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伝統的な融資商品に対抗するオルタナティブ・レンディング ~ベンチャー企業が生み出す新機軸の商品を金融機関が続々と採用~

2014年12月1日(月曜日)

近年のビッグデータに代表されるデータ分析技術の急速な進化は、顧客をより多面的に分析することを可能としました。また、ソーシャルメディアの急速な普及は、人々のコミュニケーション手段を大きく変化させただけでなく、そこで生み出されるデータについても膨大なものとしています。そして、Peer to Peer(P2P)と呼ばれるコンピュータ同士が直接的に接続して通信を行う方式は、個人におけるデータの取り扱い方を大きく変化させました。このようなネット上で流行した新たな技術はどのように金融サービスに活用されているのでしょうか?こうしたネット上での技術革新を活用した新たな金融サービスであるオルタナティブ・レンディングについてご紹介したいと思います。

オルタナティブ・レンディングとは?

オルタナティブ・レンディングとは、「オルタナティブ(代替的な)」という言葉で表されるように従来の融資とは異なる方法で提供されている商品です。オルタナティブ・レンディングが従来の融資と異なる点は、その審査方法や貸出方法にあります。従来、金融機関が顧客に融資を実行する場合、例えば、それが事業性であれば、業種や創業年数などの企業属性や各種財務指標などに基づく当該企業の信用力と担保となる不動産などの資産価値を評価し、融資の金額や金利などを決定していました。個人においても同様に、勤務先や持ち家などの個人属性と給与などの収入に基づく信用力と、(有担保の場合、)不動産などの担保価値を評価し、審査をしてきました。これに加えて、米国などでは、「クレジット・スコア」と呼ばれるこれまでの融資取引の「取引振り」が信用力の判定において重視されており、初めて融資を利用する事業者や消費者にとっては不利になる傾向にありました。

この従来の審査方法を大きく変化させ、多くの利用者に融資の機会を提供するのがオルタナティブ・レンディングです。オルタナティブ・レンディングでは、これまでの融資審査では利用されていなかったデータを活用することで、金融機関が提供してきた従来の融資を利用できない、もしくは利用できたとしても有利な条件を引き出せない人々に対して融資を実行することを目的としています。実は、昨今、米国の大手金融機関では、こうしたオルタナティブ・レンディングを行っているベンチャー企業と提携を結び、自行の従来型の融資に加えて、オルタナティブ・レンディングを商品ラインナップに加えています。

高度なデータ分析による独自の査定モデルを活用する:OnDeck

OnDeck社は、オルタナティブ・レンディング分野においてパイオニアとも言えるベンチャー企業であり、2007年に創業後、2014年までに約7,700万ドルの資金調達を受け、実際に事業者に融資した金額は総額で10億ドルを超えています。同社は、2014年5月にスペイン大手金融機関BBVA Groupの北米拠点であるBBVA Compass銀行と提携することを発表しました。BBVA Compass銀行では、主に事業者向け融資において同社の審査モデルを活用することを発表しています。

OnDeck社のサービスは、個人事業主などを主な対象とし、独自の審査モデルを活用して最適な融資を提供することを狙いとしています。融資の申し込みはいたってシンプルであり、利用者は、OnDeck社のオンラインサイトにアクセスし、自社の創業年数や業種、住所、クレジット・スコア、銀行口座などの基本情報を入力します。OnDeck社では入力された情報を基にして、申込者の銀行での取引振り、業種特性、実際に事業を行っている場所を推定するほか、インターネット上の口コミサイト上の評判などを参照することで、申込者のビジネスを多方面にわたる指標から評価します。そして、早い場合はわずか10分あまりで査定が終了し、融資額と金利、返済期間などが提示されます。

このように申込者は簡単に融資を申し込むことができる上、当該融資のデフォルト率もOnDeck社によれば10%以下の水準に抑えられているとのことです。OnDeck社は上記のデータから独自に審査を行うことができる審査エンジンを自社で構築しており、このようなスピーディな融資の提供につなげています。

個人間でのお金の貸し借りを支援するプラットフォームを提供する:Lending Club

続いてご紹介するのは、銀行を介さずに、個人間や法人間でお金の貸し借りを行うことができるプラットフォームを提供しているLending Clubです。Lending Clubは、2006年にサンフランシスコで誕生し、その後、順調に拡大を遂げてきました。2014年5月には三菱東京UFJ銀行のグループ行であるUnion銀行との提携が発表されました。

Lending Clubは、銀行やノンバンクを介さずに資金調達が行えるプラットフォームです。融資を受けたい利用者は、Lending Club上で希望する融資金額や財政状態、融資の目的を入力します。金利と返済期間については、入力された情報からLending Clubが自動的に算出します。その後、資金を提供してくれる投資家が一覧で表示され、その中から投資家を選択することで融資を受けることができます。一方、投資家は、Lending Club上で必要な情報を入力後、自身の運用プランに合った口座を開設します。そして、Lending Club上において自分が融資を実行したいと希望する人ならびに条件を設定し、融資を実行します。

Lending Clubでは、一般の個人や法人が借り手もしくは貸し手となって円滑な取引が行えるよう、そのサポートを行っています。借り手にとっては、金融機関から融資を受ける場合と異なり、自らのクレジット・スコアが低い状態であっても融資を受けることができ、貸し手にとっては、長期にわたり利子を含めた金額が返済されるため、比較的高金利で資産運用を行うことができます。貸し手は、融資金額が戻って来ないリスクを受け容れる必要がありますが、Lending Clubでは、借り手の財政状況などからリスクを評価して適正な金額、金利を設定しており、これまで99%以上の案件では円滑に返済が行われたとしています。

ベンチャー企業との連携が新たな商品を生み出すカギに

オルタナティブ・レンディングにおいては、財務指標に基づく信用力や担保価値の評価により与信を実施する伝統的な融資とは異なり、これまで利用されなかった様々なデータを収集して独自に審査を行う仕組みを構築しています。また、P2P型プラットフォームの普及により、借り手が金融機関を介さずに貸し手である投資家から資金調達を受けることも可能となっています。このような新しい審査手法、貸出方法の浸透は、伝統的な金融機関から融資を受けられなかった事業者、消費者に対して融資を受ける機会を提供することを可能としました。かかる事業はスタートアップ企業が先導していますが、実績が順調に推移し、遂には伝統的な金融機関との提携に至るまでに規模が拡大しています。今後、こうしたスタートアップ企業と伝統的な金融機関の提携を通じてお互いの強みを生かすことで、融資分野においてより多くのイノベーションが生まれ、多くの人々がより利便性の高いサービスを受けられるようになることが期待されます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

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参考リンク

OnDeck Webサイト : https://www.ondeck.com/home-qualify2/

Lending Club Webサイト : https://www.lendingclub.com/

OnDeckとBBVA Compass銀行による提携を伝えるニュース記事: http://www.americanbanker.com/issues/179_89/why-bbva-compass-is-sending-customers-to-an-online-rival-1067386-1.html

Lending ClubとUnion銀行による提携を伝えるニュース記事 : http://www.sfgate.com/business/networth/article/Banks-hedge-funds-push-into-peer-to-peer-lending-5455005.php