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海外金融ICTカンファレンス参加報告 -Money 2020&BAI Retail Delivery 2014- (2/2)~米国先進金融機関におけるオムニチャネル対応のあり方~

2014年12月22日(月曜日)

※今回は、Money2020の翌週に行われた金融ICTカンファレンス BAI Retail Delivery 2014の参加報告をいたします。Money2020の参加報告については、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

金融リテールICTカンファレンスBAI Retail Delivery 2014の概要

Money 2020の翌週、2014年11月12日~14日まで開催されたBAI Retail Delivery 2014は、リテール金融に関する世界最大級のセミナーであり、毎年アメリカの主要都市を巡回して行われます。今回は、シカゴにて開催され、こちらも3,000人という多くの金融機関関係者、特にリテール部門担当者で賑わっていました。BAI Retail Deliveryでは、カンファレンスの方向性を定めたテーマが毎年設定され、このテーマに沿って有名人による講演や各セミナーが催されます。本年のテーマは、“Re-imagine Retail Banking”というもので、リテールバンキングを「再想像する」という意味です。デジタル化の進展により人々の行動が大きく変化する中、金融機関はリテールチャネルにおいてどのように顧客と向き合い、サービスを提供し、収益を最大化していくのか、ビジネスのイメージを捉え直すことが必要であるとのメッセージです。

同テーマに基づき、BAI Retail Delivery 2014では、金融機関におけるオムニチャネル活用のあり方に関するセミナーが多数実施されました。オムニチャネルとは、「統合された」チャネル提供を意味し、オンライン/オフラインチャネルを駆使して最適な顧客経験を提供することを意味します。しかし、その実現方法には様々な意見が存在し、自行におけるオムニチャネルをどのように実現するかが米国金融機関の主要な関心事項となっています。

<写真1>BAI Retail Delivery 2014の会場風景<写真1>BAI Retail Delivery 2014の会場風景

出典:筆者撮影写真より

先進金融機関の取り組みに見るオムニチャネル対応

今回のBAI Retail Deliveryでは、オムニチャネルに関する先進的な取り組みを行う金融機関担当者が講師として登壇し、自行における取り組みの秘訣について講演を行いました。北米の大手金融機関U.S. Bankは、そのビジネス環境からリテールビジネスを重視する金融機関として知られ、個人向け分野においてイノベーティブなサービスを生み出すことが喫緊の課題でした。U.S. Bankでは、ビジネス上の戦略ならびにプロセスを見直し、イノベーティブな商品を生み出すことに成功し、オムニチャネル活用における先進的な金融機関として評価されています。

同行が最初に取り組んだのは、自行ビジネス戦略の見直しです。リテール金融サービスを現在のコアビジネス分野と将来のコアビジネス分野に分類し、現在のコア分野については、既存サービスに対する新技術適用の可能性を探り、将来のコア分野についてはコンセプト検証(Proof of Concept : POC)を中心とした新技術やサービスに関する実証実験の実施、スタートアップ企業との提携を実施します。

イノベーティブなサービスを生み出すためには、組織体制のあり方も重要です。新たなサービスを立ち上げる場合、自社内において利害関係にある組織が「抵抗勢力」として立ちはだかることがあります。同行では、組織横断的な研修やPOC(コンセプト検証)の実施により、組織の垣根を越えて同じビジョンを共有できる人材を根付かせ、新たなサービスを生み出す土壌の形成を意識しています。

さらに同行では、新たなサービスを生み出す段階で、多くのPOC(コンセプト検証)を行います。ここで重要となるのは各々のPOCがうまくいったかではなく、多くのPOCが初期段階で失敗してしまうことにあります。初期段階での失敗であれば被る損失も少なく、また、失敗した経験が蓄積されることで、組織としてイノベーティブなサービスを生み出すための成熟度を向上させています。

US Bankは、こうした取り組みが功を奏し、現在ではイノベーティブなサービスを数多く採り入れた先進的な金融機関としてのブランドイメージを定着させ、GPS機能を活用したクーポンアプリやiPhoneのSiriのような音声応答アプリをリリースし、本格的なオムニチャネル時代にいち早く対応しています。

店舗での顧客経験を大幅に向上させる新セルフサービス端末

こうした先進的な金融機関が存在する一方、米国においても多くの金融機関は、店舗を多数抱えており、その活用が進んでいないと言われています。オムニチャネル時代を迎えるにあたり、店舗の活用方法の見直しは急務であり、各ベンダーがICTサービスを展示するExpoブースでは、これら課題に対応した新営業店端末が展示されていました。

<写真2>ベンダー各社が発表したセルフサービス端末<写真2>ベンダー各社が発表したセルフサービス端末

出典:筆者撮影写真より

展示されていた新型営業店端末は、大画面スクリーンを搭載し、有人での接客時間終了後は、ATMとしても活用できます。同端末を用いた接客では、タブレット端末と組み合わせて活用され、利用者が同端末にキャッシュカードを挿入すると本人確認が行われ、該当する顧客情報が行員の持つタブレット端末上に表示されます。これにより、顧客の取引情報を即座に把握し、より親身な接客や効果的なセールスを行うことが出来ます。米国の金融機関では店舗への来店客数が減少しており、これまでと同規模の店舗や行員を維持することに対して、コスト面でのメリットが薄れつつあります。新セルフサービス端末を中心に据えた運用により、店舗をより効率的に活用することができるかもしれません。

金融ICTカンファレンスは新たな金融サービスを生み出す触媒

今回は、2回にわたり、この秋に行われた2つのカンファレンスであるMoney 2020とBAI Retail Delivery 2014をご紹介しました。両カンファレンスは、共通する領域を扱いながら、その内容にはそれぞれ特色があります。Money 2020では、スタートアップや異業種からの新規参入企業などの紹介に多くの時間が割かれ、こうした「挑戦者」がどのように金融サービスを変革していくのかを重視した構成となっています。一方、BAI Retail Delivery 2014では、むしろ外部から押し寄せてくる様々な変革の波がどう金融機関のビジネスに影響し、こうした波にどう立ち向かえばよいのかを多くの実践例を交えて紹介する構成となっています。このように特色は大きく異なりますが、新たな技術やサービストレンドを積極的に金融機関に紹介し、これらを活用する方策を考えようとしている点は共通します。2011年頃に流通業界で誕生したオムニチャネルも、わずか3年あまりで先進的な金融機関では自行の戦略として明確化され、多くの施策が実行に移されています。米国におけるこれらカンファレンスでは、絶えず新たな技術やサービストレンドが紹介されており、金融機関が新たなサービス生み出す上でのよい触媒になっていると思われます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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参考リンク

BAI Retail Delivery 2014公式サイト: http://www.bai.org/retaildelivery

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海外金融ICTカンファレンス参加報告 -Money 2020&BAI Retail Delivery 2014- (1/2)