに成功している点です。デジタルチャネルを中心に利用する顧客であっても、取引によっては物理的なチャネルで行いたいと考えられ、こうした来店頻度が低い顧客に対して効果的に多様なチャネル提供を行う上で、ATM兼用のセルフサービス端末を活用した接客スタイルは大変効率的なアプローチであると言えます。

2点目は、同行の新型店舗ではATM兼用の新型セルフサービス端末の導入やタブレット端末の活用といったデバイス面でのサービス拡充を図っただけでなく、行員の接客スタイルを大きく変革したことです。新型店舗では、これまでのWells Fargoにおけるリテール金融に関するノウハウがうまく活用されており、行員は、アパレルショップといった流通業の店員のように顧客に対して「自然」に接することが求められています。

最後の3点目として、多様な店舗形態の展開が挙げられます。Wells Fargoでは、今後も新型店舗を積極的に展開するとしていますが、この際、同一のスタイルを採り入れるのではなく、展開する地域の特性に合わせて窓口を存続させた店舗や小規模事業者専用カウンターを設置した店舗など、店舗に多様性を持たせる予定です。これまでに開設した新型店舗も、すべて広さが均一ではなく、ビルの空きテナントやスーパーマーケット内の空きスペースなど、多くの来店客が見込める地域において、即座に出店できるようなスペースをうまく見つけ出して展開しています。

おわりに

Wells Fargoが展開する新型店舗では、新型のデバイスを導入し、これまでにない省スペースかつ省力化された店舗を実現するとともに、その接客スタイルを大幅に変更することで来店する顧客とのコミュニケーション方法を変革させたのが特徴です。こうした軽量型の店舗を拡大する戦略は、インターネットやスマートフォン中心に取引を行う顧客に対して物理的なタッチポイントを補完するものであり、まさにオムニチャネル時代に対応した店舗運営のあり方と言えます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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