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海外金融ICTカンファレンス参加報告 -Money 2020&BAI Retail Delivery 2014- (1/2)~米国で本格普及するコンテクスト(利用者の生活状況)対応決済サービス~

2014年12月19日(金曜日)

富士通総研では、毎年、金融分野における最新のICTトレンドや新たな金融サービスの動向を探るため、北米にて開催される金融ICTカンファレンスに参加しています。本年は、リテール決済を中心に扱ったMoney 2020(開催期間:2014年11月2日~5日)とリテール金融・ICTサービスを中心に扱ったBAI Retail Delivery 2014(開催期間:2014年11月12日~14日)がほぼ同時期に開催されたため、両カンファレンスに参加いたしました。本コラムでは、2回に分けてMoney 2020ならびにBAI Retail Delivery 2014の参加報告として、その内容についてご紹介したいと思います。

次世代リテール決済カンファレンスMoney 2020の概要

Money 2020は、2014年11月2日~5日まで開催され、主にリテール決済サービスを対象に関連するリテール金融分野や流通業・小売業までを対象とするなど大変幅広いテーマを取り扱っているカンファレンスです。ちなみにMoney 2020というタイトルは、2020年という近未来のお金や決済のあり方をテーマとしていることに由来します。Money 2020は、2012年よりラスベガスで開催され、全世界から7,000人以上が参加しました。

Money 2020では、例年、キーノートスピーチにおいて大手金融機関やICTベンダーのトップが自社のビジネス戦略や新サービスについての紹介を行います。つまり、キーノートスピーチの内容から今後のリテール決済サービス分野の最新動向について知ることができます。

<写真1>Money 2020の会場風景<写真1>Money 2020の会場風景

出典:筆者撮影写真より

モバイル決済の本格的な普及が予想される米国

2014年10月、Apple Payが利用開始となり、米国でもモバイル決済が本格的に普及する兆しを見せています。本年のキーノートスピーチにおいても、Apple Payを意識した発言を行うトップが多く見受けられました。

米国の大手流通・小売業を中心に設立された決済サービス会社のMCX(Merchant Customer eXchange)では、2015年中にCurrentCと呼ばれるQRコードを活用したモバイル決済サービスの提供を予定しています。CurrentCは、WalmartやBestBuyといった80以上の提携小売・流通事業者で採用されることが決まっており、開始当初から多くの利用者に活用されるサービスとなることを目指しています。また、AT&Tなどの大手通信会社主導によるSoftcard(旧ISIS)は、Apple Payより一足早くNFCによるモバイル決済サービスを提供しています。Softcardは、通信会社主導のサービスということもあり、利用可能な端末は70種類にも及び、iOSやAndroidに加えてWindows Phoneでも利用できるなど、他のモバイル決済サービスとは異なる価値訴求で利用拡大を目指しています。

このように、米国ではApple Payに加えて、流通系事業者中心のMCX、通信系事業者中心のSoftcard、さらにはGoogle Walletなどモバイル決済サービス分野でシェア拡大に向けた競争が繰り広げられています。しかし、MCXとSoftcardの両CEOは、Apple Payの登場を大いに歓迎する旨の発言を行っています。Apple Pay登場により、モバイル決済市場に対する関心が全米で大いに高まっており、事業者・利用者双方に説明しなくともモバイル決済サービスをわかってもらえるなど、その「教育効果」は計り知れないからです。Appleによるモバイル決済サービスの開始により同分野の市場での認知度が高まり、今後は利用者数が急拡大していくことが予想されます。日本でもお馴染みの大手ファーストフードチェーンのサブウェイでは、Apple PayとSoftcard双方の決済サービスに対応するなど流通事業者もその受け入れ体制を整えつつあり、今後、米国においても日本と同様にスマートフォンを利用したモバイル決済を行う光景が一般化するかもしれません。

コンテクスト(利用者の生活状況)に合わせた決済サービスの拡大

今回のMoney 2020では、ハイヤー送迎サービスを提供しているUberがキーノートスピーチにおいて度々言及されていました。Uberが高い評価を受けている点は、利用者がハイヤーを利用したいと思い立ったときに、ハイヤーの手配から支払いまでがワンストップでシームレスに完了できる点にあります。Uberでは、2014年8月にレストラン予約サービスのOpenTableや大手航空会社ユナイテッド航空との提携を発表しました。これにより、例えば、レストラン予約とその移動で利用するハイヤーを同時に手配したり、航空券の購入と到着先でのハイヤーを同時に手配したりすることが可能となります。このようにUberでは、利用者の生活状況(コンテクスト)に合わせて利便性の高い決済サービスが提供されています。

今後の決済サービスにおいては、コンテクストに合わせたサービス提供が重要であると考えます。大手金融ICTベンダーのFiservでは、利用者のコンテクストに合わせた新たなP2P型のオンライン決済サービスを2015年に提供すると発表しました。同サービスは、NOW(Network for Our World)と名付けられ、個人間や個人と事業者間での送金や決済における手間がなくなり、利用者が日常生活を送る中で自然に決済サービスを利用できることを目指します。

<写真2>Fiserv社 NOWのサービスイメージ<写真2>Fiserv社 NOWのサービスイメージ

出典:筆者撮影写真より

Fiservが発表したNOWは、例えば、利用者が毎月の家賃の振込を設定し、期日になると自動的に振込を知らせる通知が行われ自動的に決済を行ったり、レストランで友人との会食後、記念撮影した写真を利用してアドレス帳にある友人を自動的に特定して「割り勘」の依頼を送ったりと、利用者が決済のためにわざわざ特別な動作を行わなくとも、利用者の日常における活動の延長線上に決済サービスが自然と付加されている状態を実現します。決済サービスがこうした顧客の日常生活と密接に連携することでその利用はさらに拡大し、キャッシュレス化に向けた動きが加速していくものと思われます。

(つづく)

※次回は、金融ICTカンファレンスBAI Retail Delivery 2014についてご紹介いたします。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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参考リンク

Money2020 Webサイト: http://money2020.com/

Uberによる他のサービス事業者との提携を伝えるニュース記事: http://www.businessweek.com/articles/2014-08-21/uber-teams-up-with-starbucks-united-airlines-opentable