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エンゲージメント・バンキングの現在地点

~最新事例から読み解く顧客と金融機関の“エンゲージメント”とは?~

2014年11月14日(金曜日)

12月1日にセミナーインフォ様にて以下のセミナーを開催させていただきます。
オムニチャネル・バンキングが実現する金融サービスの変革
くわしくは、上記リンクよりセミナー情報ページをご覧ください。

少子高齢化の進展や産業構造の変化に伴い、我が国の預金・貸出市場は中長期的に縮小トレンドとなるおそれがあり、金融機関のビジネスモデルは変革を求められています。一方、スマートフォンの普及やビッグデータの活用など、ネットワーク化・デジタル化はグローバルに進展しており、ICTはその役割を効率化から付加価値向上へと拡大させています。今後、市場全体が成熟・縮小していく中で、金融機関はICT戦略の重点を「効率化」から顧客との「リレーション構築」にシフトし、顧客をエンゲージ(関係強化)していく必要があります。弊社では、こうした金融機関を取り巻く環境変化に対処する新たなサービスモデルとして「エンゲージメント・バンキング」と呼ばれるコンセプトを提唱しています。2014年1月の当コラムでもご紹介させていただいた「エンゲージメント・バンキング」ですが、今回はこの概念に対応した新たな金融機関の姿を皆様にご紹介したいと思います。

「エンゲージメント・バンキング」とは?

エンゲージメント・バンキングとは、顧客と金融機関のつながりを強化することを意味するもので、エンゲージメントとは、「契約」や「つながり」を意味します。米国の金融業界では昨年より、「エンゲージメント・バンキング」、「カスタマー・エンゲージメント」といったキーワードが頻繁に登場するようになり、金融機関が顧客との関係性を見直そうとしていることが窺えます。エンゲージメント・バンキングにおける金融サービスでは、金融機関が積極的に顧客にアクセスし、顧客にとって必要なタイミングで金融サービスにアクセスできること、顧客の日常生活の様々なタイミングで自然と最適な金融サービスが提供されます。具体的には、日常のお金の使い方を簡単に管理する(家計管理サービス)アプリを提供したり、近くの加盟店のお得なクーポンを提供したりするなど、お客様の日常生活に密着して便利なサービスを提供し、且つそれらサービスを使いやすいものとし、継続的に金融機関のサービスを利用してもらうことを目指します。

ネット企業の最先端サービスの要素を自行に取り込むポーランドのネット銀行:mBank

最初にご紹介する事例は、ポーランドにてネット銀行を提供しているmBankです。同行は、元々BRE Bankと名乗っていましたが、2013年よりブランドイメージの刷新を図ることを目的にmBankへと改名しました。
mBankでは、2013年よりブランドの刷新と共にその主要チャネルであるネットサービスならびにモバイルチャネルのデザインや使い勝手を大幅に向上させる変革を行っています。この変革では、最新のテクノロジーに興味を示す人々に訴求することを目的にインターネット上にあるほぼ全てのコンテンツのデザインならびにその操作性を変更しました。更に、この変革に当たって同行では、多くのネット系企業の成功事例からヒントを得た独自のサービスを展開することを目指しました。

まず、デザインの分野では、ECサイトのデザインを参考に、顧客が見た瞬間に必要な情報だけが伝わるようにしています。また、ページ内に検索用の入力スペースを設置し、ユーザーにとって必要な情報を素早く検索できます。ユーザーがよく利用する送金機能については、SNSのアドレス帳を取り込み、簡単に送金を行うことが出来ます。この他、Skypeに似たビデオチャットによる実在の行員と相談できる機能が採用されています。

このように、mBankでは、ネット系企業からヒントを得た機能を導入することでそのデザインや使い勝手を大幅に向上させました。こうした変革により、同行では、新サービスサイトの立ち上げからわずか2ヶ月あまりで約70万人の新規顧客を獲得しました。こうした利用しやすいネットサービスに加え、mBankでは、mKioskと呼ばれる繁華街やスーパーマーケットなどでクイックにアクセスできるサービスコーナーを多数設け、ネットとリアル双方で顧客にとっていつでも利用しやすいサービスを提供しています。こうした取り組みにより、同行はネット銀行でありながらポーランドでは3番目の規模を誇る金融機関となり、その口座数は400万を超えています。

音声認識とデータ分析の融合により新世代のネットサービスを提供:USAA

続いてご紹介するのは、アメリカにおいて軍人とその家族に対して金融サービスを提供するUSAAの事例です。同行は、軍の関係者に対して金融サービスを提供することを目的として設立された金融機関であり、その顧客数は1,100万人を超えます。遠隔地で任務を遂行する軍関係者の利便性を考慮して、古くからダイレクトバンキングを積極的に提供しており、スマートフォンの活用においても革新的なサービスを次々と発表しています。

中でも最も特徴的なサービスが、2013年より提供されているバーチャルアシスタントサービスです。同サービスは、iPhoneのSiriのように、スマートフォンに話しかけると回答が音声ならびにディスプレイ上に表示されるものです。当初は、「残高照会」や「送金」といった単純な指示しか受付けることができませんでしたが、今年に入ってサービスがアップデートされ、例えば、「先週一週間でのクレジットカードの利用総額は?」、「登録住所を変えるにはどうしたらよいか?」といったユーザーからの複雑な問い合わせに回答することが可能となりました。また、バーチャルアシスタントサービスに加えてコンタクトセンターとの連携も強化され、スマートフォンからワンタップで接続できます。

更に、USAAでは将来的に人工知能とバーチャルアシスタントサービスを連携させ、会話データやその他の取引データから、人工知能が利用者一人ひとりの金融行動上の特性を分析し、最適なサービスを提案することを目指しています。同サービスでは、例えば、利用者のそれまでの取引履歴を参照することで、必要な手続きを先回りして伝えたり、財政状態や直前の会話データから最適な金融商品を提案したりすることができるとしています。

おわりに

今回ご紹介した両行に共通する特徴として、多くの人が利用する身近なツールであるインターネットやスマートフォンを駆使して顧客の日常生活に密着したサービスを提供していることが挙げられます。例えば、mBankでは多くの人が日常的に利用するネットの様々なサービスからそのコンセプトをうまく採り入れ、更にキオスク型店舗を活用することでリアルチャネルまで網羅したオムニチャネル化を実現しています。USAAでは、スマートフォンでの利便性を向上させるために音声認識サービスを導入し、更にはそこで得られたデータを活用することで顧客が望む最適なタイミングで最適なサービスを提供することを目指します。両行の取り組みは、金融機関が今後どのように顧客本位のサービスを確立して、利便性の高い金融サービスを提供する他業態の大手企業に対抗していくかについて重要な示唆を与えるものです。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

参考リンク

mBank Webサイト:http://www.mbank.pl/

USAA Webサイト:https://www.usaa.com/

USAAにおけるバーチャルアシスタンス活用を伝える記事:http://www.americanbanker.com/issues/179_163/usaa-teaches-its-virtual-assistant-to-learn-from-customers-1069570-1.html


関連リンク

2014年:

2014年、エンゲージメント・バンキング元年を迎える金融業界(2014年1月16日)