GTM-MML4VXJ
Skip to main content

English

Japan

  1. ホーム >
  2. コラム >
  3. IdeaTank for Financial Services >
  4. 2014年 >
  5. 金融ベンチャーカンファレンス Finovate Spring 2014参加報告(その1)

金融ベンチャーカンファレンス Finovate Spring 2014参加報告(その1)~最新テクノロジーを活用した金融サービスの提供~

2014年6月18日(水曜日)

富士通総研では、次世代金融サービス動向を調査する目的で、毎年春と秋に米国で開催される金融系ITスタートアップのカンファレンスであるFinovateに参加しています。Finovate とは、文字通り FinanceとInnovationを融合させた造語で、毎年多くの FinTech 系スタートアップ企業が、自社のテクノロジーを紹介しています。今回の Finovate では、67の企業から金融サービスの利便性を高める様々なサービスやアイデアが紹介されました。Finovateでは、金融に関する様々な分野のスタートアップ企業が登壇しますが、今年は、Google Glass のようなウェアラブル端末をお客様接点として活用するサービスや、Bitcoin のような電子通貨を決済に活用するサービスなど、最先端のデバイスやテクノロジーを活用したサービスを提案する企業が目立ちました。第1回の参加報告では、このような最先端のデバイスやテクノロジーを活用した企業の中で、特に会場の参加者から注目を集めたサービスをご紹介します。

※昨年の様子は、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

Finovateの会場風景

<写真1> Finovate Spring 2014会場と会場内の風景
(筆者撮影写真より)

Google Glassを活用した決済サービスの提供:Fiserv

昨今、スマートフォンの次のデバイスとしてGoogle Glassをはじめとしたウェアラブル端末が注目を集めています。これら端末の特徴は、利用者が身に着けることで常にネットワークにアクセスできる点にあります。米大手金融ベンダーであるFiserv社では、こうしたウェアラブル端末上で利用できる金融サービスソリューションを発表し、会場での注目を集めていました。

Fiserv社が開発したサービスは、Google Glass上で様々な金融サービスにアクセスすることができ、例えば、自身の銀行口座の残高を確認したい場合、Google Glassに話しかけることで画面上に残高を表示させることができます。この他、口座間での送金などがGoogle Glassを通じて行うことができます。また、Google Glassに付随するカメラを活用して商品のバーコードを読み取らせることで決済が完了する機能も備えています。この他、Fiserv社では、スマートウォッチと呼ばれる腕時計型端末でも同様に金融サービスが利用できるソリューションを開発しており、ベンダーとしていち早く今後のトレンドを抑えてサービス提供を行うのは大変意義あるように感じられます。

Google Glass活用ソリューション

<写真2> Fiserv社のGoogle Glassを活用した金融ソリューション
(筆者撮影写真より)

ディスプレイやテンキーを取り払ったTopless ATMの提供:Privat Bank

今回のFinovateにおいて最も注目を集めたサービスとしてウクライナの大手金融機関であるPrivat Bankが発表した新型ATMがあります。同行では、ディスプレイやテンキーといった従来のATMの上部(top)にある機能を取り払い、下部の現金払出口のみとした “Topless ATM”を発表しました。利用者は、スマートフォンからアプリを起動し、出金金額を設定後、スマートフォンをATMに近づけることで、設定金額をATMから引き出すことができます。スマートフォンとATM間の通信にはWi-Fi、Bluetooth、NFCといった様々な無線通信が活用されており、将来的にはスマートフォンだけでなく、Google Glass などのウェアラブル端末への対応についても示唆されました。同ATMのソフトウェアはAndroid OSで動作し、また、ATMの基盤にはRaspberry Piと呼ばれる低コストの教育用ボードコンピュータが利用されています。このため、同ATMは販売予定価格が2,000US$~と大変廉価となっており、金融機関はATMの設置コストを大きく低減させることができます。

今後、金融機関と顧客を結ぶ接点の大部分がスマートデバイスにシフトすることが予想されます。Privat Bankはこのようなスマートデバイスが中心となるトレンドを捉え、「残高照会」や「振込」といった、従来からインターネットバンキングやモバイルバンキングで提供されていた機能だけでなく、「現金出金」といった従来のATMや窓口でしか対応できないと考えられていた機能までスマートデバイスの活用可能性を検討し、ディスプレイもテンキーもないTopless ATMを生み出しました。ATMとは、キャッシュカードを挿入して利用するものという従来の発想ではこのような画期的なATMを生み出すことは困難です。まさにTopless ATMはATMの世界に新たなイノベーションをもたらした製品であると言えます。

Topless ATM

<写真3> Privat BankによるTopless ATM
(筆者撮影写真より)

ECサイトでのBitcoin決済を拡大させるインスタント決済ツールの提供:Coinbase

昨年、新聞紙上を何度も賑わせたBitcoinですが、海外ではMt.Gox破綻後もBitcoinを利用する人々は一定数存在します。中でも今回ご紹介するCoinbase社は、120万人の利用者を抱える世界最大級のBitcoinウォレット管理事業者となっています。同社では、今後、Bitcoinが様々な決済シーンで利用されることを目指し、ECサイト事業者向けにインスタント決済ツールを提供しています。

Bitcoinは、周知のとおり中央政府などの通貨発行主体を持たない仮想通貨であり、Bitcoin利用者間の信任によって価値が担保されています。したがって、実体的な価値を持つためには、実通貨と換金する必要があります。しかしながら、Bitcoinが持つ投機的な性質が影響し、実通貨とBitcoinとの交換レートはしばしば乱高下します。Coinbaseでは、Bitcoinと実通貨である米ドルとの交換レートを1日の初めに固定し、また、Bitcoinによる決済は、1日ごとにまとめて固定レートに換金後、事業者が登録した銀行口座に自動的に振り込まれます。また、Coinbaseが徴収する加盟店手数料は1%とクレジットカード会社による加盟店手数料等に比べると大変安く設定されています。このようにBitcoinであってもその“為替リスク”を気にせずに決済に利用できる環境が整えば、Bitcoinは決済手段として世の中に広まって行くかもしれません。

金融サービスにおける最新テクノロジー活用の意義

Finovate では、毎年、多くの斬新なサービスが発表されますが、その中でも、今回ご紹介したGoogle Glassによる金融取引、ディスプレイとテンキーを排したATM、そしてBitcoinを活用したインスタント決済サービスは、いずれも伝統的な金融サービスでは考えづらい画期的なサービスです。これらのサービスの共通点は、いずれもまだ世の中に行き渡っていない黎明期のテクノロジーを積極的に取り入れていることにあります。普及前のテクノロジーをリスクをとって採用し、金融サービスの利便性向上に向けてチャレンジできる土壌こそ、これからの金融のイノベーションを牽引する推進力になるものと考えます。そういった点から、今回ご紹介した3つのサービスは、いずれも Finovate の名に相応しいサービスと言えるでしょう。

(マネジングコンサルタント 隈本正寛)

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

参考リンク

Finovate Spring 2014紹介ページ : http://www.finovate.com/spring2014/

Fiserv社 : https://www.fiserv.com/index.aspx

Topless ATM紹介ページ : http://topless.pb.ua/en-index.html

Coinbase社 : https://coinbase.com/

関連リンク

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その1)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2013” 参加報告(その3・終)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(1/2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(2/2)