GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム>
  3. 2015年、コラボレーションが革新的な金融サービスを生み出す

2015年、コラボレーションが革新的な金融サービスを生み出す
~海外最新動向から読み解く2015年の金融サービストレンド~

2015年1月21日(水曜日)

明けましておめでとうございます。本年もIdeaTankをよろしくお願いいたします。2015年は、戦後70年、阪神大震災から20年と、数多くの歴史的な出来事にとって節目の年となるほか、この先に向けては2020年の東京オリンピック開催まであと5年となるなど、新しい時代に向けてスタートを切る年でもあります。現に、2014年末には全国銀行協会より全銀システムの稼働時間延長が発表されるなど、新たな金融サービスの提供に向けて業界を挙げた取り組みが動き始めています。かかる環境の下、2015年はどのような金融サービスが登場し、利用者の経験をどのように変革していくのでしょうか。本コラムでは、2015年のリテール金融サービスについて、その動向を占ってみたいと思います。

オムニチャネル対応の総仕上げとなる店舗活用と行員の変革

昨年、チャネル分野において最も議論されたテーマにオムニチャネルが挙げられます。オムニチャネルとは、顧客が利用するチャネルに関係なく、いつでも、どこでも最適なサービスを受けられるよう統合的なチャネル環境を実現するコンセプトです。海外金融機関では、2013年頃より本格的な対応が始まっており、例えば、本コラムでもご紹介した大手金融機関U.S. Bankでは、オムニチャネル対応に関する専任の担当者を配置し、モバイルチャネルにおいて新たなサービスを積極的に展開しています。このように、先進的な金融機関では、モバイルチャネルを中心にオムニチャネルへの対応を図っていますが、営業店舗など対面チャネルの対応は、今後の検討課題となっています。欧米の金融機関ではスマートフォンやPCといったデジタルチャネルの台頭により、営業店舗の来店客数が年々減少しており、店舗におけるオムニチャネル対応は重要な意味を持ちます。

2015年は、この営業店舗におけるオムニチャネル対応が進むと予想されます。2014年に開催された金融機関向けのICTカンファレンスにおいては、大手ICTベンダーがこぞって新型のセルフサービス端末を展示し、新たな接客スタイルを提案していました。これは、従来のテラーカウンターの代わりにセルフサービス端末を設置するもので、顧客がセルフサービス端末で取引を行う際、その顧客情報が行員の所有するタブレット端末に共有されます。行員は、この顧客情報を確認しながら、必要に応じて顧客に様々な働きかけを行うなど、行員が顧客とより身近なところで接客を行います。このため行員に求められるスキルも変化しており、ユニバーサルバンカーと呼ばれる顧客からの要望やニーズを的確に捉えて、応対することができる新たな営業店行員像にも注目が集まっています。2015年は、店舗におけるオムニチャネル対応が進み、新コンセプトを確立した営業店舗において顧客とのコミュニケーションを重視した接客が流行するかもしれません。(写真1)

<写真1>ベンダー各社が発表したセルフサービス端末<写真1>ベンダー各社が発表したセルフサービス端末

出典:筆者撮影写真より

コンテクスト(生活状況)を意識した決済サービスの流行

2000年代より日進月歩の勢いで革新的なサービスが誕生しているリテール決済分野ですが、2014年はApple Payが世間の注目を大きく集めました。リテール決済分野では昨今、異業種における新興企業が相次いで革新的なサービスを発表しており、金融機関の決済システムはその存在感が希薄化する危機に直面しています。こうした潮流に対抗するかのように、イギリスでは金融機関主導によるモバイル決済サービスが2015年にも誕生予定です。イギリスの大手金融機関と大手スーパーマーケットなどの流通事業者が参加したモバイル決済サービスZappでは、決済基盤に銀行間のリアルタイム決済システムFaster Paymentsを活用し、銀行口座から24時間365日、即時決済が行われるサービスを提供予定です。また、これに先駆けて利用者同士が電話番号を用いてリアルタイム送金が行えるサービスPaymも2014年4月より提供されています。Paymは、利用開始からわずか半年あまりで月間の利用者が100万人を超えるなど利用が急拡大しています。

このようにイギリスでは金融機関主導でリアルタイム決済基盤を活用した利便性の高い決済サービスが提供されています。ここで重要となるのは、顧客の生活状況(コンテクスト)に合わせた決済サービスが提供されている点です。つまり、顧客一人ひとりの生活状況を意識し、それぞれの局面で最適な決済サービスが利用できる環境が整っていることが重要です。日本でも昨年末にLINE Payが提供開始となるなど、こうした顧客の生活状況を意識した決済サービスのニーズは世界共通で高いものと思われます。新たな決済サービスが多くの人々から支持され、日常的に利用されるサービスとなるためには、NFC(Near Field Communication)やリアルタイム決済基盤といった基盤技術をうまく活用し、コンテクスト(生活状況)を意識した利便性の高い決済サービスとなることが重要であると考えます。

イノベーションを生み出す上で不可欠となるFinTech系スタートアップとの提携

2014年末、オルタナティブ・レンディングと呼ばれる従来の金融機関とは異なる手法で資金提供を行うスタートアップ企業であるLending ClubとOnDeckがこぞって新規株式公開を果たしました。両社共に創業から間もないにもかかわらず、今では米国の大手金融機関と提携するまでに成長しています。今や金融業界では、こうした新技術をうまく活用したFinTech系スタートアップが多数登場しています。金融機関はこれらスタートアップ企業と積極的に関わりを持ち、革新的なサービスを生み出していくことが求められていると考えます。

現在、海外大手金融機関の多くは、シリコンバレーに自行の研究施設やベンチャーファンドを設立したり、FinTech系スタートアップを対象としたカンファレンスに参加したりすることで、これらスタートアップ企業と積極的に接触を図っています。こうしたスタートアップ企業との連携により新たなサービスを共同検討する他、場合によってはスタートアップ企業を買収し、自行サービスに取り込むなど新たなサービスを生み出していこうという動きが加速しつつあります。PayPalやSquareといった昨今の革新的な金融サービスの多くは、スタートアップ企業から生み出されており、金融機関は、こうしたスタートアップ企業との積極的にコラボレーションを図ることで革新的なサービスを生み出していくことが求められています。

おわりに

2015年もまた、顧客にとって利用しやすい新たなリテールサービスの提供が求められています。新たなリテールサービスには、本稿で述べたようなモバイルから店舗での接客までを含めたオムニチャネル対応の推進や利用者の生活状況に合わせた決済サービスの提供といった視点が必要となります。こうした新たなサービスを生み出す上では、スタートアップ企業とのコラボレーションが重要な意味を持つと考えます。2015年は、スタートアップ企業との連携により、金融機関主導で革新的なサービスが生み出される重要な年となることを期待してやみません。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

関連リンク