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金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その3・終)~デバイスの基本機能を活用した低コストで効果的なセキュリティソリューション~

2013年8月5日(月曜日)

Finovateの第3 回参加報告では、 セキュリティ関連のソリューションを提供している金融ベンチャーを紹介いたします。スマートフォンやネットでの金融取引が一般化した昨今、他人のIDの成りすましによる不正アクセスやECサイトでの決済詐欺といったセキュリティ被害が数多く報告されています。米国では、これらオンラインでのセキュリティ被害に加え、免許証の偽造など古くからあるセキュリティ被害も後を絶ちません。こうした被害に対抗するために多くのベンチャー企業が斬新なセキュリティ対策ソリューションを発表しています。

※前回ならびに昨年の記事は、ページ下部の関連リンクをご参照ください。

専用の読取装置を必要としない生体認証ソリューション”EyeVerify”

国内の多くの金融機関で一般化した手のひら静脈や指静脈による生体認証ソリューションは、暗証番号やIDとパスワードといった認証方法と比べて、よりセキュアな認証方法とされています。しかし、これら認証ソリューションは、専用の読取装置が必要であり、搭載できるデバイスにも制限があります。今回ご紹介するEyeverifyでは、スマートフォンのカメラ機能を活用することで、ネットバンクでの取引等において生体認証による本人確認を可能とするソリューションを提供しています。

EyeVerifyは、その名のとおり、眼(Eye)による認証(Verify)を可能としたソリューションです。利用者は、スマートフォンのカメラで自分の眼球の中の血管の流れを撮影します。EyeVerifyによると眼球内の血管の位置は、手のひらの静脈や指紋と同じく、各人固有のものであるとのことです。EyeVerifyでは、モバイルバンキングへのアクセス時に眼球内の血管の流れを撮影し、あらかじめ登録していた血管の写真と照合することで、スマートフォンで生体認証による本人確認を可能とします。既存のIDやパスワードよる認証に加え、こうした生体認証による本人確認機能を加えることで、スマートフォンでの金融取引をより安全なものへと変化させることができます。

国土安全保障省のデータを活用した本人確認ソリューション"Authentic ID"

日本と異なり、米国では、運転免許証といった公的な本人確認書類が偽造されやすく、写真入りのIDカードであっても赤の他人が偽造したものである可能性があります。ある調査によれば、米国での公的書類の偽造件数は、年間1200万件に及び、その被害額は210億ドルを越えるとのことです。このため金融機関は、口座開設時など本人確認書類の確認が必要な状況では、提示されたIDカードが真正なものであるかを確認するために多くの時間を費やすこととなります。Authentic ID では、公的機関に登録された顔写真情報を活用し、金融機関の本人確認業務を簡略化することを目指しています。

Authentic IDの本人確認ソリューションでは、米国国土安全保障省と連携し、同省のサーバから直接顔写真データを参照し、本人確認を行います。口座開設に当たって、本人確認書類が提示された際、その名前を本人確認ソリューションに入力すると、数分後に国土安全保障省に登録された顔写真が表示されます。これにより、これまで、本人確認書類が真正なものであるかどうかの確認に費やされていた作業が単にPC上で顔写真を確認するだけとなり、その作業負荷が大幅に削減されることになります。

ネット上の多様な情報を活用した本人確認ソリューション”Signifyd”

米国では、ECサイトにおいて他人に成りすまして、商取引を行う詐欺が横行しており、その被害額は年間で27億ドルに及ぶといわれています。また、ECサイト事業者の3%が恒常的に被害にあっているといわれており、特に、小規模なECサイト事業者では、こうした詐欺被害による損害は事業の継続を困難にする重大な問題となります。

Signifydでは、こうした中小のECサイト事業者向けに、商取引を行った人が本人であるのか確認するソリューションを提供しています。Signifydの本人確認では、Web上にある様々な情報を活用することが特徴です。例えば、決済情報で入力された氏名からソーシャルメディア上のサイトにアクセスし、更に、入力された住所の情報などをソーシャルメディアなどの情報とマッチングさせ、実在する人物であるのかを推測します。こうした推測により、その申込者が実在する確率を1,000点満点のスコアで表示させます。Signifydのソリューションを活用することにより、第三者機関などを活用せず、ネット上にある情報だけで手軽に詐欺かどうかを確認することが可能となります。

コストとユーザビリティを両立したセキュリティソリューションの必要性

今回ご紹介したベンチャー企業によるセキュリティソリューションでは、どれも大がかりな設備更改を必要とせず、既存のデバイスに搭載された機能や装置、さらにはネットワークを活用して、比較的安価に効果的なセキュリティ対策を行っています。スマートフォンといった人々にとって身近で利用しやすいデバイスの誕生は、これまで以上にセキュリティの脅威を生み出しやすい環境を作り上げています。金融機関としては、続々と発生するセキュリティの脅威に対して、矢継ぎ早に対応していくことが求められます。しかしながら、一部の金融機関では、導入コストやユーザビリティの観点から新たなセキュリティソリューションの導入をためらうケースが発生していることも考えられます。この際、本コラムで紹介したようなセキュリティソリューションを活用することで、利用者のユーザビリティを損なうことなく効果的なセキュリティ対策が実現できるのではないでしょうか。

これまで、ITサービスは、高機能であること、先進的であることに価値が見出されてきました。しかし、日常生活においてITサービスが一般的となった昨今、ITサービスの価値として、使いやすさや手軽さといった利用価値が含まれるようになったと考えます。つまり、ITサービスの価値が投資の多寡とは関係なく、利用者にとっての利用価値の高さのみで決まることを意味します。今回のFinovateにて紹介された数多くのソリューションは、こうしたITサービスにおける価値の変化を表しているものと言えます。

(シニアコンサルタント 松原義明)

※弊社では、Facebookページも開設しております。当記事に関するご感想・ご意見は以下のリンク先までお願いいたします。

富士通総研 金融・地域ページ: https://www.facebook.com/Fujitsufrikc/

参考リンク

Finovate Spring 2013: http://www.finovate.com/spring2013/index.html

EyeVerify: http://www.eyeverify.com/

Authentic ID: http://authenticid.co/

Signifyd: https://www.signifyd.com/

関連リンク

金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その1)

金融系ベンチャーカンファレンス”Finovate Spring 2013”参加報告(その2)

金融系ITベンチャーカンファレンス “Finovate Spring 2012” 参加報告(1/2)

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